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欧州では、欧州連合データ法案やデータガバナンス法(DGA)などの新たな規制に準拠するためのデータ戦略の強化が進められています。従って、欧州各国のアンケート回答者が、セキュリティ、ガバナンス、リスク、コンプライアンスをオブザーバビリティのニーズ促進要因として挙げる(48%)のも当然のことと言えます。その他の要因として、ビジネスアプリケーションのワークフローへの統合(39%)、マルチクラウド環境への移行(37%)、人工知能(AI)技術の導入(37%)、クラウドネイティブのアプリケーションアーキテクチャーの開発(37%)などがあります。

彼らは、より多くの機能を導入することによるオブザーバビリティへの投資拡大を予定しているものの、ツールの分散に苦労しています。59%が単一の統合プラットフォームを望んでいながら、半数は5つ以上のツールを使用しています。また、サイロ化されたテレメトリーデータを持つ傾向も多く見られます(43%)。約半数が、予算不足と併せ、監視ツールが多すぎることを最大の課題として挙げています。

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ダウンタイムは対前年比で減少したものの、依然として高コスト
欧州の回答者では、2023年にビジネスインパクトの大きいシステム停止が週1回以上発生する割合は、2022年(56%)と比べて43%減の32%でした。システム停止の検知に30分以上かかるとの回答は、2023年(41%)は2022年(53%)から23%減少しているものの、58%がその解決に30分以上を要し、対前年比、2023年の全体平均ともほぼ同じです。

ただし、これらのシステム停止は平均よりも高コストとなっています。3分の1以上(35%)の回答者が、1時間あたりのダウンタイムのコストを50万ドル以上、25%が100万ドル以上と回答しています。それにより、年間のシステム停止コストの中央値は、全体平均の775万ドルに対して842万ドルとなっています。

導入は遅れているが、変化の兆し
欧州は、他地域と比べてオブザーバビリティ導入メントが最も低い地域でした。10以上の機能を導入済みとの回答は38%(全体平均は42%、昨年は32%)、フルスタックオブザーバビリティの実現は28%(全体平均は33%)、成熟したオブザーバビリティの実践は3%(全体平均は5%)と、いずれも最も低い傾向にありました。

しかし、これは変わりつつあります。大多数(89%)が、来年には1つ以上の機能追加を計画しており、これは他の地域と比べて最多です。また、全体平均より多い半数近く(47%)が、5つ以上の機能追加を計画しています。今後1〜3年間で計画されている主な機能は、機械学習(ML)モデルパフォーマンスモニタリング(50%)、AIOps (48%)、ディストリビューティッド(分散)トレーシング(48%)、サーバレス監視(47%)、Kubernetes(K8s)監視(45%)です。

次年度にオブザーバビリティ投資の価値を最大化するため、47%が既存のオブザーバビリティツールを最大限活用する方法についてのトレーニングを計画し、43%がツール統合を計画しています。

オブザーバビリティはビジネス価値を促進している
欧州の回答者は、オブザーバビリティへの投資から年間50万ドル以上(55%)、また100万ドル以上(43%)の総価値を得ているとの回答が平均より多く、500万ドル以上(24%)との回答は最多でした。2倍の年間投資利益率(ROI)中央値を得ています。

また、オブザーバビリティソリューションの導入後、平均復旧時間(MTTR)がある程度改善したとの回答が、最も多い傾向にありました(68%)。オブザーバビリティの主な利点の上位は、システムのアップタイムと信頼性の向上(42%)、運用効率の向上(36%)でした。

