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ここでは、単一の統合型プラットフォームか複数のポイントソリューションのどちらがより好まれるか、オブザーバビリティのニーズを促進する戦略と傾向、OpenTelemetryの導入と使用を促すもっとも重要な促進要因、異なるグループ間でのオブザーバビリティの支持レベル、そして、オブザーバビリティは中核的な事業目標の達成要因なのか、それともインシデント対応/予防強化のためのものなのかについて考察します。

戦略と組織のハイライト:

76%

技術系最高幹部をオブザーバビリティ支持者と見ている

71%

オブザーバビリティは中核的な事業目標の達成要因であると回答

54%

単一の統合型プラットフォームが好ましいと回答

52%

OpenTelemetryの導入要因のトップは、拡張性であると回答

49%

オブザーバビリティを促進する要因のトップはセキュリティであると回答

単一プラットフォームか複数のポイントソリューションか

オブザーバビリティに使用するツール数に関して、組織はどのような戦略的嗜好を持っているのでしょうか?好まれるのは、単一の統合型のオブザーバビリティプラットフォームなのか、それとも寄せ集めて使用されたり、特定の監視性能のみに使用される最高品質のソリューションでしょうか?結果は以下の通りです。

  • 半数以上(54%)が、単一の統合型プラットフォームをある程度望んでいる(対前年比で15%増)
  • 4分の1以上(29%)が、複数のポイントソリューションをある程度望んでいる(対前年比で14%減)
  • 16%のみがどちらでもよいと回答
これらの結果は、1年間で明らかに多くの組織がオブザーバビリティのニーズに対して単一のツール、オールインワンのアプローチに傾いているということを示しています。複数のポイントソリューションに対して単一プラットフォームを望むとの回答が約2倍となっています。
ただし、多くの回答者が単一の統合型プラットフォームが好ましいとしているにもかかわらず、86%が2つ以上の監視ツールを使用しており、オブザーバビリティに単一ツールを使用しているのはわずか5%でした
さらに、フルスタックオブザービリティの実現を阻む主な課題は何かと尋ねたところ、4分の1が監視ツールが多すぎることと回答しました。
これらの結果を総合すると、オブザーバビリティの現状は未だ複数のツールの併用がみられるものの、ツールの分散化はフルスタックオブザーバビリティへの大きな障壁であるとの認識のもとで、徐々に単一の統合型オブザーバビリティプラットフォームへの移行と戦略的嗜好性が高まりつつあることが見てとれます。
単一の統合型プラットフォームと複数のポイントソリューションの2023年と2022年の比較
54%

単一の統合型プラットフォームが好ましいと回答

単一の統合型プラットフォームvs複数のポイントソリューション

役割別の考察
単一の統合型プラットフォームを望むとの回答は、実務担当者(52%)に比べ、ITDM(57%)に多く見られました

地域別の考察
複数のポイントソリューションが望ましいとの回答は、欧州(23%)と北米(19%)に比べ、アジア太平洋地域の回答者(38%)にもっとも多く見られました

組織規模別の考察
大規模組織では使用しているツールがより多く、小規模組織では少なかったものの、どちらも単一の統合型プラットフォームが望ましいとの回答が多く見られました

業界別の考察
単一の統合型プラットフォームが望ましいとの回答は、サービス/コンサルティング業界でもっとも多く(65%)、次いで医療/製薬(58%)でした。エネルギー/ユーティリティ業界と非営利組織の回答者に、複数のポイントソリューションが好ましいとの回答が多く見られました

オブザーバビリティを促進するトレンド

どのようなテクノロジー戦略とトレンドが、オブザーバビリティのニーズを促進しているのでしょうか?結果は以下の通りです。

  • ほぼ半数(49%)が、セキュリティ、ガバナンス、リスク、コンプライアンスへのさらなる注力であると2年連続で回答
  • 約5分の2(38%)が、ビジネスアプリケーションのワークフローへの統合と、人口知能(AI)技術の導入と回答(いずれも今年の新規選択肢)
  • セキュリティを除いて、2023年の調査では2022年の選択肢を要因とする回答が著しく減少
これらの結果は、セキュリティ、ビジネスアプリケーションの統合、AIの導入が最大のオブザーバビリティ促進要因であることを示唆しています。
モダンなアプリケーションは、一般的にクラウドで運用され、数百ものコンポーネントに依存しているため、その各コンポーネントがさらに監視の課題とセキュリティリスクを生み出します。クラウドの導入とクラウドネイティブなアプリケーションのアーキテクチャによりサイバーセキュリティの脅威が高まるなかで、セキュリティとガバナンス、リスク、コンプライアンスへの注力が、オブザーバビリティニーズを促進する戦略、またはトレンドとして今年も最多の回答だったのは当然であると言えます。
最良の顧客体験を提供することで顧客を獲得し、維持しようとする一方、組織がAIと企業資源計画(ERP)や顧客関係管理(CRM)などのビジネスアプリケーションに注力するのはもっともなことです。

