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CCoEとは?クラウド活用推進組織の役割と成功のポイントを解説

CCoEは、企業のクラウド戦略を成功に導く専門組織です。CCoEが注目される背景や役割のほか、立ち上げステップや成功のポイントについて解説します。

公開済み 所要時間:約 15分

CCoEとは?クラウド活用推進組織の役割と成功のポイントを解説

クラウド活用が企業の競争力を左右する現代において、「CCoE(Cloud Center of Excellence)」が注目を集めています。DXの推進やガバナンス強化が求められる中で、クラウド戦略の中核を担うCCoEは、今や欠かせない存在といえるでしょう。
CCoEの立ち上げにおいては、組織を横断した連携体制が不可欠です。導入・運用の際にさまざまな課題に直面するケースも少なくありません。

この記事では、CCoEの基本的な役割と注目される背景のほか、立ち上げステップや成功のポイントに加え、オブザーバビリティが果たす重要な役割についても詳しく解説します。

CCoEとは、各種クラウドサービスの活用推進組織

CCoEとは、企業がクラウドを戦略的に活用するために、必要なリソース、人材、ノウハウなどを集約した組織です。
単にクラウドの導入や運用を担当するのではなく、組織全体のクラウド戦略をリードし、ガバナンスと最適化を推進する中枢として機能します。

「CCoE」の語源でもある「CoE(Center of Excellence)」は、特定の分野における知見を結集し、組織横断的に問題解決へと導く組織を指します。つまり、CCoEはそのクラウド領域版のことです。

ここでいう「クラウド」には、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなどのクラウドインフラサービスだけでなく、各種SaaSも含まれます。
こうした多様なクラウドサービスに対応し、変化に柔軟なIT基盤を整備することが、CCoEの重要な使命です。

ただし、クラウド導入そのものがCCoEの目的ではありません。あくまで、業務の効率化や競争力強化といった経営課題を解決するための手段として、クラウドを「どう活用するか」が本質です。
CCoEは、その判断と実行を担う司令塔として、戦略的に位置づけられるべき存在といえるでしょう。

CCoEが注目される背景

企業がクラウド活用を本格化させる中で、CCoEの必要性が急速に高まっています。その背景について説明します。

DXの推進

現代の企業にとってDXは、業務効率化や競争力向上を図る上で欠かせない取り組みです。しかし、既存のレガシーシステムや属人的な業務ワークフローが障壁となり、変革が思うように進まないケースも少なくありません。
その解決策として、クラウドを活用したITインフラの見直しが注目されています。そこで中心的な役割を果たすのがCCoEです。

CCoEは、全社的な視点でクラウド活用を統括し、DXを着実に進める基盤を築きます。変化に柔軟に対応し、継続的な成長を目指す企業にとって、CCoEの重要性はますます高まっています。

ガバナンスの強化

企業が事業活動を展開する上で、ガバナンスの強化は欠かせません。クラウド導入が進む一方で、各部門が独自にサービスを契約・運用する「シャドーIT」の増加が課題です。IT部門による統制が困難になり、セキュリティやコンプライアンスのリスクが高まるケースも見られます。

これを防ぐには、全社的に一貫したクラウド利用方針を定め、適切に管理・運用する体制が必要です。CCoEは、ガイドラインやベストプラクティスの策定・展開を通じて、クラウド活用の標準化を図ります。
その結果、ガバナンスの強化やリスク低減につながり、より安全かつ効率的なクラウド環境の実現が可能になります。

CCoEの役割

全社的にクラウド活用を推進するCCoEを立ち上げるには、ビジネス視点を持つ事業部門と、技術的な知見を持つIT部門との連携が欠かせません。CCoEの具体的な役割について、代表的なものを説明します。

■CCoEの役割

Image_CCoE

 

