オブザーバビリティの主な利点全般について、またフルスタックオブザーバビリティを実現させるメリット、オブザーバビリティへの年間投資から組織がどの程度の価値を得ているのか、オブザーバビリティへの年間投資利益率(ROI)の中央値、オブザーバビリティの実践にどのようにDevSecOpsを組み込むのがもっともセキュリティの向上に役立つのか、そしてオブザーバビリティはどのようにIT意思決定者(ITDM)と実務担当者の業務向上に役立つのかについて、調査を行いました。

オブザーバビリティの利点のハイライト:

100%

全回答者の年間ROIの中央値

53%

オブザーバビリティから年間50万ドル以上の価値を獲得

40%

オブザーバビリティはシステムのアップタイムと信頼性を向上させると回答

31%

オブザーバビリティにより業務が楽になったと回答

4%

オブザーバビリティの実践にDevSecOpsを未導入

オブザーバビリティの主な利点

回答者は、オブザーバビリティの導入のソリューションの結果として、明らかな利点を感じていることがわかりました。

  • 5分の2(40%)が、アップタイムと信頼性の改善が主な利点であると回答(昨年から13%増)
  • 3分の1以上が、運用効率の向上(38%)、セキュリティの脆弱性管理(34%)が最上位の利点と回答
  • 4分の1が、リアルユーザー体験の向上(27%)、開発者の生産性の向上(23%)が主な利点であると回答
これらの結果から、オブザーバビリティは引き続き、明確かつ肯定的なビジネスインパクトを与えていることが明らかになっていますが、そのインパクトが何かについては、回答者によって意見が分かれています。また、オブザーバビリティがどのように組織のビジネス、テクノロジー、収益を変革することができるかが示唆されています。
オブザーバビリティにより得られる主な利点

役割別の考察
IT意志決定者(ITDM)(39%)は、実務担当者(32%)に比べ、セキュリティの脆弱性管理が主な利点であるとの回答が多く見られました

地域別の考察
アジア太平洋(25%)は、欧州(18%)や北米(16%)に比べ、ビジネスまたは収益の成長を多く経験している傾向がありました

業界別の考察
運用効率の向上を経験しているのは、金融サービス/保険と非営利組織(いずれも42%)がもっとも多く、次いで教育、工業/原料/製造、小売/消費者(それぞれ40%)という結果となりました。

フルスタックオブザーバビリティの利点

本レポートで定義するところのフルスタックオブザーバビリティを実現しているかいないかで回答を切り分けてみると、フルスタックオブザーバビリティを実現している回答者は、多くの利点を享受していることが分かりました。

  フルスタックオブザーバビリティ を実現している フルスタックオブザーバビリティ を実現していない フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率
 25%以上のMTTRの改善を経験 フルスタックオブザーバビリティ を実現している35.7% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない28.1% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率27.0%
 重要なビジネスアプリケーションにおいて、システム停止によるダウンタイム1時間あたりの支出が25万ドル未満 フルスタックオブザーバビリティ を実現している42.1% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない34.6% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率21.7%
 アップタイムと信頼性の改善が、オブザーバビリティの主な利点であると回答 フルスタックオブザーバビリティ を実現している45.2% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない37.7% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率19.9%
 ビジネスインパクトの大きいシステム停止の検知が30分以内 フルスタックオブザーバビリティ を実現している54.0% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない45.5% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率18.7%
 ビジネスインパクトの大きいシステム停止の解決が30分以内 フルスタックオブザーバビリティ を実現している34.0% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない28.7% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率18.5%
 より統合されたテレメトリデータがある フルスタックオブザーバビリティ を実現している40.7% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない34.9% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率16.6%
 オブザーバビリティは中核的なビジネス目標の達成要因であると回答 フルスタックオブザーバビリティ を実現している43.2% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない37.7% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率14.6%
 ビジネスインパクトの大きいシステム停止の発生は月2〜3回以下 フルスタックオブザーバビリティ を実現している66.9% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない59.0% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率13.4%
 1つ以上の監視ツールでサービス中断を検知 フルスタックオブザーバビリティ を実現している78.8% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない70.1% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率12.4%
 オブザーバビリティ導入以来、MTTRが改善と回答 フルスタックオブザーバビリティ を実現している68.2% フルスタックオブザーバビリティ を実現していない62.5% フルスタックオブザーバビリティを実現している場合の増加率9.1%

