千|開発チームがNew Relicを積極活用 機能リリースのスピードを3倍化し、新卒エンジニアによるシステム性能の劇的改善も実現

Business Challenge
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利用用途

主力のプロダクト「はいチーズ!システム」の挙動や状態、ボトルネックの可視化とサービス品質の維持・向上

New Relicの導入目的と成果

  • 「重い」システムの原因特定と改善のスピードアップ
  • 障害の原因特定を数分で完了できるようになり迅速な障害対応が可能に
  • 開発チームによる機能リリースの頻度が週1回から週3回に3倍化
  • 新卒エンジニアでもシステム性能改善で大きな成果を上げられる環境を実現
  • 新卒エンジニアによるデータベース性能の大幅改善によりリソースコストを25%削減
  • MCPサーバーを介したNew RelicとAIエージェントの連携により、問い合わせ対応の業務時間を半日から10分に短縮

利用製品

  • New Relic APM
  • New Relic Infrastructure
  • New Relic Synthetics
  • New Relic Alerts
  • New Relic Dashboard
  • New Relic Browser

ピーク時毎分1万8,000件のリクエストでシステムへの負荷が常態化

千は2004年10月に設立。保育団体や保護者の負担をITで改善し、子どもたちの心と身体の両面へアプローチする保育支援事業を展開。主力事業はSaaS型総合保育テックサービス「はいチーズ!」で、写真撮影とオンライン販売のサービス「はいチーズ!フォト」、保育業務支援のICTサービス「はいチーズ!システム」、アルバム制作サービス「はいチーズ!アルバム」、給食・食育サービス「はいチーズ!ベジ」などを展開しており、2026年2月時点で2万を超える団体が、はいチーズ!シリーズを活用している。

 

これらのプロダクトのうち、「はいチーズ!システム」は「登降園管理」や「保護者連絡」「勤怠管理」「指導計画」「要録作成支援」「健康管理」など、30以上の機能を備える仕組みだ。保育士の勤務開始時間である平日朝8時ごろにアクセスが集中し、ピーク時のリクエストは毎分1万8,000件に及ぶ。ただ、いかなるときでも安定稼働が求められるのが、保育業務の負担をITで支援する同システムの特性でもある。

 

もっとも、以前はシステムが「重い」状況が常態化していたという。千の基幹事業本部システム開発部で横断開発課SREチーム サブリーダーを務める大村 雄哉氏は、当時をこう振り返る。

 

「はいチーズ!システムの開発・運用はAWS上で行っていますが、我々が直面していた問題は、システムの性能が重いことに気づいても、原因を即座に突き止められなかったことです。例えば、ユーザーがシステムのレスポンスの遅さに耐えきれず、接続が切断されているログが大量に出ているにもかかわらず、原因をなかなか特定できずにいました」

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千株式会社 基幹事業本部システム開発部 横断開発課SREチーム サブリーダー 大村 雄哉氏

さらに、「はいチーズ!システム」の開発に携わっている、千 基幹事業本部 システム開発部 ICT・先生撮影プラン開発課のHY氏はこう説明を加える。

 

「以前は、お客様からシステムトラブルの問い合わせを受けると、まずAWSのモニタリングサービスで問題発生の期間とエンドポイントを絞り込み、次に各所からログを収集してAIツールで分析する必要がありました。これは非常に手間のかかるプロセスで、ゆえに、問題の原因特定と対処に時間を要していました」

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千株式会社 基幹事業本部システム開発部 ICT・先生撮影プラン開発課 HY

この課題を解決するべく、「はいチーズ!システム」へのオブザーバビリティの導入が検討された。そこで選ばれたのがNew Relicである。

 

顧客単位のトレースと体験の可視化への衝撃

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、国内では48%のトップシェアを獲得している。デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にし、アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化することが可能だ。

 

New Relicを選んだ経緯について、千の基幹事業本部 システム開発部 横断開発課 SREチームの課長であり、横断システム本部 情報システム室で室長も務める玉﨑 一廣氏は、次のように語った。

 

「我々は2025年8月に複数のオブザーバビリティ製品を比較検討しました。私は当初、New Relic以外の製品を支持していましたが、New Relicがユーザー数とデータ量(データの取り込み量)をベースとした料金体系がありコストコントロールがしやすかったことと、サポート体制が充実していたことから採用を決めました。実際、New Relicでは、専任のソリューションコンサルタントが当社のサポートに当たってくれ、我々が抱えている課題に対し、まるで自分ごとのように対応してくれます。このような手厚いサポートは、他のオブザーバビリティ製品では見られないものです」