クラウド戦略の立案と活用

CCoEの重要な役割のひとつが、クラウド導入・活用における全社的な戦略を立案し、各部門の取り組みをリード・支援することです。

DXを進める上で、クラウドをどのように活用するかは企業ごとに異なるため、全社的な視点に立った戦略の立案が不可欠です。CCoEはそのビジョンと方針を定め、部門ごとに適切な形でクラウド活用が進むようガイドします。

さらに、部門の目的や課題を踏まえて横断的な調整を行うことで、全体最適を意識したクラウド活用を実現します。

環境整備とルールの確立

クラウドを効果的に活用するには、技術的な基盤に加え、環境整備やルールの構築も重要です。CCoEは、クラウド活用に関するガイドラインを策定し、各部門や全社で共用できるサービスの導入を通じて、統一された環境とルールを整えていきます。
また、こうしたルールは一度定めて終わりではなく、継続的な見直しと改善が必要です。

このような統一的な環境づくりは、シャドーITの抑制やコンプライアンスの強化、セキュリティリスクの低減にもつながります。

ナレッジの蓄積・共有

クラウド活用を高度化・継続化するには、社内ナレッジの蓄積と共有が不可欠です。クラウド技術の進化は速く、最新情報をキャッチアップし、実務にどう活かすかを常に検討していく体制が求められます。

CCoEは、社内Wikiやナレッジベースの構築、セミナー開催などを通じて、情報を社内に展開してクラウドスキルの底上げを図ります。また、クラウド運用から得られるデータを活用し、リソースの最適化やコスト削減に活かすことも重要な役割です。
このようにナレッジを全社で共有することで、属人的な運用を排除しつつ、クラウド活用の成熟度を高め、DXの継続的な推進に貢献します。

クラウドのコスト削減・最適化の方法については、下記の記事をご覧ください。
クラウドのコスト削減・最適化の方法とは?コストの考え方を解説
https://newrelic.com/jp/blog/best-practices/cloud-cost-reduction

CCoEを立ち上げるためのステップ

CCoEを立ち上げるには、段階的かつ計画的な設計と運用が求められます。ここでは、CCoEの立ち上げまでに必要な5つのステップについて解説します。

ステップ1:ビジョンの明確化

最初に行うべきは、CCoEが目指すビジョンの明確化です。なぜCCoEを立ち上げるのか、どのような価値を企業にもたらしたいの目指すビジョンの明確化です。なぜCCoEを立ち上げるのか、どのような価値を企業にもたらしたいのかという目的を明確にし、それを軸に活動を設計します。
そのためには、自社のクラウド活用の現状分析が不可欠です。既存のITインフラやクラウド利用の実態、顧客のニーズ、課題などを洗い出し、どこに改善の余地があるのかを把握します。

なお、立ち上げのスタイルには、経営層からの指示によるトップダウン型と、現場からの要請によって立ち上げるボトムアップ型があり、どちらが適しているかは企業によって異なります。
日頃からクラウドに関わり、運用の現状を把握しつつ課題意識を持っている現場メンバーが「立ち上げ人」となり、経営層を巻き込みながら進めていくボトムアップ型のほうが、実務的で自然な形といえるでしょう。

ステップ2:CCoEチームの構成

次に、CCoEの構成メンバーを選定し、それぞれの責任範囲を決めておきます。CCoEのメンバーには、技術的な知見だけでなく、組織調整力、プロジェクトマネジメント力を備えた人材をバランスよく選定します。
特に、現状の課題に対して危機感を持ち、変革意欲のある人材がいるかどうかも重要です。クラウド技術は日々進化していますが、課題意識を持つ人は、最新技術を積極的に学び、それを実務にどう活かすかを常に考えています。そうした熱量を持つ人材こそが、CCoEの中核を担う存在となるでしょう。
また、「自分もCCoEに加わりたい」「スキルや経験は十分でなくても、現状を変えたい」と思っているのであれば、積極的に参加を表明していくことをおすすめします。こうした前向きな姿勢こそが、組織を変える大きな原動力になるはずです。

