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ここでは、オブザーバビリティを実現するために導入されている機能と、利用されているツールの数、回答者がどのようにシステム停止を検知しているか、備えているオブザーバビリティの特性、そして調査実施時点での年間のオブザーバビリティに対する支出について考察します。

導入状況のハイライト:

85%

5つ以上の機能を導入済み

63%

4つ以上のツールを切り替えて使用

45%

オブザーバビリティに年間50万ドル以上を支出

33%

フルスタックオブザーバビリティを実現

25%

効率の悪い方法でシステム停止を検知

導入済みのオブザーバビリティ機能

機能は、特定のツールに限定されるものではなく、オブザーバビリティを実現するために必要となる能力です。回答者に、17のオブザーバビリティ機能のうち、導入済みのものはどれかを尋ねました。以下に、機能別、機能数別、フルスタックオブザーバビリティの実現に使用されている数別の結果を概観します。

機能別

調査結果では、オブザーバビリティ機能別の導入の割合は、セキュリティ監視が75%で最多であり、外形監視が23%で最小であることが分かりました。結果は以下の通りです。

  • 約4分の3が、セキュリティ監視とネットワーク監視を導入済みで、今年も最上位として肩を並べているものの、セキュリティがネットワークを若干上回る(いずれも対前年比で30%以上の増加)
  • ダッシュボードの導入は最も大きく変動したものの1つで、第9位から第4位に上昇(対前年比で40%増)
  • 歴史が長く、確立されている機能の多くは対前年比で導入が増加している一方、比較的新しい機能の多くは減少している(サーバーレス、機械学習モデルパフォーマンス、Kubernetes監視)

機能別のハイライトを見る

地域別の考察
北米は、現時点でのセキュリティ、ネットワーク、データベース、インフラストラクチャ監視、アラート、ダッシュボード、ログ管理の導入が顕著に見られます。

組織規模別の考察
大規模組織は、すべての機能において導入の割合がもっとも高く、小規模組織でもっとも低くなりました。

導入済みオブザーバビリティ機能の2022年と2023年の比較

機能数別

回答者の組織で導入されている機能の数については、以下のことが明らかになっています。

  • 2023年、組織は昨年より多くのオブザーバビリティ機能を導入(導入機能数の中央値は、2022年で6項目が、2023年では9〜10項目)
  • 半数以上(56%)が6〜11項目を導入済み(12%が1〜4項目、85%が5項目以上、42%が10項目以上)
  • 17すべてのオブザーバビリティ機能を導入済みと答えた組織はわずか1.5%(2022年の3%から減少)
これらの結果から、大多数の組織では現時点で技術スタック全体を監視してはいないものの、状況は変化しつつあり、対前年比でより多くの機能が導入され、今後もさらに導入を進める計画があることを示しています。

導入計画について

2023年と2022年のオブザーバビリティ導入比較
85%

5つ以上の機能を導入済み

地域別の考察
欧州は他の地域よりも導入機能数の中央値が結果となっています(現時点での機能は8項目、対してアジア太平洋は9〜10項目、北米は10項目)

組織規模別の考察
大規模組織は、10以上の機能を導入済みと回答する割合がもっとも高くなりました(48%、対して小規模組織は29%、中規模組織は35%)

業界別の考察
IT/テレコミュニケーション組織は、導入数がもっとも多く、非営利組織でもっとも少ない傾向が見られました

フルスタックオブザーバビリティの普及

本レポートでのフルスタックオブザーバビリティの定義に基づくと、3分の1(33%)の回答者がこれを実現しており、昨年と比べて58%増加しました。

これらの結果から、組織は未だ技術スタックの大部分を完全に監視、または管理してはいないことを示していますが、状況は進展しています。
顕著な点として、フルスタックオブザーバビリティを実現している組織は、実現していない組織と比較して、システム停止が少なく、平均検出時間(MTTD)と平均復旧時間(MTTR)が短く、システム停止に伴うコストが低く、年間投資利益率(ROI)の中央値が高くなっています。

フルスタックオブザーバビリティ実現の利点については、こちらの結果をご覧ください

フルスタックオブザーバビリティの有無について、2023年と2022年の組織の割合に関する比較
67%

フルスタックオブザーバビリティを実現していない

地域別の考察
欧州の組織では、フルスタックオブザーバビリティを実現している傾向が低く(28%)、アジア太平洋と北米の組織ではより多い傾向にありました(それぞれ35%と34%)

