New Relic Now+ New Relic’s most transformative platform update yet with 20+ product launches.
Watch the event on-demand now.

複数のサービスが連携するマルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境でユーザー体験を可視化

main

利用用途

パナソニックグループが運営するB2Cサイトにおける、検討から購入、サポートに至る顧客体験を把握し、より良いサービス品質を作り込むためにNew Relicのオブザーバビリティを活用

New Relicの導入目的と成果

  • B2Cサービスを構成する会員管理、商品管理、ECの各システムを一貫する顧客体験の把握
  • 外形監視により、WEBサイト運営やCRMに活用する各SaaSの不調をリアルタイムで把握
  • マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境でサービス品質に影響する不具合の検知を迅速化
  • ユーザー視点のダッシュボードを整備し、ビジネス部門との情報共有や認識合わせを容易に
  • SAPなどの基幹系システムへの展開を視野にNew Relic導入・活用の知見を蓄積、外販にも期待

利用製品

  • New Relic APM
  • New Relic Synthetics
  • New Relic Infrastructure
  • New Relic Logs
  • New Relic Dashboard

 

パナソニック インフォメーションシステムズ(パナソニックIS)は、パナソニックグループの全事業領域をグローバルでサポートするIT中核会社である。全社のレガシーITからの脱却とクラウド活用の最適化に力を注いでおり、モダンなテクノロジーを活用したPX(Panasonic Transformation)の推進役としての役割も高まっている。同社 ビジネスデザイン本部 マーケティングDXソリューション事業部 事業部長の杉田栄氏は次のように話す。

「パナソニックグループ事業会社の業務に精通したITカンパニーとして、様々なテーマでデジタル変革を支援する機会が増えています。スピード感をもってビジネス要求に応えていく過程で、IaaSやPaaSだけでなくSaaS/クラウドアプリケーションの導入も急速に進んできました。こうした変化は、私たちパナソニックIS自身にも大きな変革を迫っています。ビジネス視点を備えたITのエキスパートとして、パナソニックグループの事業成長や顧客体験の向上に具体的に貢献していくことが強く求められています」

杉田氏が率いるマーケティングDXソリューション事業部は、デジタルマーケティング、EC、CRM、アフターサービスなど顧客接点領域を中心に幅広いソリューションを提供している。より良い顧客体験の実現を通じて、パナソニックグループの事業会社に貢献することがそのミッションだ。

「私たちのお客様である『パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社』では、顧客価値創造(CX)の向上を掲げており、その一環としてオンライン上のオウンドメディア(B2Cの商品サイト等)のリニューアルを進めています。これまでは、商品サイト、ECサイト、会員サイトが個別に運営されてきたため、サイトを訪問したお客様が商品情報を参照してから購入するまでの導線がわかりにくいという課題がありました。プロジェクトではこれら3サイトの連携を強化し、お客様の興味や関心を高めながら購入に結びつけるような、シームレスかつ快適な体験を実現することを目指しています」と杉田氏は話す。

picture

ビジネスデザイン本部 マーケティングDXソリューション事業部 事業部長 杉田栄氏

このB2Cサイトでは、商品情報の管理、EC運営、会員管理について、それぞれ個別のクラウドサービス(SaaS)を活用している。さらに受発注管理システム、在庫管理を行う独自システムなど、複数のバックエンドシステムとも連携する。

「複数のクラウドアプリケーションとオンプレミスシステムが連携する環境を安定的に運用するには、いまそこで何が起こっているのか、お客様の体験はどうかをリアルタイムで把握することが不可欠と考えました。システム全体に適用できるモニタリング環境の整備は必須です。そこで私たちが注目したのは、オブザーバビリティプラットフォームNew Relicでした」(杉田氏)

ユーザー体験の観測を目指してNew Relicを導入

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、国内では46%のトップシェアを獲得している。デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にし、アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する。ビジネスデザイン本部 マーケティングDXソリューション事業部の伊藤利純氏は、New Relicに注目した背景を次のように説明する。

「数年前に発生した大手クラウドサービスの障害に際して、私たちがあまりにも無力だったことへの反省があります。原因もわからなければ、影響範囲もわからない。また、インフラ視点の監視では何ら異常が確認できないのに、ユーザーからサービス不調の連絡が入るといった苦い経験もありました。全社でクラウド移行が進むにつれ、そうした苦い経験も増長され得ることへの危機感がありました。マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの監視とユーザー体験の把握は、本格的にクラウド活用を進めていくパナソニックISにとって避けて通れない課題だったのです」

こうした課題に対して、パナソニックISでは目指す姿として4階層を定義して進めることにした。

1)全体俯瞰

 複数のアプリケーションの稼働状況、相関をリアルタイムで俯瞰的に確認する

2)問題解決の迅速化

・アラート連携・監視オペレータ連携で問題発覚・認識を早める

・問題発生箇所特定を早める

3)問題予兆の検知

アプリケーションのサービス状態を日常的に監視することで障害として顕在化する前に予兆を検知できる

4)システム適切リソースの導出(将来)

1)~3)の成果を組み合わせつつ、システムリソースの適切解を導出できる

 