役割別の考察
セキュリティが要因であるとの回答は、実務担当者(46%)に比べてITDM(56%)に多く見られました

地域別の考察
アジア太平洋では、AI、IoT、CDN、オープンソース、サーバレスなどの最先端テクノロジーの台頭が要因であるとの回答が圧倒的に多く見られました

組織規模別の考察
大規模組織の回答者は、概してすべてのトレンドを選択している傾向が多く見られました

業界別の考察
オブザーバビリティの促進要因は、業界によってさまざまでした

オブザーバビリティのニーズを促進するテクノロジー戦略とトレンドの2023年と2022年の比較

OpenTelemetryの促進要因

長期的なオブザーバビリティ戦略におけるOpenTelemetryの導入と使用に向け、もっとも重要な促進要因は何かについて調査しました。結果は以下の通りです。

  • 約半数が、拡張性(52%)、既存のツールスタックと統合できること(46%)と回答
  • 3分の1以上が、オブザーバビリティのライセンスコスト(37%)とポータビリティ(36%)に言及
  • 約4分の1が、オープンソースの推進(26%)、ベンダーの縛りがないこと(21%)に言及
  • OpenTelemetryを導入していないのは4%のみ
  • OpenTelemetryが何かを知らなかったのはわずか2%
これらの結果は、OpenTelemetryが広く周知されていることと、オブザーバビリティベンダーは顧客の需要に応えるため、この移行を受け入れていかなければならないということを示しています。
長期的なオブザーバビリティ戦略における、OpenTelemetryの導入と使用に向けたもっとも重要な促進要因

役割別の考察
拡張性が重要な要因であるとの回答は、実務担当者(49%)に比べてITDM(56%)に多く見られました

地域別の考察
北米の調査回答者には、OpenTelemetryを導入しておらず、それが何かを知らないとの回答が多く見られました

組織規模別の考察
大規模組織では、最上位の要因として、拡張性と、既存のツールスタックとの統合への言及が多く見られました

業界別の考察
OpenTelemetryを導入していない(7%)との回答は、サービス/コンサルティング業界の回答者にもっとも多く見られました

オブザーバビリティの支持

調査対象者に、組織内の役割におけるオブザーバビリティ支持の程度について尋ねました。特筆すべき点として、以下が挙げられます。

  • すべての役割全体での平均の支持レベルは68%で、2022年とほぼ同程度
  • 平均として、70%が最高幹部のエグゼクティブを支持者と見ており、そのうち31%がより強い支持者であった
  • 技術系最高幹部がもっとも高いレベルで強く支持、または概ね支持(それぞれ36%と76%)していおり、次いでITエンジニアが支持(それぞれ34%と75%)
  • 約3分の2(64%)が、非技術系最高幹部をオブザーバビリティ支持者とみなしている(対前年比で14%減)
  • 全体として、対前年比でオブザーバビリティへの反対は47%減少し(2022年の7%と比較して、平均でわずか4%に)、SREがもっとも反対しているとみられている(とはいえわずか5%)

本レポートの定義においてフルスタックオブザービリティを実現している、または成熟したオブザーバビリティの実践を行っている回答者は、それらの2つの要素がない回答者に比べ、オブザーバビリティを強く支持していました。

オブザーバビリティを完全に中核的な事業目標の達成要因であると考えている組織の回答者は、ほぼすべての役割においてオブザーバビリティを強く支持する傾向が見られました。

全体にわたり、どのグループにおいても、中立的、抵抗的、無知というよりは、ある程度の支持が見られました。
個々の役割やチームがオブザーバビリティの価値を認め、支持していると組織は導入を拡大する可能性が高いため、これらの結果は今後のオブザーバビリティの導入が計画されていることを示しています。
76%

技術系最高幹部をオブザーバビリティ支持者と見ている

グループ別のオブザーバビリティの支持レベルの概要

役割別の考察
エグゼクティブは、技術系最高幹部エグゼクティブはきわめて高い割合(54%)で強く支持していると回答しています。

グループ別のオブザーバビリティの支持レベル

オブザーバビリティの目的

今回の調査では、オブザーバビリティの目的が変化したのかどうかを調べました。つまり、実務担当者とIT意思決定者(ITDM)は、オブザーバビリティを中核的な事業目標の達成要因であると考えているのか、もしくはインシデントへの対応や予防強化に必要な要因であると考えているのかについて、調査を行いました。結果は以下の通りです。

  • 5分の2(40%)が、どちらかというとオブザーバビリティを中核的な事業目標の達成要因であると考えている(対前年比で21%減)
  • 約3分の1(32%)が、事業目標とインシデント対応のいずれも同様に、組織のオブザーバビリティの達成要因だと考えている(対前年比で14%増)
  • 4分1以上(26%)が、どちらかというとオブザーバビリティをインシデントへの対応と予防強化に必要な要因であると回答(対前年比で23%増)

総合すると、71%がある程度オブザーバビリティを中核的な事業目標の達成要因であると考えており、これは2022年には78%でした。一方、57%がある程度オブザーバビリティをインシデントへの対応と予防強化に必要な要因であると考えており、これは2022年には49%でした。

注目すべき点として、「どちらかというとオブザーバビリティを中核的な事業目標の達成要因である」と考えている回答者は、単一の統合型プラットフォームを好む傾向が高く見られました。オブザーバビリティを中核的な事業目標の達成要因であるとした672名の回答者のうち、63%は単一の統合型プラットフォームを望ましいとし、一方で複数のポイントソリューションを望ましいとしたのは27%でした。

インシデントへの対応と予防強化との回答の対前年比(YoY)の変化は比較的小さく、どちらかと言えば、回答者はオブザーバビリティを中核的な事業目標の達成要因であるとする明確なスタンスから、事業目標とインシデント対応の達成要因であるという、よりバランスの取れた思考に向かっているように思われます。これは好ましい変化です。オブザーバビリティはどちらの分野にも有益であるはずだからです。この傾向は、技術チームと事業部間の関係および連携が拡大していることを反映しています。
71%

ある程度オブザーバビリティは中核的な事業目標の達成要因であると回答

オブザーバビリティの目的の概要

役割別の考察
エグゼクティブと実務担当者は、中核的な事業目標の達成要因であるとの回答がもっとも多く、一方で非エグゼクティブマネージャーはインシデントへの対応と予防強化との回答がもっとも多く見られました。

オブザーバビリティの目的の2023年と2022年の比較