組織規模別の考察
フルスタックオブザーバビリティを実現している組織は、大規模組織が38%、中規模組織が27%、小規模組織は22%でした

業界別の考察
フルスタックオブザーバビリティを実現しているのは、IT/テレコミュニケーションの組織にもっとも多く(43%)、次いで金融サービス/保険(38%)、工業/原料/製造(36%)でした。もっとも少ないのは、非営利組織(4%)で、次いで教育(19%)でした

監視ツール数

システムの健全性を監視するために使用しているツール数を尋ねました。大多数の回答者は複数のツールを使用している、と回答しました。

  • 回答者の86%が2つ以上のツールを使用し(2022年から9%減少)、63%が4つ以上(2022年から23%減少)、また5分の1(19%)が8つ以上(2022年から14%減少)を使用
  • 使用していると回答されたツール数でもっとも多かったのは、2つと5つ(それぞれ13%)で、2022年の7つから減少、また平均ツール数は5.1(2022年の5.9から14%減少)
  • オブザーバビリティを1つのツールで実現しているという回答はわずか5%(2022年から171%増)
オブザーバビリティの現状は、基本的には複数ツールとそれに伴う分断化が多く見られ、必然的に管理が複雑になっていると言えます。実際、25%の回答者は、監視ツールが多すぎることがフルスタックオブザーバビリティの実現を阻む最大の課題であると述べています。
ただし、今回の結果は、組織が使用するツール数は昨年に比べて減っていることを示唆しており、単一のツールを使用する回答者の割合は2倍以上となっています。また、使用しているツール数の平均はほぼツール1つ分減少しています。昨年と比較してツール数が減少していることと、54%が単一の統合型プラットフォームが望ましいと回答している事実は、ツール統合への移行を裏付けるものです。
オブザーバビリティの機能を実現するために使用されるツール数の2023年と2022年の比較
63%

未だに4つ以上のオブザーバビリティツールを切り替えて使用

地域別の考察
アジア太平洋全体では、24%が8つ以上とより多くのツールを使用する傾向が見られ、これに対して欧州は19%、北米は12%でした。北米の回答者は、単一のツールを使用している傾向が多く見られました(7%、アジア太平洋は3%、欧州は5%)

組織規模別の考察
全般的に、大規模組織は中小規模の組織と比較してより多くのツールを使用している傾向が見られました。これはおそらく、より多くの事業部があり、自立的な運営が多いためと思われます

業界別の考察
IT/テレコミュニケーション、エネルギー/ユーティリティ、小売/消費者業界は、全般的により多くのツールを使用している傾向が多く見られました。政府機関、医療/製薬、教育、非営利組織は、単一のツールを使用している傾向が多く見られました

システム停止の検知

システム停止を最初に検知する方法について、各組織ではどのように実施しているかを回答者に尋ねました。調査結果は以下の通りです。

  • 「複数の監視ツール」が依然として多数(58%)で、他のすべての選択肢からこの選択肢にシフトしており、この回答は対前年比で12ポイントと大幅に上昇(25%増)。単一のオブザーバビリティプラットフォームは対前年比で25%減
  • 約4分の3(73%)が、監視ツールでシステム停止を検知(2022年の67%から増加)
  • 残りの4分の1(25%)は、未だに手動チェック、苦情、インシデントチケット(2022年の33%から減少)といった効率の悪い方法でシステム停止を検知すると回答
組織は、システム停止を検知するための手動チェックや苦情、インシデントチケットなどの効率の悪い方法への依存を減らし、自動化された監視ツールを使用するようになっています。
複数ツールを通じて最初にシステム停止を検知する割合が増えていることは、回答者がオブザーバビリティ目的で導入している監視ツール数の多さを考えれば当然のことと言えます。これらの結果から、ツールのサイロは目下の課題であり、組織は、支出の管理という観点において、使用すべきツール数に関して堅実な戦略が必要であることを示唆しているように思われます。
さらに、昨年同様「どのように最初にシステム停止を検知しているか」と、「テレメトリーデータがどのように統合されているか」の2つの設問に対する回答には、明らかな関連性がみられました。概して、テレメトリーデータが統合されているほど、システム停止の検知は単一のオブザーバビリティツールを通じて行われていました。
回答者がどのようにソフトウェアおよびシステムの中断を検知しているか、2023年と2022年の比較
25%