フルスタックオブザーバビリティを実現している回答者は、フルスタックオブザーバビリティを実現していない回答者と比較して、システム停止に伴う年間のコストの中央値が37%低く、オブザーバビリティの年間ROIの中央値が14%高く、より強くオブザーバビリティを支持しています。

これらの結果から、多くの組織(67%)では未だフルスタックオブザーバビリティを実現していないものの、すでに実現した回答者はビジネス成果を向上させていることが分かります。例えば、フルスタックオブザーバビリティを実現した回答者は、実現していない場合と比較して、一貫してシステム停止が少なく、平均検出時間(MTTD)と平均復旧時間(MTTR)が短く、またシステム停止に伴うコストが低く、年間ROIの中央値が高くなっています。

フルスタックオブザーバビリティ

システム停止の減少

MTTDの短縮

MTTRの短縮

システム停止に伴うコストの
削減

ROIの
拡大

オブザーバビリティの価値

回答者に、自社組織がオブザーバビリティへの年間投資から得ている価値の額を尋ねました。回答は以下の通りです。

  • 半数以上(53%)が50万ドル以上
  • 5分の2(41%)が100万ドル以上
  • 11%のみが10万ドル未満

特筆すべき点として、現在5つ以上の機能を導入済みの回答者は、現在1〜4つの機能を導入済みの回答者に比べて、「オブザーバビリティへの投資から年間100万ドル以上の価値を得ている」との回答が、82%高くなりました。

加えて、成熟したオブザーバビリティの実践(当レポート内の定義において)を行っている組織の回答者は、オブザーバビリティの実践の成熟度が低い回答者に比べて、「自社のオブザーバビリティへの投資から年間100万ドル以上の価値を得ている」との回答が、48%高くなりました。

大多数(86%)が、オブザーバビリティへの投資から価値を得ていると回答しています。これらの結果から、オブザーバビリティから最大限の価値を得るためには、組織にはオブザーバビリティの導入とベストプラクティス実施の組み合わせが必要であることが窺えます。
オブザーバビリティへの投資から得ている年間の価値
41%

年間100万ドル以上の価値をオブザーバビリティから得ている

役割別の考察
エグゼクティブと実務担当者は、非エグゼクティブマネージャーと比べ、オブザーバビリティへの投資からより高い価値を得ているとの回答が多く見られました

組織規模別の考察
年間収益別での中規模および大規模組織は、概して小規模企業と比べ、オブザーバビリティからより高い価値を得ている傾向が高くなりました

オブザーバビリティの投資対効果(ROI)

オブザーバビリティによって得られる価値からさらに踏み込んで、支出と、推定される価値に基づき、年間のROIの中央値を算出しました。

年間ROIの中央値は、すべての回答者の全体で100%でした。言い換えると、回答者は1ドル投資するごとに2ドルのリターンを得ているということです。

従って、オブザーバビリティへの投資に対して得られる価値の中央値は、年間で投資額の2倍です。つまり、回答者はオブザーバビリティへの投資から2倍のリターンを年間で得ていることになります。

以下のことから、複数の要因が、ROIにさらにポジティブな効果をもたらします。

  • 本レポートの定義によるところのフルスタックオブザーバビリティを実現している組織の回答者は、実現していない回答者(100%)に比べて年間ROIの中央値が高い(114%)
  • 本レポートの定義によるところの成熟したオブザーバビリティを実践している組織の回答者は、成熟度の低い実践を行う回答者(100%)に比べて年間ROIの中央値が高い(250%)
  • 現在5つ以上の機能を導入している組織の回答者は、1〜4つを導入している組織(0%)に比べて年間ROIの中央値が高い(114%)
  • 現在5つ以上のオブザーバビリティの実践の特性を備えている組織の回答者は、1〜4つを備えている組織(100%)に比べて年間ROIの中央値が高い(114%)
これらの結果から、オブザーバビリティへの投資は利益をもたらすことが明らかになっています。