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千株式会社 基幹事業本部 システム開発部 横断開発課 SREチーム 課長 横断システム本部 情報システム室 室長 玉﨑 一廣氏

同社ではPoCの実施を経て、2025年10月からNew Relicの本番運用を始動させている。PoC段階でのNew Relicの印象について、HY氏は「いい意味で、相当な衝撃を受けました」とし、こう続ける。

 

「New Relicを試用して驚いたのは、はいチーズ!システムにおけるエラーの発生時です。トレースIDを使い、複数のサービスをまたいで処理の流れを追跡・可視化することで、システムでいま何が起きているかをお客様(団体)単位でクイックに確認できました。これならば、システムトラブルの原因を速やかに特定し、お客様からの問い合わせにも迅速に対応できると確信しました」

 

機能リリース頻度が3倍に跳ね上がる「リリースの民主化」

New Relicの本番運用を始動させた同社では、SREチームと、「はいチーズ!システム」の開発チームがNew Relicを日常的に運用している。また、両チームがNew Relicのダッシュボードを囲み、パフォーマンス改善の施策を議論する場も毎週設けられている。

 

New Relic活用の効果は、本番運用後すぐに現れた。効果の1つは、「はいチーズ!システム」で発生したトラブルの原因を特定するスピードの向上だ。

 

大村氏は「性能低下のアラートが発出された際、以前であれば原因がなかなか特定できず、リソースを増やして様子を見るといった対応しかとれませんでした。それがNew Relicでは、例えば特定の処理がCPUを圧迫しているといったことが、わずか数分で特定できます。これまで見えなかったことを含めて、問題の根本原因がすぐさま把握できるようになった効果は大きいと感じています」と指摘する。

 

さらに大きな効果といえるのは、「はいチーズ!システム」における機能リリースの頻度が大幅にアップしたことだ。大村氏は「New Relicの導入前は週1回程度のリリース頻度でしたが、それが週3回へと3倍に向上しています」と明かす。

 

なぜ、ここまでリリース頻度が増えたのか。HY氏はこう答える。

 

「New Relicの導入以降、リリースしたソフトウェアに万が一問題があっても、それを即座に検知できるとの確信が持てるようになりました。また、仮に何かあっても、上長や担当営業、カスタマーサービス(CS)チームに対応策を、データで明快に示せるようになっています。結果として、エンジニアたちがトラブルの発生を過度に恐れる必要がなくなり、それがリリース頻度の向上につながっています」

 

玉﨑氏は、この効果を「リリースの民主化」と表現する。「これまでは自分の開発スキルに自信の持てる特定の人しかリリースに踏み切れませんでした。それがNew Relicの導入後は、開発チームの誰もが安心してリリースに踏み切れる環境が築かれつつあります。この『リリースの民主化』は、プロダクトの改善、強化のスピードを増す変革と見ています」

 

新卒エンジニアが活用2週間でデータベース性能を劇的に改善

New Relicは、「はいチーズ!システム」におけるボトルネックの発見と性能改善の難度を引き下げてもいる。実際、2025年4月に新卒で入社したエンジニアが、New Relicを使ってデータベースのボトルネックを解消し、性能を大幅に改善させた例もある。

 

当該の実績を上げた本人であり、千 基幹事業本部システム開発部 ICT・先生撮影プラン開発課に所属する岡山 晃大(koinunopochi)氏は当時をこう振り返る。

 

「私は学生時代に情報工学専攻ではなく、ソフトウェア開発の経験もほとんどありませんでした。それでもNew Relicの画面はわかりやすく、リクエストの処理フローやスロークエリ(低パフォーマンスのクエリ)を簡単に追跡・可視化できます。そこで、New Relicの機能を使い、改善のヒントを頼りにデータベースにインデックスを追加したところ、ピーク時におけるデータベースのトランザクション性能を従来の39倍に高速化できました。これは、New Relicを使い始めてから約2週間後のことです。社歴の浅い私であっても、ここまで劇的な成果を上げられるのは、New Relicがシステム運用の難度を大幅に下げている証拠です」

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千株式会社 基幹事業本部システム開発部 ICT・先生撮影プラン開発課 岡山 晃大(koinunopochi)氏

さらに岡山氏は「New Relicの活用を通じてシステム全体に対する理解が深まりました」と語り、「これまで、触れたことのないシステムの機能でも、New Relicを見れば処理の流れが理解できます。N+1問題(*1)なども意外と気づけないのですが、New Relicでは問題箇所を赤くハイライト表示してくれるので簡単に見つかります」と続ける。

 

また、大村氏は「この性能改善によってデータベース処理に必要なリソース量が減少し、リソースコストを25%低減できました。」と付け加える。

 

