概要

 ますます多くの企業が主にデジタルチャネルを通じて顧客との対話を行うようになっており、デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)を提供することが、ビジネスを成功させるうえでの必須要素となってきました。New Relic のプラットフォームは、開発・運用チームによる技術スタックの稼働状態のモニター、見つかった問題の迅速なトラブルシューティング、利害関係者からなるより幅広いチーム間でデジタルビジネスのキーメトリックスを共有することの支援を目的としています。

このガイドでは、ウェブサイトやモバイルアプリのDCXの最適化、ならびにそれらの基盤となるサービスやインフラの改善に関するベストプラクティスを学習します。

まずは、デジタルエクスペリエンスのサービスレベル品質を以下の3つの観点で評価することが重要です。

  1. 可用性:稼働しているのか?
  2. 機能性:正常に機能しているのか?
  3. 速さ:十分なスピードで動作しているのか?

これらの観点で評価することで、技術スタックのさまざまなレイヤーを通じてデジタルカスタマーエクスペリエンスを向上するための体制を構築できるようになります。

セクション1:実践的なデジタルカスタマーエクスペリエンスのモニタリング

フルスタックの可視化

New Relicのデジタルインテリジェンスプラットフォームは、技術スタックを構成する各要素をすべて可視化し、顧客のデジタルエクスペリエンスを損ねる可能性のあるあらゆる問題を迅速に解決するのに役立ちます。

これが重要である理由は、顧客にとって、問題の引き金となっているのがフロントエンド、バックエンド、インフラ、サードパーティ製品のどれであるかは意味のないことであって、単に水準以下のカスタマーエクスペリエンスを感じているだけであるためです。原因が何であれ、このような期待外れの体験から不満が生まれ、ビジネスに悪影響を与えます。

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ユーザーエクスペリエンスから始めましょう

カスタマーエクスペリエンスの中心にいるのが顧客であることを考慮し、顧客に最も近い技術レイヤーであるウェブサイトのフロントエンド部分、あるいはネイティブモバイルアプリ自身を理解するところから始めてみましょう。ウェブサイトとモバイルアプリは若干性格が異なるため、それぞれを個別に取り上げることにします。

ウェブサイトエクスペリエンス

ウェブサイトのデジタルカスタマーエクスペリエンスの品質を追跡するためにNew Relic が提供する主要な稼働状態メトリックスと機能について説明します。

可用性:サイトが完全にダウンしている場合、機能性や速度はほぼ意味をなしません。つまり、まずは単にウェブサイトにアクセス可能かどうかを確認することを目標にしてください。

  • ブラウザスループットの確認 何かがおかしいと感じる場合、アプリケーション全体の稼働状態の確認にはスループットが最適です。実際のユーザートラフィックを New Relic Browser で確認すれば、顧客がサイトにエンゲージしているかどうかが、リアルタイムに分かります。トラフィックが見つからない場合、恐らくDNS かルーティングの問題で顧客が全くウェブサイトにアクセスできないか、不満を感じて完全にサイトから離脱している可能性があります。スループットが予期せず急激に低下した場合、往々にしてトラブルシューティングが必要な問題が発生しているものです。
  • 可用性に対するアラートの設定 サービスが停止していることを不満に感じた顧客から知らされたくないものです。New Relic Synthetics の可用性モニターを使用すれば、ウェブサイトの稼働状況を継続的に確認できます。URL にアクセスできない場合、ページが正常に描画されない場合、あるいはAPI が不正なペイロードをレポートした場合、New Relic はモニターアラートを作動させ、顧客が問題を認識する前に通知を送信します。これらのモニターを使えば、お客様の顧客ベースの分布に合わせて複数のグローバル拠点から、お客様のウェブサイトを定期的にテストすることができます。New Relic Browser の地理情報でフィルタリング可能なグローバルスループットと組み合わせると、Browser やSynthetics のモニタリング機能を単独で使用する場合に比べ、より包括的にデータを理解でき、可用性に関する全体像を得ることができます。
  • 稼働時間に関するサービスレベルアグリーメント(SLA)の追跡 New Relic Synthetics でSLAレポートを使用し、ウェブサイト稼働時間のベースラインを決定してください。これらのモニターは、 チーム、ビジネス、顧客ベースなどのステークホルダーとコミュニケーションを取るタイミングに合うように、日時、週次、月次での全体的な稼働時間を記録しています。

