2023年9月公開
作成者:New Relicプリンシパルコンテントマネージャー、Alicia Basteri
エグゼクティブ・サマリー
今回で3回目となる年次オブザーバビリティ予測レポートでは、オブザーバビリティの実践の進展状況、成長幅の大きい分野と小さい分野、外部要因が支出やオブザーバビリティの導入にいかに影響するか、オブザーバビリティが技術者の生活と収益にいかに影響するかについて考察します。
オブザーバビリティ業界における最大規模の包括的な研究となる、1,700名の技術者への調査が実施されました。新たな情報や、定義、方法論、デモグラフィック、企業属性などについては、「レポートについて」をご確認ください。
本年のレポートで際立ったテーマは、オブザーバビリティのビジネス価値です。その他の主なテーマとして、オブザーバビリティ導入の拡大と、システム停止の減少や短縮といったサービスレベル指標の改善などがあります。組織は、運用コストの節約や収益拡大など、中核的なビジネス目標とビジネス成果の改善を促進するオブザーバビリティに投資を行い、その成果を得ています。
調査結果では、オブザーバビリティは変わらず明確なプラスのビジネスインパクトを生み、年間投資利益率(ROI)の中央値が2倍であることが明らかになっています。また、オブザーバビリティがいかに組織のビジネス、テクノロジー、そして収益を変革しうるかが示唆されています。多くの回答者が、オブザーバビリティを導入していない場合に多大なマイナスのビジネス結果を予想しており、具体的な財務的影響は、運用コストの増加とダウンタイムによる収益損失である、と指摘しています。
一言で言えば、組織はオブザーバビリティにビジネス価値を見出し、さらなる投資を想定しています。
主な調査結果
システム停止は対前年比で減少
システム停止は頻発するものの、週に1回以上発生すると答えた回答者の割合は、ビジネスインパクトの大きいシステム停止では対前年比(YoY)で36%減少し、ビジネスインパクトが中程度の場合は52%、ビジネスインパクトが少ない場合は63%減少しました。
年間のシステム停止コストの中央値は775万ドルーオブザーバビリティが有効
システム停止に伴うコストは高く、3分の1(32%)の回答者が、重要なビジネスアプリケーションのシステム停止によるダウンタイムは1時間あたり50万ドル超と回答しています。ただし、フルスタックオブザーバビリティが実装されている場合、されていない組織に比べ、システム停止に伴うコストの中央値は37%低減しました。
フルスタックオブザーバビリティの成果との相関関係
多くの組織(67%)が、未だフルスタックオブザーバビリティを実現できていませんが、実現できていると答えた回答者においては、サービスレベル指標が改善しています。フルスタックオブザーバビリティは、システム停止の頻度減少と停止時間の短縮、またシステム停止に伴うコストの低減を導きます。
オブザーバビリティの導入は増加傾向に
大多数の組織ではまだフルスタックを監視してはいないものの、この状況は変わりつつあります。対前年比(YoY)でより多くの機能が導入され、今後もさらに多くが計画されています。加えて、フルスタックオブザーバビリティは対前年比(YoY)で58%増加しています。2026年半ばまでに、82%以上の回答者が、17のオブザーバビリティ機能の導入を予定しています。
ツール数は減っているが、ツールの分散は根強く存在
組織が使用するツールの数は、2022年と比較して減少しています。単一ツールを使用する割合は2倍以上に増加し、平均の使用ツール数は、約ツール1つ減少しました。ただし、統合型プラットフォームへの嗜好性が昨年から増加し、2倍になったにもかかわらず、ツールの分散は未だ解決していません。
オブザーバビリティにより、年間のROI 2倍を実現
言い換えれば、回答者は1ドル投資するごとに平均2ドルのリターンを得ていることになります。実際、大多数の回答者(86%)が、オブザーバビリティへの投資から価値を得たと回答しており、41%が年間総額100万ドル以上の価値を得ていると報告しています。オブザーバビリティのビジネス価値は明らかです。