はじめに
Claude Code や Cursor といった AI コーディング支援ツールの普及により、私たちの開発スピードは劇的に向上しました。しかし、これらのツールを日常的に利用するようになると、新たな課題が浮上してきます。例えば、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか。
- 「今月、どのくらいの API コスト(トークン)を消費しているのか?」
- 「AI が無限ループに陥って、無駄な処理を繰り返していないか?」
- 「チーム全体で AI ツールを本当に効率的に使えているか?」
AI コーディング支援ツールを利用するにあたり、コストと効率の問題は本質的な課題として位置付けられています。New Relic Preflight は、こういった AI コーディングにおけるコストと効率を可視化するために開発されました。
New Relic Preflight は、AI コーディングアシスタント向けのオープンソースMCP(Model Context Protocol)サーバーです。開発環境に組み込むことで、トークン消費量や AI の動作パターンをリアルタイムに可視化します。本ブログ記事では、New Relic Preflight の標準的な導入手順について解説します。
Preflight のテレメトリーモード
Preflight は、利用環境や目的に合わせて以下に示す3つのテレメトリー連携のためのモードを提供しています。
- Local モード
- New Relic のアカウントは不要です。すべての計測データはローカルマシン内に留まり、外部に送信されることはありません。手軽に自分の利用状況を確認したい個人開発者に最適です。
- Cloud モード
- 計測データを New Relic プラットフォームに送信します。チーム全体での利用状況の一元管理や、長期的なデータ保存、しきい値ベースの高度なアラート設定を行いたいエンタープライズ向けのモードです。
- Both モード
- Local モードと Cloud モードを両立するモードです。
まずは、Local モードで動作させていただき、ご利用の環境のコストや効率を把握してみましょう。チーム横断での AI コーディング支援ツールの状況を把握する必要性が生じた場合には、Cloud モードや Both モードに移行していただくことをお勧めします。
前提条件と環境準備
インストールを始める前に、以下の環境が整っているか確認してください。
必須要件: Node.js(v22 以上を推奨) 対応 AI ツール: Claude Code, Cursor, Windsurf, GitHub Copilot など
現時点での対応ツールについては、以下の GitHub リポジトリ内のドキュメントをご参照ください。
GitHub - newrelic-experimental/preflight · GitHub
- 上記のドキュメントの URL は、2026 年 9 月現在のものです
【実践】インストールとローカル環境での動作(Localモード)
まずは、New Relic アカウント不要ですぐに試せる Local モードでセットアップしてみましょう。
ステップ1: パッケージのインストール
ターミナルを開き、npm 経由で Preflight をグローバルインストールします。
npm install -g @newrelic/preflight
ステップ2: セットアップウィザードの実行
インストールが完了したら、以下のコマンドでセットアップを開始します。
preflight setup
対話型のプロンプトが表示されるので、モードを聞かれた際に local を選択します。
ステップ3: AI ツールとの連携とダッシュボードの確認
セットアップ完了後、お使いの AI ツール(Claude Code など)を再起動すると、Preflight が MCP サーバーとしてフックされます。 以下のコマンドで preflight を起動します。
preflight --local
AI ツールでいくつかプロンプトを実行した後、ブラウザで http://localhost:7777 にアクセスします。専用のローカルダッシュボードが立ち上がり、現在のセッションにおけるトークン消費量やコストがリアルタイムにグラフ化されていることが確認できます。
【実践】 New Relic との連携設定(Cloud / Bothモード)
「チームの利用状況を把握したい」「過去のデータを蓄積したい」という場合は、Cloud モード(または Both モード)へ移行し、New Relic へテレメトリーデータを連携することをおすすめします。
ステップ1: 事前準備(APIキーの取得)
New Relic の画面にログインし、以下の2つを取得しておきます。
- License Key: データを送信(Ingest)するためのキー
- User API Key: ダッシュボードの自動構築などに使用するキー
ステップ2: テレメトリーモードの変更
再度ターミナルでセットアップコマンドを実行します。
preflight setup