未だに効率の悪い方法でシステム停止を検知

どのようにシステム停止を検知しているか

地域別の考察
欧州の回答者は、単一のオブザーバビリティプラットフォームでシステム停止を検知するとの回答がもっとも多く、北米では複数の監視ツール、アジア太平洋では手動チェック、苦情、インシデントチケットが多くなりました

組織規模別の考察
中規模・大規模組織は、複数のツールを通じてシステム停止を検知している傾向が高く、一方で小規模組織は、手動チェックや苦情、インシデントチケットを使用している傾向にありました

テレメトリーデータの統合とサイロ

回答者に、組織のテレメトリーデータがどのように統合、またはサイロ化されているかについて尋ねました。回答は以下の通りです。

  • 全体として、40%がよりサイロ化されたテレメトリーデータ(2022年から22%増)、対して37%がより統合されたテレメトリーデータ(2022年から25%減)を保持しており、大まかに二分されている
  • ややサイロ化されているとの回答が最も多く(27%)、13%が「大部分がサイロ化されている(テレメトリーデータを個別のデータストアに分割して置いている)」と回答
  • 「ほぼテレメトリーデータを統合している(テレメトリーデータを1箇所に統合している)」との回答は14%のみ

8つ以上のツールを使用している回答者は、単一のツールを使用する回答者(42%)に比べて、よりサイロ化されたテレメトリーデータを保持している、との回答が多く見られました(46%)。

より統合されたテレメトリーデータを保持する回答者は、サイロ化されたテレメトリーデータを持つ回答者と比べて、ビジネスインパクトの大きいシステム停止が少なく、MTTDとMTTRが短い傾向が見られました。

  • 3分の2(66%)が、システム停止は月2〜3回以下(「サイロ化されたテレメトリーデータ」の回答者では55%)
  • 半数以上(51%)が、システム停止を30分以内に検知(「サイロ化されたテレメトリーデータ」の回答者では47%)
  • 約3分の1(32%)が、システム停止を30分以内に解決(「サイロ化されたテレメトリーデータ」の回答者では30%)

注目すべき点として、よりサイロ化されていると回答した40%のうち、68%が実際には単一の統合型プラットフォームを強く望んでいることが示唆されています。

今年の調査では、組織におけるテレメトリーデータはサイロ化されている傾向が強いことが分かりました。サイロ化され、分断されたデータはユーザー体験に課題を生むため(高価、コンテキストの欠如、トラブルシューティングの遅延)、組織内にサイロがあればあるほど、統合化への要望は高まります。様々なサイロからのデータを扱うのにもっとも苦労しているであろう回答者は、より簡潔なオブザーバビリティソリューションを切望していると推察されます。
このデータは、より統合的なデータが増えれば、望ましいサービスレベル指標を得やすくなることも示しています。
テレメトリーデータの統合化、サイロ化の割合 - 2023年と2022年の比較
統合またはサイロ化されたテレメトリーデータの概要

地域別の考察
欧州と北米では、統合されたデータ(いずれも約3分の1)よりサイロ化されたデータ(いずれも43%)を保持している、と回答しています。対照的に、アジア太平洋の回答者は、サイロ化されたデータ(36%)より統合されたデータ(41%)を保持していると回答しています

組織規模別の考察
小規模組織(34%)、中規模組織(35%)に比べ、大規模組織(38%)では、より統合されたデータを保持している、との回答がもっとも多く見られました。小規模組織では、サイロ化されたデータがもっとも多い傾向にありました(43%、中規模組織で38%、大規模組織で40%)

業界別の考察
医療/製薬、サービス/コンサルティングでは、サイロ化したデータがもっとも多い傾向が見られ(いずれも48%)、一方で政府機関(50%)と非営利組織(46%)では、統合されたデータがもっとも多くなりました。

オブザーバビリティ実践の特性

回答者に、オブザーバビリティを実践するための15の特性(機能やツールと混同しないよう差別化)のうち、実践しているものはどれかを尋ねました。以下は、特性別、特性数別、また成熟したオブザーバビリティの実現に寄与する数別の結果です。

特性別

もっとも多いもので46%(連携強化)、もっとも少ないもので21%(カーディナリティの高いデータの取り込み)が、オブザーバビリティを実践する上で特性として実装されていると回答しました。結果は以下の通りです。

