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SBIホールディングス|SBIホールディングス株式会社のWebサービス「保険の窓口インズウェブ」におけるトラブルシューティングの迅速化とサービス品質向上

SBIホールディングス株式会社 2名

利用用途

「保険の窓口インズウェブ」におけるエンドユーザーの使用体験を観測し、トラブルシューティングを迅速化するとともに、サービス品質を向上させ、コンバージョン率を向上させるためにNew Relicを活用。

New Relicの選定理由と成果

  • エンドユーザー環境におけるエラーや遅延をセッションID単位で計測
  • サービスに影響する問題の検知、原因の可視化、不具合修正までのプロセスを高速化
  • Webサイトの健全性を示す指標Core Web Vitalsに基づくサービス改善に着手
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SBIグループは、インターネット金融サービスのパイオニアとして、証券・銀行・保険をはじめ幅広いビジネスを手掛ける世界でも類を見ない「インターネット金融生態系」を構築している。新たなテクノロジーと有機的に結合し「デジタル金融生態系」へと変貌したSBIグループは、今後、急速に拡大するデジタルスペースの成長を取り込み、「デジタルスペース生態系」への飛躍を目指している。同社 インズウェブ事業部 部長でありシステム開発課 課長を兼務する徳田治氏は次のように話す。

「インズウェブは、『自動車保険一括見積もり請求サービス』を主力とする保険商品の比較サイトです。     2000年にサービスを開始し、累計1,000万人*1を超えるお客様に一括見積をご利用いただいています。自動車保険をはじめ、火災保険、バイク保険、生命保険、法人向け各種保険などを幅広く網羅し、1度の見積依頼で複数の保険会社から見積を取得できるサービスが好評です」

日本最大級の保険比較サイト「保険の窓口インズウェブ」は、電気料金や格安SIM比較などのメニューを拡充させながら、右肩上がりのビジネス成長を続けている。

「インズウェブを支えるWebアプリケーション/スマートフォンアプリは、独自の工夫を盛り込みながら内製にこだわって開発しています。多様化するお客様ニーズにより柔軟かつ迅速に対応するために、2021年7月にインズウェブのサービス基盤をAWSへと移行するとともに、CI/CDパイプラインを整備してアプリケーション開発体制をさらに強化しました」(徳田氏)

2022年初頭、SBIホールディングス インズウェブ事業部は、AWS上のサービス基盤を安定的に運用し、エンドユーザー体験をより良いものへと進化させるために、オブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームNew Relicを採用した。

*1:2022年9月インタビュー実施時点

SBIホールディングス株式会社 徳田氏

SBIホールディングス株式会社 インズウェブ事業部 部長 兼 システム開発課長 徳田 治 氏

 

エンドユーザー環境で何が起こっているのか

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標のエンドツーエンドでの「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。

「インズウェブで本格的にNew Relicの利用を開始したのは2022年5月頃です。それまでは、運用パートナーの支援を受けながらCloud WatchよるAWSのリソース監視、死活監視、ログ収集・分析等を行ってきたのですが、『エンドユーザー環境で何が起こっているのか、ユーザーがどのような体験をしているのか』を把握できないことにジレンマを感じていました」(徳田氏)

徳田氏らは、New Relicの導入に際して、「目の前のトラブルシューティングを迅速化すること」に加え、「エンドユーザーの体験を観測し中長期的にサービス品質を改善すること」を目標に掲げた。

「AWSへの移行に際しては、ビジネス成長を考慮して十分なシステムリソースを確保しました。移行からおよそ1年半、サービス影響のある問題を発生させることなく、バックエンドのWebアプリケーションは安定的な運用を継続できています。ところが、運用パートナーとの月次ミーティングでログ分析の結果を詳細に見ていくと、細かなエラーが発生していることが明らかになったのです」(徳田氏)

ECサイトではユーザー体験の優劣がコンバージョン率や離脱率に大きく影響するが、それはインズウェブも例外ではない。だが、従来のモニタリング環境では、「どこの不具合が、どのユーザーに、どれだけの影響を与えているか」を把握することは困難だった。

「まず、ここにNew Relicを適用しました。New Relic Browserは、エンドユーザー環境におけるコンテンツの表示速度を示し、遅延が発生していれば即座に把握できます。さらに、JavaScriptエラーを検知し、そのエラーを引き起こした手順をセッションID単位で明らかにすることも可能です。Errors Inboxという機能でJavaScriptのどの行に問題があるかも明示されるため、コード修正への対応も格段に迅速化されました」とシステム開発課 次長でありテックリードとして開発チームを率いる森田亘氏は話す。

