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デジタルトランザクションが収益を左右する時代

デジタルトランザクションがビジネス収益を牽引する現代において、優れたオンラインショッピング体験を提供することは不可欠です。セールシーズンのような繁忙期も例外ではありません。この時期にはオンライン体験の堅牢性と信頼性を確保することがとりわけ重要です。こうした重要な期間にObservability(可観測性, オブザーバビリティ)を確保することで、ユーザー体験を向上させながら収益を拡大し、パフォーマンス上の問題リスクを最小限に抑えることができます。

オブザーバビリティの重要性

オブザーバビリティ(可観測性)は単なる流行語ではなく、システム全体のパフォーマンスを把握するための戦略的アプローチです。New Relicの最新の2024 Observability Forecast レポートによると、ダウンタイムが1時間あたり少なくとも100万ドルのコストを生み出すと回答した組織は62%にも上ります。一方で、オブザーバビリティを強化した結果、収益や運用指標が最大29%成長したという事例も報告されています。KmartやSkyscanner、Shutterstockといった企業は、New Relicのオブザーバビリティツールを活用してシステムと顧客体験の両面を改善し、以下のようなメリットを得ています。

  • インシデントとダウンタイムの削減:オブザーバビリティの大きな利点の一つは、インシデントを減らし、ダウンタイムを最小限に抑えられる点です。フルスタックオブザーバビリティを単一のダッシュボード(Single Pane of Glass)で実現することで、AWSやKubernetesなど複数のテックスタックを統合的に把握できます。こうした包括的な可視化により、平均復旧時間(MTTR)が大幅に短縮され、結果的にダウンタイムが減少して顧客満足度が向上します。
  • カスタマージャーニーの理解:オブザーバビリティを活用すると、顧客の視点をより正確に把握できるようになります。Core Web Vitalsでサイトパフォーマンスを監視したり、分散トレーシング(Distributed Tracing)でトラフィックの急増を管理したりすることで、ユーザーがどのようにサイトを利用しているかを明確に把握できます。たとえばThortfulでは分散トレーシングを導入して、サイト上のあらゆるインタラクションをキャプチャ・分析し、シームレスな顧客体験を提供しています。
  • 事前準備の重要性:繁忙期を成功させるには、何より事前準備が欠かせません。複数の可観測性機能を展開することで、多様なユーザージャーニーをテストし、高トラフィックへの耐性を確認することができます。小売業者のKmartはアプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)やブラウザモニタリング、Syntheticsを活用してユーザーの操作をシミュレーションし、セール期間中のピークパフォーマンスを発揮できるようシステムを最適化しています。
     

 

 

パフォーマンスを最適化するための戦略

次にあげるような仕組みを使用してオブザーバビリティを高め、繁忙期のセールスを成功に導きましょう。

Core Web Vitals

Webサイトの読み込み速度やインタラクティブ性は、ユーザー体験を左右する非常に重要な要素です。Kurt Geigerでは、New Relicのダッシュボードを使ってLargest Contentful Paint(LCP)やTime to Interactive(TTI)をモニタリングし、カスタマーのショッピング体験を高めています。特にGoogleのCore Web Vitalsを改善することを優先し、ピークセール期のeコマース収益を支えるサイトパフォーマンスを強化しました。

Kurt GeigerはMagentoのデータをNew Relicに統合することで、Core Web Vitalsのスコアを45~50から85~90にまで向上させています。SEOやマーケティング、エンジニアリングチームが協力してデータを活用した結果、サイト速度と顧客満足度が大きく改善し、新たな業界ベンチマークを確立しました。

フルスタックオブザーバビリティ

エンドツーエンドのモニタリングを導入することで、ダウンタイムを効果的に削減できます。イギリスの小売ブランドM&S(Marks and Spencer)は、New Relicを活用してテクノロジーエコシステム全体を可視化することでインシデント管理を大幅に改善しました。Observability Forecastレポートによると、フルスタックオブザーバビリティを導入した組織はダウンタイムを79%削減し、年間4200万ドルを削減できたという結果も出ています。しかし、調査対象の組織のうちフルスタックオブザーバビリティを実装しているのはわずか24.9%にとどまっています。

M&Sでは、AWSやKubernetes、マイクロサービスなど、多岐にわたるシステムをNew Relicで一元的にモニタリングすることで、障害発生時の影響範囲を即座に把握し、迅速な対応を可能にしています。

分散トレーシングと外形監視

急激なトラフィック増加に対応するには、分散トレーシングと外形監視(Synthetics)の組み合わせが効果的です。Thortfulでは、問題が顧客に影響を与える前に早期検知できるように設定し、ピーク時でも高いパフォーマンスを維持しています。分散トレーシングを使えば、サイト全体で行われるインタラクションをキャプチャ・可視化・分析でき、ボトルネックや障害の原因を突き止めやすくなります。

さらにThortfulでは、外形監視を活用して代表的なユーザージャーニーをモニタリングすることで、実際のユーザーが問題に遭遇する前にアラートを受け取り、迅速に対応できる仕組みを整えています。

複数のオブザーバビリティ機能

KmartはAPMやブラウザモニタリング、Syntheticsなど多数の可観測性ツールを組み合わせて利用し、想定外の急激な負荷がかかった際でも安定稼働を維持できるように備えています。今年のObservability Forecastによると、回答者の75%が少なくとも5つの可観測性機能を導入しており、10種類導入している企業は37%に上ります。可観測性によるビジネス価値がより明確になるにつれ、この数字は今後さらに増加すると見込まれています。

Kmartでは、アプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)で異常を検出し、ブラウザモニタリングでWebページのパフォーマンスを把握し、Syntheticsでユーザージャーニーをシミュレートして継続的に監視しています。また、Slack連携によってインテリジェントなアラートを受け取り、迅速に対応できる体制を整えています。

今こそ行動を

次の繁忙期など売上が大きく伸びるタイミングは同時にトラフィックが集中しやすく、システムへの負荷が急増します。この重要な時期に堅牢なオブザーバビリティの取り組みを導入することで、売上損失リスクを回避し、顧客満足度と収益の継続的な向上を支える基盤を築くことができます。

ぜひこれらの戦略を自社の運用に取り入れ、オブザーバビリティの力を体験してみてください。まるで一年中使える贈り物のように、オブザーバビリティは常に価値をもたらし続けてくれるはずです。