今度はモード選択で cloud または both を選択します。プロンプトに従って、先ほど取得した「License Key」と「User API Key」を入力し、データの送信先リージョンを指定します。
ステップ3: ダッシュボードの作成と確認
以下のコマンドを指定し、preflight を起動します。
preflight --stdio
さらに、以下のコマンドを実行し、Preflight 専用のダッシュボードを New Relic 環境に作成します。
NEW_RELIC_API_KEY=<"NRAK-" で始まる API キー> NEW_RELIC_ACCOUNT_ID=<New Relic アカウント ID> \
preflight deploy-dashboards --all
設定完了後、再び AI ツールでコーディングを行います。その後、New Relic の管理画面にログインし、Dashboards セクションを開いた上で Dashboard 一覧画面から "AI Coding Assistant" で始まるダッシュボードをご確認ください。
(補足) 上記で実行した preflight コマンドの stdio オプションに関して補足します。現在の preflight コマンドの実装では、以下の3つの実行モードが存在します(上述のテレメトリーモードとは別の動作モードである点にご注意ください)。
- local: テレメトリーデータをローカル環境のダッシュボードに表示するモード。コマンドラインオプションで --local を指定。
- stdio: Claude Code から MCP STDIO 接続を介してコマンドを受け付けるモード。コマンドラインオプションで --stdio を指定。
- proxy: 他の MCP クライアントと上流の MCP サーバを中継するモード。コマンドラインオプションを指定しない場合には proxy モードで動作。
本項目中のステップで preflight コマンドを stdio オプションを指定して実行したのは、New Relic へのデータ連携を実行しつつ、proxy モードでの実行を回避するためです。
トラブルシューティング用コマンド
preflight コマンドには、設定や New Relic への接続性など、セットアップが正常であるかを判定するサブコマンドが実装されています。Preflight が意図通りに動作していないと考えられる場合には、以下のコマンドを実行してください。
preflight doctor
各チェック項目のうち、項目の左にチェックマーク(✔️)以外が表示される場合には、当該のチェック項目に問題がある可能性があります。"Fix:" の欄に修復のために推奨されるコマンドが記載されますので、コマンドの内容をご確認の上で、修復用コマンドを実行してください。
運用・活用方法: Preflight で可視化できること
ダッシュボードが用意できたら、実際にどのようなデータを得られるのかを見てみましょう。
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トークン消費とコストの管理
- セッション単位だけでなく、日次・週次での概算利用コストがトラッキングされます。「1日の予算を〇〇ドルに設定し、超過しそうならアラートをトリガする」といった運用が可能です。
- 関連イベントタイプ: AiCodingTask, AiBudgetWarning 等
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アンチパターンの検知
- Preflight の機能の一つに非効率な AI の動作の検知があります。例えば、「AI が行き詰まって同じエラーの修正ループに陥っている」「進捗がないのに無駄にツールを呼び出している」といった挙動をグラフから特定できます。
- 関連イベントタイプ: AiAntiPattern, AiRetryAlert 等
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週次効率スコアとコーチング
- 蓄積されたデータをもとに、開発者のプロンプト入力やタスク指示の改善点を見つけ出すことができます。
- 関連イベントタイプ: Metric(ai.efficiency.score 等)
Preflight により連携されるイベントやメトリクスの詳細については、以下のドキュメントをご参照ください。
preflight/docs/METRICS_TABLE.md at main · newrelic-experimental/preflight · GitHub
- 上記のドキュメントの URL は、2026 年 9 月現在のものです
おわりに
AI コーディング支援ツールは非常に強力ですが、野放しにしておくとコストの肥大化や見えない非効率を生み出すことがあります。New Relic Preflight を導入することで、AI コーディング支援ツールのコストと効率を監視することが可能になります。
「まずは今の自分のコストを知りたい」という方は、アカウント登録不要の Local モードから New Relic Preflight をお試しください。
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