欧州の国別ハイライト
各国の結果の考察から、以下のことがわかりました。
フランス 🇫🇷 昨年からダウンタイムが短縮しましたが、今もダウンタイムの頻発、システム停止の高コスト、技術スタックの監視不足、監視ツールが多すぎることが課題です。
ドイツ 🇩🇪 顕著な点として、システム停止のコストが比較的低いこと、システム停止の少なさ、平均検出時間(MTTD)の短さ、監視ツールの少なさ、高いROIとビジネス価値が挙げられます。技術スタック監視の拡大が計画されているため、これらの改善傾向は続くと見られます。
英国およびアイルランド 🇬🇧 🇮🇪 システム停止の検知と解決が全体平均より速く、昨年よりも短縮しています。また、導入メントが増加し、オブザーバビリティツール数が削減され、平均を上回るROIを得ています。ただし、システム停止は今も頻発し高コストであり、フルスタックオブザーバビリティの整備は遅れています。ツールの分散とサイロ化されたテレメトリーデータが課題です。

フランス 🇫🇷

フランスの組織は技術ハブとみなされ、AI、サステナビリティ、デジタル化に多大な投資を行う傾向が見られます。また、早期にオブザーバビリティを導入し、ツール統合を優先する傾向にあります。データでは、フランスの回答者の新技術に対する強い関心が示されており、オブザーバビリティがチーム間の連携をいかに強化するかの認識も浸透しています。

フランスにおいてオブザーバビリティのニーズを牽引する技術戦略、トレンドの上位は、セキュリティ、ガバナンス、リスク、コンプライアンスへの注力(43%)、AI技術(43%)とモノのインターネット(IoT)技術(35%)の導入、ビジネスアプリのワークフローへの統合(35%)、マルチクラウド環境への移行(34%)などです。

フランスにおける他の主要なポイントを見ていきましょう。

63%

単一の統合型オブザーバビリティプラットフォームを望んでいる

ダウンタイムは対前年比で減少、ダウンタイムの頻発とシステム停止の高コストが依然として課題
フランスの回答者は、ビジネスインパクトの大きいシステム停止を週1回以上経験している傾向が平均より高いものの(34%)、昨年比では33%の減少です。5分の2がシステム停止の検知に30分以上かかり(2020年は62%)、63%がその解決に30分以上を要しています(2022年は66%)。このために、かなりのダウンタイムが発生しています。

また、重要なビジネスアプリケーションのシステム停止によるコストが平均より高い傾向にあります。40%が1時間あたりのダウンタイムに50万ドル以上を費やし、これはすべての国のなかで第3位です。また、30%は1時間あたり100万ドル以上で、すべての国のなかで第2位となっています。このダウンタイムと1時間あたりのシステム停止コストにより、年間のシステム停止コストの中央値は1,204万ドルとなり、これは平均の775万ドルを大幅に超えています。

監視する技術スタックを増やし、追加的なベストプラクティスを実施することで、フランスの組織はアップタイムと信頼性を向上させ、高コストのシステム停止への出費を削減できる可能性があります。

フルスタックオブザーバビリティの整備は遅れながらも進行中
導入メントは対前年比で増加し、オブザーバビリティへの支出は全体平均より高いものの(49%が年間50万ドル以上、30%が年間100万ドル以上)、フランスの組織の導入メントは最少です。10以上のオブザーバビリティ機能を導入済み、との回答は30%と非常に低く(全体平均は42%、ただし昨年の2倍)、フルスタックオブザーバビリティを実現しているとの回答は20%で、最も少なくなっています(全体平均は33%、ただし昨年より11%増)。

しかし、大多数(92%)は来年に少なくとも1つの新規機能を導入予定で、55%は5つ以上の機能を導入予定であるとし、これはすべての国のなかで第3位でした。今後1〜3年間での主なオブザーバビリティ導入計画は、MLモデルパフォーマンスモニタリング(56%、全体平均は48%)、ディストリビューティッド(分散)トレーシング(49%、全体平均は44%)、AIOps(46%、全体平均は41%)、モバイル監視(46%、全体平均は39%)、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)(44%、全体平均は36%)などが挙げられます。