  • 全般的に、ほぼ全てのオブザーバビリティ実践の特性を導入しているとの回答は減少(対前年比で、10は減少、5は増加)
  • 上位3位の回答は昨年と同じで、約半数(46%)が、オブザーバビリティにより、技術スタックを横断した判断が必要な場合におけるチーム間の連携が強化されたと回答

注目すべき点として、イベントやインシデントのビジネスインパクトを定量化するために、ビジネスでの文脈を考慮し、テレメトリーデータに含めていると答えた回答者の数は、対前年比で10ポイントまたは27%減少しました。また、自社組織が技術スタック全体のテレメトリーデータを収集していると答えた回答者の数は、対前年比で13%減少しました。いずれの特性もビジネスオブザーバビリティの実現には重要であるため、これらの現象は懸念材料です。

これらの結果は、多くのオブザーバビリティツールはビジネスでの文脈を欠いているため、多くの組織がテクノロジーのビジネスインパクトの数値化に苦労し、テクノロジー分析とビジネス分析とを分けて考えがちであることを示唆しています。ビジネスコンテキストが自然にテレメトリーデータに追加されるようになっていくとは考えにくく、そこには何らかの意図が必要となります。
オブザーバビリティプラットフォームは、ビジネスメトリクスも取り込むことができます。必要なのは発想の転換です。組織には、オブザーバビリティを単に問題解決の保険としてではなく、ビジネスの成功要因として活用するチャンスがあります。これには、ボトムアップ(テクノロジー、速度と供給)だけではなく、トップダウンの思考(製品、サービス、顧客、ビジネスプロセス)が必要です。
46%

オブザーバビリティはチーム間の連携を強化すると回答

業界別の考察
特にシステム停止がより深刻な問題となる業界において、テレメトリーデータがビジネスでの文脈を考慮してイベントやインシデントのビジネスインパクトを数値化しているとの回答が多く見られました。主にエネルギー/ユーティリティ(33%)、小売/消費者(32%)、IT/テレコミュニケーション(31%)などの業界です。これは、ビジネスの文脈が注力すべき優先順位付けに役立つためと思われます。

すでに実践しているオブザーバビリティの特性:2023年と2022年の比較

特性の数別

回答者の組織で導入されているオブザーバビリティの実践の特性の数については、以下のことが分かりました。

  • 15すべての特性を備えていると答えた回答者は1%に過ぎず、ほぼ昨年と同程度
  • 何も備えていないと答えた回答者はわずか4%(昨年の1%からは増加)
  • ほぼ半数(49%)が3〜5つを備えており、これは昨年から微減(50%が1〜4つ、46%が5つ以上、9%が10以上)
備えているオブザーバビリティの実践の特性数の2023年と2022年の比較

役割別の考察
顕著な点として、エグゼクティブ(61%)は、非エグゼクティブマネージャー(45%)や実務担当者(40%)に比べ、5つ以上の特性を導入しているとの回答がきわめて多い傾向にありました

地域別の考察
アジア太平洋(49%)では全体として、欧州(46%)、北米(41%)に比べ、5つ以上の特性を導入しているとの回答が多く見られました

組織規模別の考察
大規模組織の回答者は、5つ以上の特性を導入している(51%)と回答する傾向が、小規模組織(26%)と中規模組織(42%)に比べてきわめて高くなりました

業界別の考察
5つ以上の特性を導入しているとの回答は、IT/テレコミュニケーション(58%)の回答者にもっとも多く、次いで小売/消費者(46%)、金融サービス/保険(45%)でした。もっとも少ないのは教育業界でした(29%)

成熟したオブザーバビリティ実践の普及

本レポートでの「成熟したオブザーバビリティの実践」の定義に基づくと、成熟したオブザーバビリティを実践している回答者は5%にとどまりました(昨年と同様)。成熟したオブザーバビリティを実践する回答者は、オブザーバビリティの特性を多く備えている傾向も見られ、77%が10項目以上、そのうち25%が15項目すべてを備えていました。

顕著な点として、成熟したオブザーバビリティを実践している全回答者85人(100%)が、オブザーバビリティにより顧客行動に対する理解が深まったことで収益維持率が向上したと回答しました。これに対し、実践の成熟度の乏しい回答者では31%でした(2022年と同様)。