ステップ 3:方針・ガイドラインの策定

チームが整ったら、次にCCoEとしての活動指針となるポリシーやガイドラインを策定します。ガバナンスの観点から、セキュリティポリシーやクラウド利用ルール、標準化の指針などを明確に定めましょう。
これらのガイドラインは、社内全体で共有され、実際のクラウド活用の現場で実効性のある形で運用されることが求められます。そのため、CCoEだけで完結させるのではなく、透明性のある運用ルールを整備し、各部門と協力しながら運用することが重要です。

ステップ4:実践とナレッジ共有の推進

次に、選定したチームとガイドラインにもとづき、小規模なプロジェクトからCCoEの活動をスタートします。こうしたプロジェクトを通じて得られる経験と知見は、今後の全社展開に向けた貴重な基盤となります。また、並行して、ナレッジの収集と蓄積、共有のための仕組みづくりも必要です。
このプロセスはベストプラクティスを模索・構築すると同時に、社内の「仲間」を増やしていくプロセスでもあります。
現状に課題意識を持つメンバーを引き込み、小さな成功体験を積み重ねることで、CCoEの輪を広げ、組織全体に波及させていくことが重要です。

ステップ5:全社展開と継続的な評価・最適化

パイロットプロジェクトの成果とフィードバックを踏まえ、CCoEの活動を全社へと拡大していきます。部門ごとの事情に配慮しながらも、共通ルールと柔軟性を両立させた運用体制の構築が求められます。
また、展開後も定期的に成果を評価し、PDCAサイクルを回すことが不可欠です。KPIの達成度や現場からのフィードバックをもとに継続的に改善を図ることで、持続可能で実効性のあるCCoE運用が実現します。

CCoEを成功させるためのポイント

CCoEは設置すれば自動的に成果が出るものではなく、継続的な運営と工夫が必要です。CCoEを有効に機能させるために押さえておきたい成功のポイントを紹介します。

経営層の理解を得る

CCoEの成功には、経営層の強力なサポートが不可欠です。CCoEは全社的な取り組みであり、自社のビジネス戦略にも深く関わります。予算や人材、時間といったリソースを確保するには、経営層の理解とコミットメントが欠かせません。
そのためには、CCoEが企業にもたらす具体的な価値を示し、「なぜ必要なのか」「どのような成果が期待できるのか」を明確に伝えることが重要です。
経営層とビジョンを共有し、社内全体の巻き込みを図ることが、CCoE成功のカギとなります。

適切な人材を確保する

CCoEには、クラウドに関する高度な専門知識に加え、事業部門との連携やプロジェクトを推進する力が求められます。理想的なのは、クラウド技術に関する実務経験を持つだけでなく、組織内の課題を深く理解し、変革に意欲的な人材です。
必要に応じて、外部からの採用や社内トレーニングを活用し、CCoEの持続的な成長を支える体制を整えましょう。

KPIを設定して効果を継続的に評価・改善する

CCoEの取り組みは、一過性のプロジェクトではなく、継続的に価値を提供する活動です。その成果を定量的に把握するためには、KPIの設定が欠かせません。
例えば「クラウド移行プロジェクト数」「クラウドコスト削減額」「ユーザー満足度」などの指標を設け、定期的に評価・報告すれば、CCoEの有効性を社内に示すことができます。
さらに、全社のクラウド活用の成熟度を高めるためには、評価結果をもとに課題を洗い出し、継続的な改善を図ることが重要です。

部門間の協力を促進する

CCoEは全社横断的な組織であり、情報システム部門だけでは成立しません。現場部門の理解と協力があってこそ、実効性のあるクラウド戦略が実現します。
特に注意したいのは、CCoEが上から目線の「レビュー組織」のようになり、現場から敬遠される存在になってしまうことです。こうした事態を避けるには、現場の声を拾い上げる仕組みとして、コミュニティ運営やフィードバック制度を設けることが重要です。