ツール統合が優先事項
ほぼ3分の2(63%)が単一の統合プラットフォームを望んでいます。これは全体平均の54%を大きく上回り、すべての国のなかで第4位です。この傾向は、対前年比で4倍となる単一ツール使用の増加(2022年は1.5%、2023年は6%)に反映されています。加えて、オブザーバビリティ機能に使用する平均ツール数は、対前年比で12%減少しています(2022年は5.6、2023年は4.9)。また、5つ以上のツール使用も44%で、全体平均の52%より少なくなっています。

しかし、ほぼ4分の1がいまだにコスト(25%)や予算不足(23%)と併せ、監視ツールが多すぎること(24%)が課題であるとしています。来年の全体支出の削減を予定している回答者は、平均よりきわめて多く見られました(44%、全体平均は31%)。従って、ツール統合が、支出削減と野心的な導入メント計画のバランスをとる鍵と言えそうです。実際、ツールの統合が主なオブザーバビリティの利点であるとの回答が他より多く見られました(28%、全体平均は17%)。また、46%が来年のツール統合を予定しています(全体平均は41%)。

オブザーバビリティがビジネス価値を促進、アップタイムと信頼性は改善の余地あり
オブザーバビリティへの投資から得ている年間の総価値について、41%が100万ドル以上、23%が500万ドルと回答する一方、年間ROIの中央値はすべての国のなかで下から4番目の50%でした(全体平均は100%)。

システムアップタイムの改善と信頼性がオブザーバビリティの主な利点であるとの回答は少なく(28%、全体平均は40%)、オブザーバビリティ導入以来、MTTRはある程度改善し(59%、全体平均は65%)、オブザーバビリティによりサービスの中断とビジネスリスクは低減しています(31%、全体平均は33%)。

しかし、ほぼ半数(46%)の実務担当者が、オブザーバビリティにより生産性が向上し、問題の特定と解決が迅速化できるようになったと回答しています。また、実務担当者とITDMの40%がオブザーバビリティにより業務が楽になったと回答し、これは他のほとんどの国より多くなっています。監視する技術スタックを拡大し、ツールを統合することで、彼らのビジネス価値は増進すると思われます。

ドイツ 🇩🇪

ドイツの組織は、エンジニアリングの優秀さにおいて定評があります。イノベーションに価値を置き、熟練労働者への教育に多大な投資を行う傾向があります。この評価を維持していくために、オブザーバビリティは欠かせない実践であると彼らが捉えていることがデータから読み取れます。ツール統合とフルスタックオブザーバビリティの実現に投資を行い、システム停止の頻度の低減、その結果としてコスト削減を実現させています。

他の多くの国と同様、ドイツにおいてオブザーバビリティのニーズを牽引する上位3つの技術戦略またはトレンドは、セキュリティ、ガバナンス、リスク、コンプライアンスへの注力(49%)でした。また、オブザーバビリティ導入も平均より多く、その促進要因として、マルチクラウド環境への移行(47%、全体平均は37%、すべての国のなかで第2位)、AI技術の導入(47%、全体平均は38%)、ビジネスアプリケーションのワークフローへの統合(43%、全体平均は38%)、クラウドネイティブのアプリケーションアーキテクチャーの開発(39%、全体平均は38%)などが挙げられます。

ドイツに関する他の主要な発見点を見ていきましょう。

47%

オブザーバビリティのニーズを牽引する戦略の最上位に、GPTなどのAI技術の導入と回答

システム停止の頻度とMTTDは対前年比で減少、停止コストも比較的低い
ドイツの組織では、ビジネスインパクトが大きいシステム停止の頻度が2022年から大幅に減少し、2023年には欧州で最も低くなりました。システム停止が週1回以上発生するとの回答は4分の1以下(24%)でした(全体平均は32%、2022年は64%)。

システム停止の検知も全体平均より速く、また昨年度よりも短縮されています。システム停止の検知に30分以上かかるとの回答は5分の2でした(全体平均は44%、2022年は50%)。ただし、その解決に要する時間は全体平均より長く、また昨年よりも長くなりました。ほぼ3分の2(64%)が解決に30分以上かかっています(全体平均は60%、2022年には51%)。

