パナソニック|外出中でもスマートフォンで来客応対できる「AIドアホン」のユーザー体験を向上

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利用用途

玄関子機-室内親機-クラウド-スマホアプリが連携する「AIドアホン」のユーザー体験を可視化し、ボトルネックの解消とサービス品質の向上のためにオブザーバビリティを活用

New Relicの導入目的と成果

  • OpenTelemetryとNew Relicの連携によりエッジデバイス(玄関子機と室内親機)の監視を実現
  • 分散トレーシングにより「ピンポンからスマホ着信まで」1つのリクエストをエンドツーエンドで追跡
  • 玄関子機-室内親機-クラウド-スマホアプリが連携する「AIドアホン」のユーザー体験を可視化
  • パフォーマンスボトルネックを特定し、ソフトウェアの改修により非同期処理などを改善
  • ユーザーが体感できるレベルでレスポンスを改善

利用製品

  • New Relic APM
  • 分散トレーシング
  • New Relic Dashboards
  • New Relic Infrastructure
  • New Relic Logs

2026年6月18日、パナソニックが「エッジAI」を搭載する新型ドアホンの販売を開始した。玄関子機が来訪者を識別し、室内親機が事前に登録された人の名前を読み上げたり、登録のない来訪者にはメッセージを流して自動応答することもできる。同社 コミュニケーションネットワーク事業部 商品企画部でインターカムの商品企画を担当する辻俊一氏は次のように話す。

「最新のAIドアホン(VL-X70AHS)は、エッジAIによる顔認証機能、自宅前の見守り機能を搭載していることが大きな特長です。エッジAIを搭載することで、クラウドと通信することなくローカルでの処理速度を向上させ、来訪者の確認、自宅前の見守りといったAIによるセキュリティ・防犯機能を強化しています。さらに、スマートフォンによる『どこでも来客応対』などの便利機能も、より快適にご利用いただけるようになりました」

パナソニックグループは2026年4月1日より新体制に移行し、新生パナソニック株式会社には映像・音響機器、家電・くらし関連の事業が統合された。より強力にグループシナジーを発揮させながら、スマートライフにフォーカスした事業会社として顧客価値を高めていく戦略だ。

「私たちのAIドアホンは、『何気ない日常を、かけがえのない一日へ変えていく』というパナソニックのミッションの一翼を担っています。エンターテインメント&コミュニケーション領域における『感動』というテーマとともに、もうひとつの軸である『安心』をお客様にお届けするものです」(辻氏)

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パナソニック株式会社 コミュニケーションネットワーク事業部 商品企画部 インターカム商品企画課 辻俊一氏

パナソニックのAIドアホンは、暮らしに役立つ&暮らしを守る機能を誰にでも使いやすい形で進化させながら、システム製品・システムサービスとしての性格を強めている。コミュニケーションネットワーク事業部 ソフトウェア設計部の藤野将弘氏は次のように話す。

「AIドアホンは、玄関子機、室内親機、クラウド、スマートフォンアプリが連携し、お客様価値の高いサービスを実現しています。私たちは、最新のAIドアホン(VL-X70AHS)の提供に際して、子機・親機で稼働するアプリケーションだけでなく、クラウド上のサービス基盤もスマホアプリも抜本的に見直し、お客様にとってより使いやすく、より高品質なサービスをお届けできるシステムとして完成させました。その一環として、システム状況とお客様体験を定量的に評価し、商品力を向上させるためにNew Relicを採用し活用を進めています」

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パナソニック最新のAIドアホン(VL-X70AHS

左より室内親機、ワイヤレスモニター子機、玄関子機。タッチパネル型の室内親機は、IoTゲートウェイとしてクラウドおよびスマートフォンと接続する。

IoTデバイスを網羅する分散トレーシング

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、国内では48%のトップシェアを獲得している。デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にし、アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する。藤野氏は、New Relicの採用に至った背景を次のように説明する。

「パナソニックのAIドアホンは、外出先でもスマートフォンでリアルタイムに映像と音声で来客応対が可能です。この『どこでも来客応対』は、お客様価値の高いサービスのひとつとしてご好評をいただいていますが、ピンポンからスマートフォンへの着信までにタイムラグが発生する事象が報告されていました。しかし従来は、原因を特定することはおろか、遅延の発生を把握することすら困難でした」

そこで藤野氏が着目したのが、New Relic APMによる「分散トレーシング」だった。

「New Relicを活用し、玄関子機での『ピンポン』を起点とするリクエストが、室内親機、クラウドと連携してスマホに『着信』するまでを一気通貫で可視化しようと考えました。分散トレーシングをクラウドからエッジデバイス(玄関子機と室内親機)にまで広げて適用するために、OpenTelemetryが収集した観測データをNew Relicで可視化することがポイントです」(藤野氏)