例えば、CCoEと各部門の現場メンバーによるコミュニティを構築し、意見交換を重ねながら、ベストプラクティスを共に作り上げる形をとることも方法のひとつです。このように双方向のコミュニケーションを重視し、共創型のクラウド活用体制を築くことで、組織全体の協力度と実行力が高まり、CCoEの成功へとつながります。

CCoEの活動を効果的に進めるために重要なオブザーバビリティ

CCoEがクラウド戦略を実行していく上で、オブザーバビリティは欠かせない基盤です。クラウド環境の複雑化が進む中、適切な運用・改善には、システム全体をリアルタイムに把握する仕組みが必要です。
オブザーバビリティを導入すれば、アプリケーションやインフラ、ユーザー行動までを横断的に観測でき、開発・運用・セキュリティを一体化した対応が可能になります。

また、CCoEは、各部門が自律的にクラウドを活用できるよう支援する「後押し役」であることが理想です。そのためには、オブザーバビリティを組み込んだ実践的なプラクティスの提供と、ナレッジの社内展開が重要です。

運用面も鑑みて基盤を整えることで、現場はみずから判断・運用できるようになり、クラウド活用の質が高まります。その結果、DXのスピードと成果の向上につながるでしょう。

オブザーバビリティについては、下記の記事をご覧ください。
オブザーバビリティとは?監視との違い、必要性について解説
https://newrelic.com/jp/blog/best-practices/what-is-observability-difference-from-monitoring

CCoEの活動を支援するNew Relic

CCoEの取り組みを効果的に進めていくためには、オブザーバビリティを実現するプラットフォームの選定も重要な要素です。そこで、おすすめなのが、オブザーバビリティ・プラットフォームのNew Relicです。
CCoEの活動を支援するNew Relicの特徴について、ご紹介します。

あらゆるシステムを観測できる

企業のシステムは、オンプレミス、クラウドネイティブ、そしてそれらが混在するハイブリッド環境まで多岐にわたります。New Relicは、こうしたさまざまなシステムに対して一貫した可視化を実現し、運用状況をリアルタイムで把握可能です。

これにより、クラウド化の進捗状況や、リソースの使用状況、システム上のボトルネックなどが明確になり、CCoEとして必要な施策を迅速に判断・実行できます。また、最適なタイミングでのスケーリングやコスト削減にも役立ちます。

部門間の連携強化、ナレッジ共有に役立つ

New Relicはチーム間の連携やナレッジ共有にも有効なプラットフォームです。インシデント発生時には、関連システムやサービスの影響範囲を瞬時に可視化できるため、対応の迅速化と負荷軽減が可能になります。観測結果にもとづく運用知見をナレッジとして蓄積・共有することで、社内全体のクラウド運用スキルが向上します。

クラウド活用を全社に展開し、競争力のあるDXを推進するために特に重要なのは、「設計」と「改善」を両輪で回す体制です。
CCoEがガバナンスの枠組みを設計し、オブザーバビリティにもとづく継続的な改善サイクルと連携させることで、組織全体のクラウド活用力は強化されるでしょう。
New Relicは、その設計と改善の両方を支える共通基盤として機能します。

十分な準備と段階的な推進で、CCoEを成功に導こう

CCoEは、企業のクラウド戦略とDXを中長期的に支える中核的な存在です。特に、ガバナンスやクラウド活用に課題を抱える企業にとって、CCoEの設置は変革の第一歩となります。

その成功には、経営層を含む社内の連携と、段階的かつ計画的な実行が不可欠です。また、運用も見据えたルールの整備とコミュニティの形成も重要なポイントです。

こうした取り組みを支えるには、システム全体をリアルタイムに可視化し、継続的な改善を促すオブザーバビリティの導入が欠かせません。
New Relicを活用すれば、CCoEの運用基盤の整備を支援し、持続的な成長の実現につながります。
この機会にぜひ、New Relicの導入をご検討ください。

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