しかし、64%はオブザーバビリティを導入してからMTTRがある程度改善した、55%はオブザーバビリティはシステムのアップタイムと信頼性を向上させる(全体平均は40%、すべての国のなかで最多)、36%はサービスの中断とビジネスリスクが低減したと回答しています。さらに、実務担当者の43%が、生産性が向上して問題の検知と解決が迅速化できるようになったと回答しています。

重要なビジネスアプリケーションのシステム停止によるコストは平均より低く、29%がダウンタイム1時間あたり50万ドル以上、20%が100万ドル以上を支出しています。このダウンタイムと1時間あたりのシステム停止コストから、年間のシステム停止コストの中央値は382万ドルとなっています。これは全体平均の775万ドルの約半分です。

導入とフルスタックオブザーバビリティは、全体平均より低いものの拡大中
ドイツの回答者の5分の2が、10以上のオブザーバビリティ機能を導入していました(2022年には18%、全体平均は42%)。ドイツの組織は、オブザーバビリティへの年間支出に関し、49%が50万ドル(全体平均は45%)、35%が100万ドル以上(全体平均は29%)と、平均より多いにもかかわらず、フルスタックオブザーバビリティを実現しているのは3分の1以下(29%、2022年には20%、全体平均は33%)でした。さらに、技術スタック全体にわたりテレメトリーデータが収集されているとの回答は29%のみでした。

フルスタックオブザーバビリティ実現への主な課題は、多種にわたる技術スタック(24%)、システムの計装が不十分(22%)、コスト(22%)などが挙げられます。

しかし、大多数(92%)が少なくとも1つの新規機能を来年に導入予定で、そのうち44%は5つ以上の機能を導入予定でした。今後1〜3年間での主なオブザーバビリティ導入計画は、K8監視(54%、全体平均は42%)、サーバーレス監視(54%、全体平均は44%)、MLモデルパフォーマンス監視(50%、全体平均は48%)、ディストリビューティッド(分散)トレーシング(47%、全体平均は44%)、APM(45%、全体平均は36%)、AIOps(45%、全体平均は41%)などが挙げられます。

ツール統合とテレメトリーデータ統合が最優先事項
ドイツの回答者は、単一の統合型オブザーバビリティプラットフォームを望む傾向が平均より多く見られました(57%、全体平均は54%)。この傾向は、対前年比で2.5倍となる単一ツール使用の増加(2022年には2%、2023年には5%)に反映されています。また、ソフトウェアとシステムの中断を主に単一のオブザーバビリティプラットフォームで検知する傾向が最も多く見られました(28%、全体平均は15%)。

加えて、オブザーバビリティ機能に使用する平均ツール数は、対前年比で1ツール以上(23%)減少しています(2022年には5.9、2023年には4.6)。また、5つ以上のツール使用も42%で、全体平均(52%)より少なくなっています。

さらに、より統合されたテレメトリーデータを持つ傾向が最も多く見られました。より統合されているとの回答は半数を超えています(54%、全体平均は37%)。しかし、複数チームで活用できるよう単一ペインに統合されているとの回答は28%のみ(全体平均は31%)で、ユーザーがテレメトリーデータとその可視性に幅広くアクセスできるとの回答は33%にとどまりました(全体平均は27%)。

使用ツール数は他より少ないものの、23%が未だに監視ツールが多すぎることが課題であると回答し、34%が来年のツール統合を計画しています。

オブザーバビリティはビジネス価値とROIを促進する
ドイツの組織は、年間ROIの中央値がすべての国のなかで第3位でした(124%、全体平均は100%)。また、オブザーバビリティへの投資から得ている年間の総価値は他より高く、60%が50万ドル以上(全体平均が43%)、48%が100万ドル以上(全体平均が41%)、29%が500万ドル以上(全体平均が20%、すべての国のなかで第2位)と回答しています。