通常25%のコスト削減は簡単なことではなく、その金額の3~4倍の売り上げを増やすのに等しい。そう思うとすでにNew Relic導入費用の元は取ったのではないか、という称賛の声もあったと言う。

 

*1 N+1問題:データベースからデータを取得する際に1回のクエリでN件のデータ(親データ)を取得し、かつ、関連するデータを取得するクエリをN回発行し、合計N+1回のクエリが発生することでアプリケーションのパフォーマンスを低下させてしまう問題

 

MCPサーバーの活用により問い合わせ対応時間を半日から10分に短縮

New Relicは、顧客からの取い合わせに対応する業務も効率化している。

 

HY氏は「我々はいま、New RelicのMCP(Model Context Protocol)サーバーを使い、New RelicとAIエージェント、そして、CSチームがお客様からの問い合わせの起票に使っているタスク管理ツールを連携させています。これにより、タスク管理ツールのURL(問い合わせ内容へのリンク)をAIエージェントに貼り付け、調査の指示を出すだけで、問い合わせへの対応業務がほぼ終えられるようになりました。調査に要する時間は10分程度で、私の作業自体は10秒で済みます。以前はCSチームからの問い合わせ対応に半日を要することもありましたので、相当の工数削減です」と述べる。

 

以上に示した数々の成果を、同社は短期間で上げている。その背景要因として、大村氏は、SREチームと開発チームの密接な連携と、開発チームによるNew Relicの積極的な活用を挙げている。同氏は「当社の社員は、子どもたちを笑顔にするという共通のゴールがあり、そのために事業を成功させたいと考えています。ゆえに、全員の仲が良く、何でも言い合える関係にあります。それは、SREチームと開発チームにおいても例外ではなく、両者の仲は大変良好で、システムに関する課題についても率直に意見を交わし、共有する文化があります。それが、開発チームによるNew Relicの積極的な活用につながり、短期間で数々の成果を生むことにつながったと見ています」と説明する。

 

加えて、New Relic導入による開発チームの意識の変化も成果の創出につながっているようだ。意識の変化に関して、岡山氏はこう指摘する。

 

「New Relicの導入後、システム性能が可視化されたことで、開発チームの間に『性能を悪化させないように努力を払おう』『性能に配慮しながら新機能を開発しよう』という意識が強まりました。結果として、New Relicを有効に活用しながら、サービス品質を維持・向上させる文化が根づきつつあります」

 

障害対応の自動化も推進 サービス全体への適用を展望

New Relic活用の今後について、HY氏は、「はいチーズ!システム」の開発ロードマップの策定に有効活用することを計画している。同氏は「New Relicのデータの分析によって、はいチーズ!システムの顧客として、規模の大きな団体を増やした際のボトルネックはすでに割り出しています。今後はそれを、大規模な団体のさらなる獲得に向けた開発のロードマップに反映させていく計画です」

 

一方、玉﨑氏は、New Relicの活用を巡り、大きく4つの計画を示している。

 

1つは「SLO(サービスレベル目標)の導入」だ。玉﨑氏は「SLOの導入により、サービスに許容される最大エラー量(エラーバジェット)を算定し、それに沿ってリリースの管理を適正化することを構想しています。例えば、エラーバジェットを使い切ったら今週は日中のリリースを中止にし、サービス品質の維持に注力するといった判断を定量的に行っていきたいと思っています」と抱負を示す。

 

2つ目の計画は非エンジアリングチームへのNew Relicの展開である。玉﨑氏によれば、営業・CSチームのメンバーが、New Relicのダッシュボードなどを通じて、自分たちの担当プロダクトの状態を把握できる環境づくりを目指すという。

 

また、3つ目の計画は、AIエージェントによる障害対応の自動化で、岡山氏が中心となって仕組みづくりを進めている。計画の進捗について、岡山氏は「当面の目標は、MCPサーバーを介したNew RelicとAIエージェントとの連携によって、障害の調査から原因特定、修正コードの提案出しまでを自動化することです。現在(2026年2月)時点で、原因の仮説出しまでを自動化できるメドが立っています」と明かす。

 

さらに、4つ目の計画は、New Relicの適用範囲をはいチーズ!シリーズ全体に広げることだ。その計画を踏まえつつ、玉﨑氏はNew Relicの効果を次のようにまとめる。

 

「New Relicの導入は開発チームの意識を変え、サービス改善の自走性を大きく高めました。今後ははいチーズ!シリーズ全体にNew Relicを展開し、開発組織全体の生産性と信頼性を向上させていきたいと考えます」

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