New RelicのErrors Inboxは、フロントエンドからバックエンドまで、エンドツーエンドで発生したエラー情報を統合的かつ直感的に可視化し、エラートラッキングを容易にしている。

「インズウェブ事業部では、収益に直結するコンバージョン率をどれだけ高められるか、企画チームもマーケティングチームもまさに心血を注いでいます。私たちシステム開発チームは、New Relicで得られたデータの分析を通じてサービス品質を継続的に改善し、お客様一人ひとりのより良い体験に貢献していきたいと考えています」(徳田氏)

Core Web Vitalsを活用したサイト改善

New Relicの活用を進める過程で、森田氏は「トラブルシューティングの迅速化だけでなく、ユーザー体験の継続的な改善にも手応えを感じるようになった」という。新しいチャレンジは、GoogleがWebサイトの健全性を示す指標として提案している「Core Web Vitals」のインズウェブへの適用である。

「コンテンツの表示時間(LCP)、ページ操作の応答性(FID)、ページ表示の安定性(CLS)に関するデータをNew Relicで取得し、ダッシュボード上でそれぞれのスコアを共有していく考えです。これにより、システム開発チームの全員が、エンドユーザーの体験を定量的に把握しながらインズウェブのサービス品質向上に取り組むことが可能になります。たとえば、新機能のリリース直後にスコアが低下した場合に、速やかに開発チームが対処するようなフローの整備を目指します」(森田氏)

New Relic Browserでは、ダッシュボードのカスタマイズなしにCore Web Vitalsのスコアを表示させ、ドリルダウンによって、コンテンツの表示時間(LCP)が長くなっている原因を把握したり、ページ操作の応答性(FID)が良くないと感じているユーザーIDを特定できる。

SBIホールディングス 森田氏1

SBIホールディングス株式会社 インズウェブ事業部 システム開発課 次長 森田 亘 氏

 

「New Relicの中核機能であるAPM(Application Performance Monitoring)の活用も進めていきます。インズウェブのサービス全体にエンドツーエンドでのオブザーバビリティ(可観測性)を適用することで、複雑な条件下でアプリケーションのパフォーマンス問題が発生したときに解決を迅速化できるものと期待しています。また、スロークエリのようなこれまで見えなかった問題を把握して、プロアクティブに手を打てるようにしていきたいと考えています」と森田氏は話す。

New Relic APMでは、システムリソース視点の監視ツールでは見えづらいアプリケーションプロセス上のボトルネックを明らかにできる。Webアプリケーションのレスポンスタイム、スループット、エラー率、トランザクションなどを可視化するとともに、ユーザー体験に影響するコードやコード間の依存関係をリアルタイムで特定できるメリットはインズウェブ事業部にとっても大きい。

データ指向で継続的にユーザー体験を改善

徳田氏は「New Relicの導入から数カ月、本格的な活用はまだこれから」と話しつつ、すでに得られているビジネス上の成果を次のように紹介する。

「New Relic Browserにより、お客様がページで実行したアクションを把握したり、動的に生成されるページと静的なページを行き来する様子も追跡できるようになりました。これは、お客様ごとのコンテンツの工夫やUI/UXの改善など、マーケティングチームにとっても有益な情報として活用できるものです。また、New Relic Logsによるログデータの収集と分析を通じて、これまでと違った視点で中長期のトレンドを把握することも可能になるでしょう」

現時点でNew Relicを利用できるのはシステム開発チームのメンバーに限られるが、徳田氏は「運用パートナーもNew Relicを使えるようしたい」との考えを示す。

森田氏は、「New Relicを上手に使うことで、システム開発チームのメンバーに負担をかけることなく、SRE業務をレベルアップできるものと期待しています。また、New Relic Query Language(NRQL)を使いこなして、私たちが欲しい情報をわかりやすく可視化するダッシュボードの開発にもチャレンジしていきたいと思います」と意欲を示す。

New Relic採用の決め手のひとつに、「ユーザーライセンスを基本とするシンプルなライセンス体系で、すべての機能を利用できることがあった」と徳田氏は話す。監視対象が増えてもコストの変動が少ない     ので、安心して使い続けられることもNew Relicの特徴だ。徳田氏は次のように結んだ。

「目の前のトラブルシューティングと、中長期的なサービス品質やユーザー体験の改善に向けた私たちの取り組みが、New Relicの活用によってデータ指向に変わりつつあります。進化のスピードが速いSaaSならではのメリットを活かしながら、インズウェブのビジネスに目に見える形で貢献していくことが次の目標です。私たちのオブザーバビリティ環境をより良いものにしていくため、New Relic社の継続的なサポートに期待しています」