成熟したオブザーバビリティとフルスタックオブザーバビリティの両方を実現している回答者は、3%のみでした。ほぼ3分の2(65%)が、成熟したオブザーバビリティを実践できておらず、フルスタックオブザーバビリティも実現できていないと回答しています。

成熟したオブザーバビリティの実践における、2023年と2022年の比較
5%未満

成熟したオブザーバビリティを実践

地域別の考察
欧州は全般的に、北米、アジア太平洋(いずれも5%)に比べ、成熟したオブザーバビリティを実践しているとの回答がもっとも少ない(3%)傾向が見られました。

組織規模別の考察
小規模組織(1%)、中規模組織(3%)に比べ、大規模組織(6%)では、成熟したオブザーバビリティを実践しているとの回答が多く見られました。

業界別の考察
成熟したオブザーバビリティを実践しているとの回答は、小売/消費者業界(8%)でもっとも多く、次いでサービス/コンサルティング(7%)でした。もっとも少ないのは、エネルギー/ユーティリティと教育業界の回答者でした(いずれも1%)

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オブザーバビリティの年間支出

回答者に、自社組織のオブザーバビリティの年間支出額を尋ねました。回答は以下の通りです。

  • 10万ドル未満の支出は14%のみ、77%が10万ドル以上を支出
  • ほぼ3分の2(64%)が10万ドル〜250万ドルを支出
  • 約半数(45%)が、50万ドル以上を支出
  • 約10分の3(29%)が、100万ドル以上を支出
  • 13%のみが250万ドル以上を支出

本レポートでの「オブザーバビリティの成熟度」の定義に基づくと、成熟度の高い組織は、より多くの予算をオブザーバビリティに支出している傾向にありました。59%が年間50万ドル以上を支出し、これに対して成熟度の少ない組織では45%でした。

オブザーバビリティへの支出が増えるほど、オブザーバビリティは中核的なビジネス目標の達成要因であり、オブザーバビリティを導入してからMTTR(平均復旧時間)が改善したと回答する傾向が高くなりました。

顕著な点として、組織が単一のオブザーバビリティツールを使用している場合、オブザーバビリティへの年間支出が10万ドル以下であるとの回答がもっとも多くなりました(44%、対して2つ以上のツールを使用する組織では13%)。逆に、8つ以上のツールを使用していると回答した組織では、年間100万ドル以上を支出しているとの回答が多くなりました(49%、対して単一ツール使用の組織では5%)。また、10以上のツールを使用している組織では、年間500万ドル以上を支出しているとの回答がもっとも多くなりました(14%、対して単一ツール使用の組織では0%)。

加えて、自社組織で年間10万ドル以上をオブザーバビリティに支出しているとした回答者は、フルスタックオブザーバビリティを阻む主な課題として、多すぎるツールと高すぎるツールコストをもっとも多く挙げました(いずれも25%)。

これらの結果から、オブザーバビリティへの投資はよりよいビジネス成果を導き、単一のオブザーバビリティツールの使用は、複数ツールの使用よりもコスト効率に優れていることを示しています。組織がツールの一部、もしくはすべてを統合すれば、複数ツールへの投資を節約できる可能性があります。

「来年に向けたオブザーバビリティへの支出から最大の価値を引き出すための計画」と、「年間ROIの中央値」について、ご覧ください。

45%

オブザーバビリティに年間50万ドル以上を支出

役割別の考察
自社組織のオブザーバビリティへの年間支出額を把握していないとの回答は、ITDM(4%)に比べて実務担当者(11%)に多くみられました。

地域別の考察
アジア太平洋では、オブザーバビリティへの年間支出額が高い傾向がみられ(52%が年間50万ドル以上を支出)、これに対して欧州は47%、北米は32%でした。

組織規模別の考察
オブザーバビリティの支出は、年間収益と相関しています。概して、組織の年間収益が高いほど、オブザーバビリティの年間支出も高くなります。例えば、大規模組織の53%が年間50万ドル以上を支出しており、対して中規模組織は41%、小規模組織は23%です

業界別の考察
年間50万ドル以上を支出している傾向が多くみられたのは、エネルギー/ユーティリティ(68%)、金融サービス/保険(49%)、小売/消費者(49%)、IT/テレコミュニケーション(45%)でした。支出が年間10万ドル以下の傾向が多く見られたのは、サービス/コンサルティング(21%)、教育(20%)、医療/製薬(20%)でした

年間収益別のオブザーバビリティの年間支出の割合