投資

利益

2倍のROI

2倍

オブザーバビリティの投資に対する年間ROI

地域別の考察
年間ROIの中央値は、欧州、北米(いずれも100%)と比べ、アジア太平洋(114%)がもっとも高い結果となりますた

組織規模別の考察
年間ROIの中央値は、大規模組織(年間収益による)が(114%)、中規模(100%)、小規模組織(損益ゼロ)と比べてもっとも高くなりました

業界別の考察
年間ROIの中央値は、エネルギー/ユーティリティ業界がもっとも高く(192%)、次いで教育、IT/テレコミュニケーション(いずれも114%)でした。政府機関と不特定業界では損益ゼロでした。その他すべての業界では、年間ROIの中央値は100%でした

セキュリティの向上

オブザーバビリティの実践において、DevSecOpsの組み込みがセキュリティの向上にどのように役立っているかを尋ねました。結果は以下の通りです。

  • 3分の1以上が、アプリケーションのセキュリティと可用性(38%)、またセキュリティチームとの連携(35%)が向上したと回答
  • 4分の1以上(26%)が、テレメトリーデータと併せてセキュリティデータも統合しており、これはビジネスオブザーバビリティにとって重要であると回答
  • オブザーバビリティの実践にDevSecOpsを未導入の組織はわずか4%
これらの結果から、大多数がオブザーバビリティの実践にDevSecOpsを導入し、セキュリティの向上に役立っていると回答しています。この傾向は、セキュリティ、ガバナンス、リスクへの注目の高まりと、コンプライアンスが最上位のオブザーバビリティ促進要因である、またセキュリティ監視がもっとも導入されている機能であるという事実と合致します。

地域別の考察
オブザーバビリティの実践にDevSecOpsを未導入との回答は、アジア太平洋(2%)や欧州(4%)と比べて、北米の回答者(7%)に多く見られました

業界別の考察
オブザーバビリティの実践にDevSecOpsを未導入との回答は、政府機関と教育業界にもっとも多く見られました(それぞれ8%と7%)

DevSecOpsにオブザーバビリティを取り入れることが、セキュリティの向上にどのように役立っているか

業務の改善

オブザーバビリティが業務の改善にどのように貢献しているか、実務担当者とIT意思決定者(ITDM)に尋ねました。それぞれ役割に応じたオブザーバビリティとの関わり方が反映されています。

  • 実務担当者のほぼ半数(46%)が、生産性が向上して問題の特定と解決が速くなったと回答
  • IT意思決定者(ITDM)の約3分の1が、技術的な主要パフォーマンス指標(KPI)(35%)やビジネスKPI(31%)の達成に役立つと回答
  • すべての役割が、仕事が楽になると考えている(ITDMが35%、実務担当者が29%)
これらの結果は、開発者とエンジニアが、労力を削減し、チーム間の連携を高め、注力すべき業務に時間を使えるようになるためのデータドリブンな解決策を求めていることを示しています。一方で、ITDMは、戦略とKPIの達成により注目していました。
31%

オブザーバビリティにより業務が楽になったと回答

オブザーバビリティはどのような点でIT意思決定者(ITDM)の業務改善にもっとも役立つか
オブザーバビリティはどのような点で実務担当者の業務改善にもっとも役立つか

オブザーバビリティは、ある種の大規模な問題の解決に役立ち、私たちの生活を楽にしてくれます。心配の種が減り、確認しなければならないことが減るからです。おかげで、私たちの業務は確実にシンプルに、楽になっています。そして、会社のリスクを確実に減らしてくれてもいます。