ドイツのITDMは、オブザーバビリティはビジネスKPIの達成(54%、全体平均は31%)と技術KPIの達成(37%、全体平均は35%)、技術戦略の戦術的実施への変換(37%、全体平均は30%)を支援すると回答する傾向が多く見られました。

加えて、ドイツの回答者の43%が、オブザーバビリティは運用効率を高めるとし(全体平均は38%)、また36%が顧客行動への理解を深めることにより収益維持率を向上させる(全体平均は34%)と回答しています。

次年度にオブザーバビリティ支出の価値を最大化するため、57%が既存のオブザーバビリティツールを最大限活用する方法についてのトレーニングを計画しています(全体平均は47%)。

英国とアイルランド 🇬🇧 🇮🇪

英国とアイルランドの回答者は、オブザーバビリティに大きな価値を見出しています。データによると、課題はコストです。ポイントソリューションを購入しているためで、これは非効率で高価なオブザーバビリティ戦略です。この複数ポイントソリューション戦略がデータサイロを生み、それがシステム停止の頻発を招きます。しかし、彼らはさらなる機能の導入計画により、これらの課題に取り組んでいます。また、オブザーバビリティの実践を成熟させ、ツールを統合することで、コスト管理への対応を続けています。

半数以上(51%)が、英国およびアイルランドにおけるオブザーバビリティのニーズを牽引する技術戦略またはトレンドの最上位に、セキュリティ、ガバナンス、リスク、コンプライアンスへの注力を挙げています(全体平均は49%)。その他の上位の促進要因は、ビジネスアプリのワークフローへの統合(40%、全体平均は38%)、クラウドネイティブのアプリケーションアーキテクチャーの開発(38%、全体平均と同率)、顧客体験管理の強化(38%、全体平均は35%)、マルチクラウド環境への統合(34%、全体平均は37%)、より速いソフトウェアリリースサイクルの優先(34%、全体平均は32%)などが挙げられます。

AIの導入(29%、全体平均は38%)やIoT技術(27%、全体平均は33%)が主な促進要因であるとの回答は、平均より明らかに少ない傾向が見られました。

英国およびアイルランドに関する他の主要な発見点を見ていきましょう。

74%

が、オブザーバビリティを導入以降、MTTRがある程度改善したと回答

ダウンタイムは対前年比で減少、システム停止は依然として頻発し高コスト
英国およびアイルランドの回答者の3分の1以上(35%)が、ビジネスインパクトの大きい稼働停止を週1回以上経験しています(全体平均は32%、2022年は49%)。しかし、これらのシステム停止の検知および解決にかかる時間は、対前年比で改善し、全体平均よりも短縮されています。おおよそ5分の2(42%)がその検知に30分以上かかり(全体平均の44%、2022年には47%)、52%がその解決に30分以上を要しています(全体平均は60%、2022年には62%)。

重要なビジネスアプリケーションのシステム停止によるコストも、平均より高くなっています。3分の1以上(35%)が、自社組織のダウンタイム1時間あたりのコストを50万ドル以上と回答し(全体平均は32%)、そのうち24%が自社組織のコストを100万ドル以上と回答しています(全体平均は21 %)。それにより、年間のシステム停止コストの中央値は1,062万ドルとなり、これは平均と比べて年間300万ドル近く高額です。

しかし、そこでオブザーバビリティが役立っています。およそ4分の3(74%)が、オブザーバビリティを導入してからMTTRがある程度改善したと回答しています(全体平均は65%)。さらに、42%がシステムのアップタイムと信頼性が向上したと回答し、32%がサービスの中断とビジネスリスクが低減したと回答しています。加えて、実務担当者の40%が、生産性が向上して問題の特定と解決が迅速化できるようになり、業務遂行が楽になったと回答しています。