AIドアホン(VL-X70AHS)の子機・親機のソフトウェアはC++により新規で開発された。オープンソースのオブザーバビリティフレームワークであるOpenTelemetryでは、C++に対応したSDK・APIライブラリが提供されており、藤野氏はこれを利用して親機への実装を行った。

「着信タイムラグの原因となっているボトルネックを把握することが最初の目標でした。私たちは、ドアホン内部のトレースと、AWS上のサーバーのトレースを『ひとつのトレースID』でつなぎ、New Relic APM上で可視化しました。これにより『ピンポンからスマホ着信まで』『着信から映像を流すまで』のどこでどれだけ時間がかかっているか一目瞭然となりました」(藤野氏)

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パナソニック株式会社 コミュニケーションネットワーク事業部 ソフト設計部 藤野将弘氏

「ピンポン」から「着信」、映像・音声での「応対」まで

玄関子機での「ピンポン」からスマホへの「着信」、映像・音声による「応対」まで、AIドアホンの「どこでも来客応対」はおおよそ次のようなシステムフローで実現されている。

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①室内親機にて家族の顔をID登録 
②家族が玄関子機でピンポンすると親機に通知が行く 
③子機と親機のエッジAIが連携して家族のラベルを判断 
④ラベルと共にスマートフォンにプッシュ送信するためにクラウドへ通知 
⑤クラウドからスマホへプッシュ通知を送信 
⑥プッシュ通知を受けると専用アプリが自動的に起動 
⑦親機-スマホアプリ間でP2Pアクセスの経路が確立 
⑧親機-スマホアプリ間で相手の顔を見ながら通話 
⑨必要に応じて玄関ドアの電気錠の操作も可能

子機と親機が連携して登録された顔のラベルを判断するなど、エッジAIの果たす役割は大きい。一方、クラウド上のサービス基盤は、親機-スマホアプリ間でのP2P接続に必要な情報の「橋渡し役」に特化している。

「匿名のお客様ごとの処理フローを特定し、お客様ごとの体験を可視化するためにNew Relicの『カスタム属性』を活用しています。親機IDをカスタム属性に組み込むアイディアを含め、トレースの設計ではNew Relic技術チームのアドバイスに助けられました」(藤野氏)

継続的にサービス品質を改善するための基盤

New Relicによって「どこでも来客応対」のシステムプロセスと顧客体験が可視化されたことで、藤野氏はサービス品質の改善に寄与する打ち手の絞り込みが可能になった。

「一例ですが、親機とスマホ間でP2P接続が確立した直後のプロセスを非同期処理に変更することで、動画が表示されるまでの時間を短縮しました。これを含め、ロジック全体の見直しとアプリケーションの改修を進めた結果、明らかに体感スピードが改善されました。また、AWS上での遅延箇所も確認できていますので改善策の検討を開始しています」(藤野氏)

商品企画の辻氏は、「お客様の声を数値化できる、リアルタイムで可視化できることに非常に大きな意義を感じている」と話しつつ次のように期待を示した。

「インターカム事業部門のトップもNew Relicの有用性を評価し、より幅広い活用に支持を表明しています。New Relicのダッシュボードで手に入る情報は、新製品開発においても有益な検討材料となるものです。私たち商品企画としては、ソフトウェア開発チーム、カスタマーサービスチームと連携しながら、お客様が求める商品とサービスを具現化していきたいと考えています」

大規模なIoTデバイスを監視する上では、ユーザー数と取り込むデータ量でコストが決まるNew Relicのライセンス体系は非常に有利だ。藤野氏は、「お客様の利用傾向やシステムの負荷状況を俯瞰的に把握して、問題を早期に発見できるようにすることが目の前の目標」と話しつつ次のように結んだ。

「データに基づく意思決定により、継続的なサービス品質の改善につなげていく――New Relicによりそのための基盤が整備されました。New Relicで観測できる範囲はまだたくさんありますので、段階的に拡張してお客様体験を磨き上げていきたいと考えています。AIドアホンにNew Relicによるシステム監視をセットにして、ホームセキュリティを強化できたら嬉しいですね。New Relic日本法人には、テクノロジーだけでなく私たちのビジネスパートナーとしての活躍も期待しています」

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写真左:パナソニック株式会社 コミュニケーションネットワーク事業部 ソフト設計部 ソフト設計四課 永吉徹氏

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