デジタルエクスペリエンスはあらゆるビジネスの要です。そうした体験を「スムーズ」で「いつでも利用可能」にし、さらに「コンバージョンに繋がる」ものにすることの難しさは、かつてないほど高まっています。決済処理からカスタマーサポートのチャットボットまで、いくつものマイクロサービス、サーバーレス機能、数十ものサードパーティAPIで構成される現代のアプリケーションの複雑さにより、真のデジタル エクスペリエンス モニタリング(DEM)の実現は極めて困難になっています。ツールの分散は、データのギャップとサイロ化を生み出し、検出、根本原因の特定、MTTRの遅延を引き起こします。さらに、ユーザーの期待は飛躍的に高まり、常に新しく、パーソナライズされた、スムーズなデジタルエクスペリエンスを求めています。また、ユーザーの寛容性は低下しており、一度の悪い体験で他の選択肢を探すようになることも少なくありません。
目に見えないものは修正できません
今日のユーザーはシームレスなデジタルエクスペリエンスを期待しています。しかし、多くの開発チームは、ユーザーの行動の全体像を理解し、離脱時にユーザーが何をしていたかを把握できていないため、ユーザーの離脱や摩擦の原因を解明するのに苦労しています。ツールの分散はデータのギャップとサイロ化につながり、今日でも組織の50%が5つ以上のツールを使用しています。ユーザー行動データの収集を、未だ手作業による計装に依存していることが多いため、相関関係の把握が難しく、問題の迅速なトラブルシューティングが困難になっています。つまり、問題解決の遅延、ユーザーの不満、および収益の損失を招いています。ユーザーの行動を真に理解するには、ユーザーがどのような体験をしているのかを把握する必要があります。
エンジニアがユーザーの離脱が急増していることに気づいたとします。これは、お気に入りのeコマースサイトでのショッピング中にページの読み込みが遅かったり、検索が機能しなかったりしたことが原因だったのでしょうか?見ることができるデータが限られており、バックエンドの可視性もないため、エンジニアは手動で問題を再現せざるを得ません。この作業は時間がかかるうえ、非常に困難で、見落としが生じることも少なくありません。チームが問題を再現しようと奔走する一方で、売上が急落するのを目の当たりにしている経営陣に状況報告を行う必要もあります。その間、ユーザーは離脱を繰り返しています。これは、ユーザーと開発チームの両方にとって非常に大きなストレスです。開発チームは常に批判にさらされ、貴重な時間を問題解決に費やし、イノベーションに注力できない事態に陥っています。市場に出回っている他のソリューションは、手動による計装が必要で、問題の完全なコンテキストを提供しないため、フロントエンドとバックエンドで何が起こっているのかを点と点でつなぐ作業が必要となり、時間とコストがかかります。
AIによる分析でMTTRを大幅に向上
New Relic Engagement Intelligenceは、完全統合されたデジタル エクスペリエンス モニタリング(DEM)ソリューションの中核コンポーネントです。エンドツーエンドのユーザー行動データを自動的に収集し相関付けすることで、デジタルアプリケーションにおけるフラストレーション要因をプロアクティブに特定し、解消するのに役立ちます。Engagement Intelligenceは、手動による計装や膨大なデータの精査に頼るのではなく、クリック、レイジクリック、デッドクリック、スクロール、タイピングといったユーザーインタラクションを自動で追跡し、インテリジェントな要素アトリビューションを用いてユーザーが何にエンゲージしているかを把握します。フロントエンドにおけるユーザー行動を、基盤となるバックエンドサービスのパフォーマンスやインフラの健全性と結び付けて、統合ビューを提供します。
そのため、エンジニアがユーザーの離脱に気ついた場合、セッションリプレイを使えば、そのユーザーが何をしていたかをすぐに確認し、影響を受けたサービスのトポロジー全体を把握できます。チームは、答えを探し求めるのではなく、問題解決に全力で取り組むことができます。Engagement Intelligenceはインサイトを民主化することで、エンジニア、プロダクトチーム、UXデザイナーが、ユーザーが困っている箇所を迅速に特定し、フロントエンドでもバックエンドでも問題の根本原因を理解し、改善の優先順位付けを容易にします。デジタルエクスペリエンスを迅速に最適化し、顧客離れを削減できます。また、AIを活用したセッション概要を活用すると、最も影響力のある瞬間を探すのではなく、それをハイライト表示することができます。
主な機能は以下の通りです。
ユーザーアクション
ユーザーが製品をどのように利用しているかを把握できます。手動による計装は不要です。クリック、スクロール、入力などを自動的にキャプチャします。インテリジェントなアトリビューション機能により、ユーザーがどこでエンゲージしているか、どこで混乱したり気を散らしているかを、手動の計装なしに確認できます。レイジクリックは、ユーザーがイライラしている箇所を示します。
フルスタックのセッションリプレイ
フロントエンドの問題でもバックエンドの問題でも、ユーザーが実際に体験した内容を正確に把握できます。関連するリプレイはErrors InboxとAPMエクスペリエンス内に直接埋め込まれるため、コンテキストを切り替えることなくユーザーへの影響を確認できます。リプレイは詳細なテレメトリーデータと同期されるため、UXやシステムの問題をより迅速に把握し、修正できます。

コンテキストブラウザのコンソールログ
コンソールログの収集はスイッチ1つで有効にでき、エンジニアが必要な箇所にすぐに利用できます。詳細度の調整とサンプリングはシンプルな設定で行えるため、環境の変化に迅速に対応できます。コンテキストに応じて、ログがエラーワークフローとリプレイで表示されるため、根本原因を特定し、より迅速に解決するために必要なすべての情報が得られます。
AIセッション概要とシーケンスビルダー
推測はもう不要です。AIが重要なセッションと行動を抽出し、重要な問題を即座に優先順位付けしてくれます。会話型インタフェースにより、数百時間にわたるユーザー行動を柔軟に解析し、ユーザー行動に関するあらゆる質問に数分で回答できます。シーケンスビルダーを使用すると、特定のイベントシーケンスをたどったユーザーに検索を絞り込み、主要なユーザーフローを詳細に分析できます。

Engagement Intelligenceを活用することで、ブラウザとバックエンド全体のユーザーエンゲージメントデータを自動的に収集および相関付けして、エンドツーエンドの可視性を実現できます。手作業は一切不要です。レイジクリック、スクロール、タイピングといった詳細な行動に関するインサイトを、計装なしですぐに取得できます。シンプルなJavaScriptスニペットで、チームは有意義なデータ収集をすぐに開始できます。さらに、AIを活用したインサイトにより、エンジニアは最も重要なセッションに直接アクセスでき、問題をより早く解決し、迅速かつ正確にデジタルエクスペリエンスを向上させることができます。
次のステップ
Engagement Intelligenceは、顧客の問題が深刻な状態に発展する前に、迅速に可視化、分析、解決するのに役立ちます。 New Relic AI(NRAI)を使えば、セッションリプレイのイベントトレイルデータを要約してマッピングし、ユーザーのブラウザジャーニーをより深く理解することができます。AIセッションリプレイ概要を使い始めると、シーケンスフィルタリング機能によりユーザーインタラクション中に記録された特定のイベントシーケンスに基づいて、セッションリプレイをフィルタリングできます。これにより、適切なセッションを迅速かつシームレスに見つけることができます。
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