パナソニックグループのB2Cサイトでユーザー体験を把握するために、伊藤氏らが最初に利用したのはNew Relicの外形監視だった。

「New Relicを利用することで、B2Cサイトでお客様が体感している表示速度や応答時間などを、把握したいユーザ体験の単位(ページ等)でリアルタイムに観測できます。インフラ視点の監視では把握できないサービス品質の低下をいち早く発見し、適切なアクションにつなげられるようになったことは大きな成果です」(伊藤氏)

New Relicの採用にあたって伊藤氏・杉田氏らが評価したのは、「ユーザー数(定額制)」と「取り込んだ観測データ量(従量制)」でコストが決まるシンプルなライセンス体系だった。

「New Relicはユーザー数とデータ量でコストが見通せますので計画が立てやすい、過剰投資にならないようコントロールしやすいというメリットがあります。監視対象のシステム数に上限がなく、フル機能を利用できる点も高く評価しました。また、New Relic日本法人による日本語での技術サポートも、今後、導入範囲と利用するチームを拡大していく上で大きな安心材料となりました」(伊藤氏)

picture

ビジネスデザイン本部 マーケティングDXソリューション事業部* 総括 伊藤利純氏 *プロジェクト当時

ビジネスオブザーバビリティへの挑戦

パナソニックグループのB2CサイトにおけるNew Relic導入は計画通りに進み、2025年1月には「買う前(検討)」「買う時(購入)」「買った後(サポート)」という顧客体験のプロセス全体でオブザーバビリティが利用可能になった。その効果を杉田氏は次のように話す。

「正常にログインできるか、商品情報システムと連携するページの表示や検索の速度はどうか、決済処理に遅延はないか――といったお客様の体験をNew Relicのダッシュボードで可視化し、何らかの不調を検知するとアラートが上がる仕組みを整えました。B2Cサイトのページやサービス単位でユーザー体験を把握できるようになり、ビジネス部門とのコミュニケーションも容易になりました」

システムとインフラの視線から、ユーザー体験とサービスの視線へ――オブザーバビリティによる視野の広がりは、システム監視の道具だったダッシュボードを「ビジネスダッシュボード」へと進化させていく。

「事業運営の立場では、サービスが正常に提供されて、お客様の購入プロセスが成立し、最終的にお客様満足度の向上に結びつくことこそが重要です。お客様体験の可視化をさらに進め、ビジネス視点でより有益な情報を集約するダッシュボードの開発を進めていきたいと考えています。そのダッシュボードを、パナソニックISのメンバーだけでなくパナソニックグループのビジネス部門にも参照してもらえるようにすることが目標です」(杉田氏)

顧客を起点にしたシステム連携のプロセスは、在庫や物流、サポートなどの現場オペレーションとも密接に結びついている。だからこそ、正確な情報を共有することには大きな意味がある。

「B2Cサイトで何らかのシステム不具合が発生した際に、ビジネスダッシュボードを関係部門全体で共有することで、事業サイドとITサイドがそれぞれの守備範囲での影響を確認しつつ、適切な役割分担で対処できるようになると考えています。報告プロセスやチームの壁を取り払って、システムの問題解決のスピードを高め、ビジネス全体のアジリティ向上にも寄与するのではないでしょうか」と伊藤氏は力を込める。

基幹系システムへのNew Relicの適用

パナソニックグループのB2CサイトへのNew Relicの適用は、マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの統合監視と、ユーザー体験の可視化における有益なユースケースとなった。

「複数のクラウドアプリケーションの稼働状況や相関を、リアルタイムで俯瞰的に把握できるようになったことは大きな成果です。お客様の体験に影響するような不具合の検知が可能になり、現在は原因の特定から問題解決までの迅速化に取り組んでいます。今後は、New Relic APMの活用をさらに進めて、サービス品質に影響を及ぼすような不具合が顕在化する前に対処できるよう、中長期の視点でサービス品質を監視していきたいと考えています。そうした予兆検知の領域では、New RelicによるAIOpsにも期待しています」と伊藤氏は話す。

パナソニックISは、パナソニックグループの全事業領域をグローバルでサポートしており、同社が運用サービスを提供するシステムは数千に達する。

「多様なシステムが提供するサービスの健全性をいかに維持するか、という私たちパナソニックISのミッションに対して、New Relicのオブザーバビリティが貢献できる領域は多いはずです。まずは、B2Cサイトで得た知見を他のシステムでも活用していく方針です。New RelicがSAPのようなミッションクリティカルなシステムの監視まで統合できることは、システムインテグレーションから運用サービスまでを手掛けるパナソニックISにとって強力な武器になるでしょう」と杉田氏は話す。

パナソニックISでは、New Relicを自社のソリューションポートフォリオに加え、新たなビジネス成長のドライバーとしていく計画だ。杉田氏は次のように結んだ。

「パナソニックISは、長年にわたり培ってきたお客様に最適なシステムを設計・構築・運用するノウハウに加え、クラウドアプリケーションを活用してアジリティとビジネスの成果を高める知見を深めてきました。マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの統合監視と、ユーザー体験の可視化を実現したNew Relicは、パナソニックグループ全社がクラウドシフトを進める中で、欠かせない基盤システムになるだろうと考えています。New Relicには、これからもパナソニックグループの事業に貢献するオブザーバビリティ技術の提供とサポートを期待しています」