オブザーバビリティの導入メントは対前年比で増加、フルスタックオブザーバビリティは遅れている
5分の2(40%)が、10以上のオブザーバビリティ機能を導入済み(全体平均は42%、2022年には30%)と回答しています。フルスタックオブザーバビリティを実現している割合は、2022年の27%から、2023年には平均の33%より若干少ない32%へと増加しています。加えて、技術スタック全体にわたるテレメトリーデータを収集しているのは26%のみで、成熟したオブザーバビリティの実践を行っているのはわずか3%でした。

約4分の1が、フルスタックオブザーバビリティを実現する上での主な課題に、予算不足(27%)とコスト(24%が価格が高すぎると回答)を挙げています。年間のオブザーバビリティ支出は平均的ですが、45%が50万ドル以上、29%が100万ドル以上の支出と回答しています。

しかし、大多数(83%)が少なくとも1つの新規機能を来年に導入予定で、44%は5つ以上の機能を導入予定です。今後1〜3年間での導入を計画している主な機能は、AIOps(50%、全体平均は41%)、ディストリビューティッド(分散)トレーシング(47%、全体平均は44%)、サーバーレス監視(47%、全体平均は44%)、MLモデルパフォーマンス監視(47%、全体平均は48%)、外形監視(45%、全体平均は44%)などが挙げられます。

ツールの分散とサイロ化したテレメトリーデータが課題
半数以上(58%)が、単一の統合型オブザーバビリティプラットフォームを望んでおり(全体平均は54%)、これは、対前年比で2.4倍となる単一ツール使用の増加に反映されています。全体として、使用ツール数は少なく、平均の使用ツール数は対前年比で8%減、5つ以上のツール使用は14%減となっています(2022年には66%、2023年には57%)。しかし、未だ5つ以上のツールを使用する傾向が多く見られました(57%、全体平均は52%)。約4分の3(74%)が、主にソフトウェアとシステムの中断の検知のために監視ツールを使用し(全体平均は58%)、17%は単一ツールを使用しています(全体平均は15%)。

約4分の1(24%)が、監視ツールが多すぎることが自社組織でのフルスタックオブザーバビリティ実現を阻む最大の課題と回答しています。しかし46%は、オブザーバビリティへの投資から最大の価値を得るため、来年にツール統合を検討しています(全体平均で41%)。

また、彼らはサイロ化したテレメトリーデータを持つ傾向が高く(49%、全体平均は41%)、ユーザーがテレメトリーデータとその可視性に幅広くアクセスできるとの回答は少なく(23%、全体平均は27%)、テレメトリーデータが複数チームで活用できるよう単一ペインに統合されているとの回答がより多く見られました(38%、全体平均は31%)。

オブザーバビリティがビジネス価値と平均超のROIを創出
半数以上(53%)が、自社組織はオブザーバビリティへの投資から年間50万ドル以上の総価値を得ていると回答し、41%が年間100万ドル以上、22%が年間500万ドル以上と回答しています。年間ROIの中央値は平均を超える114%でした(全体平均は100%)。

半数近く(47%)が、オブザーバビリティによりソフトウェアスタックに関する判断におけるチーム間の協力体制が強化されたと回答しています。オブザーバビリティソリューションがもたらす主な利点として、35%がセキュリティ脆弱性の管理、34%が運用効率の向上を挙げています。

ITDMでは、オブザーバビリティは技術KPI(40%、全体平均は35%)およびビジネスKPI(37%、全体平均は31%)の達成を促進する、またビジネス戦略を推進する(33%、全体平均は30%)ことにより業務改善に最も役立つとの回答が、平均よりも多く見られました。実務担当者では、複雑で分散した技術スタックを管理する際の当て推量が減る(39%、全体平均は32%)、他のプロジェクトの作業時間を確保できる(35%、全体平均は28%)との回答が多く見られました。

次年度にオブザーバビリティ投資の価値を最大化するため、45%が既存のオブザーバビリティツールを最大限活用する方法についてのトレーニングを計画しています。