機能性:ウェブサイトの稼働を確認したあとは、そのサイトを顧客が正常に使用できているかどうかを確認する必要があります。

  • 主要なユーザー操作が正常に機能していることを検証 New Relic Synthetics のスクリプト化モニターを使用し、実際の顧客によるアプリケーションの重要な処理(ログイン、精算、ディレクトリ、検索など)の実行状況をエミュレートしましょう。これにより、ユーザーにとって何かが明らかに壊れていないかどうかを確認でき、かつ最も重要なトランザクションが世界中から1 分間隔で実行されることを確かめることができます。顧客に影響を及ぼす問題を、それがウェブサイトのバックエンドやインフラ層に起因するものであっても、確実に検出できるようにすることを目標にしてください。
  • JavaScript エラーの精査 フロントエンド側に問題が発生している場合、通常は解析可能なログが存在しないため、何が発生しているのかを窺い知ることはできません。New Relic Browser の JavaScript エラーページを活用して、顧客のブラウザで発生している例外を確認しましょう。トラブルシューティングの際にエラーに優先順位を付けるため、この情報を名前、ウェブサイトのアクセス頻度、ブラウザ、その他重要だと思われるカスタム属性別に確認することができます。
  • 機能やエラーに対するアラートの設定 可用性メトリックと同様、これらすべてのメトリックは New Relic のアラートシステムに統合されており、問題発生時に通知するよう設定できます。最も重要な scripted monitor にアラートを設定すると、大いに役立ちます。ここで通知が発生するということは、ユーザーがアプリケーションの重要な処理を実行する際に問題が発生していることを意味します。

速さ:ウェブサイトが稼働していることが分かったら、今度はユーザーの直帰率が高くなるほどウェブサイトが重くなっていないことを確認しましょう。

  • フロントエンドロードタイムの精査 New Relic Browser で最も遅いページロードを特定し、アプリケーションの主なボトルネックを確認しましょう。パーセンタイルヒストグラムを活用すると、ユーザーベース全体にわたって何が起きているのかをより詳細に把握できます(あまり洗練されていないツールで見た場合、一部のページが原因で平均値が偏って表示される可能性があります)。これらの情報をサイトの最も重要なページ(チェックアウト、ログインなど)と個別に結び付けて考えることで、最も影響度の大きい部分に集中して取り組めるようになります。
  • フロントエンドのコードの検証と最適化 JavaScript がブロックされたり、最適化されていないAJAXコールがある場合、フロントエンドの実行は遅くなります。New Relic Browser を使用してこれらの問題を精査し、変更によって実際にデジタルカスタマーエクスペリエンスが向上したことを検証してください。履歴データを利用することで、容易にボトルネックを特定し、迅速かつ客観的に開発面での改善結果を定量化できます。
  • フロントエンドのApdex スコアの設定 New Relic は Apdex として知られる業界標準を使用し、サイトのレスポンスタイムをユーザーが定義した値を基準にして分類します。顧客ベースが期待する応答性を実現できるよう、New Relic Browser でフロントエンドのApdex の閾値をセットアップしましょう。その後、このユーザー満足度指標を改善するよう、努めてください。
  •  ページの肥大化の抑制 ページロードが遅くなる主な原因には、ウェブページサイズの急激な肥大化が挙げられます。New Relic Synthetics のウォーターフォールグラフではページ内の各種アセット(画像、メディアなど)のサイズが表示され、New Relic Browser のセッショントレースでは実際のユーザーがこれらのアセットの読み込みやJavaScriptの実行に要した時間が表示され、それらの個々のユーザーレベルまで掘り下げることができます。
  • サードパーティ製のJavaScript が遅くないか確認 ページの肥大化は、トラッキング、広告、メディア、ソーシャル、アナリティクス、ユーザーチャット、サポートなどのサードパーティ製スニペットやウィジェットが埋め込まれていることが原因である場合もあります。これらのサービスはパフォーマンス上のボトルネックとなる可能性があり、サイトのパフォーマンス遅延や停止の原因となっている場合には無効化する必要があるかもしれません。New Relic Browserでセッショントレースを使用し、問題の原因となっているサードパーティ製品を正確に特定してください。これによって、これらのウィジェットの「価値」とページの読み込みにかかる「コスト」を見直すことができます。
  • ページロードの速さに対するアラートの設定 ダイナミックベースラインアラート機能は、平常時のページロードにかかるレスポンスタイムの閾値を設定するのに役立ちます。徐々にレスポンスタイムが低下していく状態はより深刻な問題が発生する前触れである可能性があります。また、特に直近でコードをデプロイした後などは、早期の警告信号として役立ちます。

モバイルエクスペリエンス

ここでは上記で取り上げたサービスレベル品質の観点を再び用い、New Relic が提供するモバイルアプリのデジタル体験品質の追跡を目的とした稼働状態に関する主なメトリックと機能の一部を説明します。

可用性:

  • アプリの起動を追跡 モバイル開発者にとって最も重要な問題はおそらく、自分のアプリが利用されているかどうかということでしょう。New Relic Mobile を使用すれば、アプリの起動頻度を追跡してこの問題に対する回答を得ることができます。特に新規リリース後やモバイルOS バージョンを公開した後に起動頻度が減っている場合、ユーザー環境でエラー、クラッシュ、遅延が発生している可能性があります。
  • クラッシュの頻度を確認 起動中にアプリがクラッシュすることに不満を覚えたユーザーがアプリを削除してしまうことはよくあることです。Crash analysis を使用することで、本番環境でのクラッシュの発生原因とその解決に必要な情報を詳細に把握することができます。強力な分析ツールを使用すれば、最優先で対処すべきクラッシュをより深く理解できるようになります。また、絞り込み機能を活用してクラッシュ頻度の高い画面に重点的に取り組み、コード内でクラッシュとの関連頻度が最も高い場所を確認し、個々のユーザーのクラッシュにまで掘り下げて問題を調査することもできます。
  • アラートの設定 特に新規リリース後のアプリ起動回数の落ち込みや、クラッシュ回数の急増は真っ先に把握したいものです。モバイルアプリの稼働状態に対するアラートを設定することで、アプリストアでクラッシュに対する不満の声が上がると共に評価が落ち始める前に、これらの顧客の問題を迅速に把握できるようになります。

機能性:

  • HTTP エラーの解消 自己完結しているモバイルアプリは滅多にありません。モバイルアプリはむしろ通常はバックエンドのAPI に依存していますが、把握できる情報が少ないためにAPI のエラーをデバッグするのが困難になっています。バックエンド側にHTTP リクエスト情報と共に状況を共有することで、モバイル開発者がAPI エラーにより迅速に対応できるようになり、バックエンド側のチームとより密接に協力できるようになります。Cross-application traces は、チームがモバイルアプリから対応するアプリケーションに対するエンドツーエンドのHTTPトランザクションパスを把握するのに役立ちます。New Relic Synthetics のバックエンドのAPI モニタリングと組み合わせると、顧客側で問題が発生する前に問題を特定できます。

速さ:

  • HTTP レスポンスタイムの改善 モバイル開発では、バックエンドのAPI 以上の速度を実現することはできません。モバイル開発者とバックエンドの開発者が別々に作業している場合、パフォーマンスSLA の定義や監査の実施は困難です。New Relic Mobile を使用すると、APIトランザクションを位置、デバイス、 さらには接続の種類ごとに分類して確認できます。一般的な言葉を使って時間を要している箇所をミリ秒単位で示し、チームメンバー全員にパフォーマンスに対する責任を持たせることができます。
  • ユーザーインタラクション時間の追跡 コーディング品質の低いモバイルアプリでは画面がカクカクしたり、ハードがフリーズしてUI スレッドが完全に停止したりすることもあります。New Relic Mobile ではアプリ内の各ユーザーインタラクションの速度を分析し、最も発生頻度が高く、遅いインタラクションの詳細な内訳を確認できます。これによって、最も効果の高い場所に時間をかけられるようになり、個々のユーザーの粒度で実際のインタラクションデータを活用できます。

バックエンドサービスを調べましょう

ウェブサイトやネイティブのモバイルアプリは、一般的にその裏側を支えるAPIやマイクロサービスを利用しています。バックエンドサービスの品質が低下した場合、デジタルカスタマーエクスペリエンスも低下します。幸運にも、これらのバックエンドコンポーネントをより簡単にモニターし、監視しながら、高品質なエクスペリエンスを常に顧客に届けるための技術は存在します。

  • バックエンドAPI やマイクロサービスのトポロジーの稼働状態を確認 New Relic APM のService maps を使用して主なマイクロサービスのボトルネックを特定し、パフォーマンスを最適化してください。その後、New Relic Synthetics でこれらのサービスに対してAPI モニターをセットアップしましょう。これによって、サービスにアクセス可能かどうか、適切なAPI ペイロードを応答できているか、SLA で定義されたレスポンスタイム内で応答できているかを確認できるようになります。パブリックアクセスできないマイクロサービスについては、New Relic Synthetics の Private minions を使用してモニターできます。
  • バックエンドのApdex スコアの設定 顧客ベースが期待する応答性を実現できるよう、New Relic APM で Apdex の閾値を設定しましょう。また、この値はNew Relic Browser のApdex スコアに合わせて調整してください。フロントエンドでのページロードのスピード は、New Relic Browser でモニターすることで改善できるチャンスが大幅に広がります。しかしながら、この最適化作業では往々にしてバックエンド側の遅いエンドポイントやサービスの調整に移行することになるでしょう。
  • サードパーティ製サービスのパフォーマンスを確認 データ、メール、メッセージング、コンテンツその他の機能を持つサードパーティ製サービスを利用している場合、バックエンドはそれらのサービスに依存することになります。サードパーティのベンダーで発生した問題は、サービス品質の低下やクラッシュを引き起こす可能性があります。これらのサービスやエンドポイントは、New Relic Plugins や New Relic Synthetics のAPI モニターを使用して監視できます。また、必要に応じてこれらの外部サービスを切り離してください。
  • バックエンドのエラーの精査 New Relic APM の Error analysis から、アプリケーションの最も重要な部分で最も頻繁に発生しているエラーを確認できます。これによって、サービス品質への影響が最も高いエラーを精査し、対処することができます。
  • サービスのキートランザクションを特定 キーとなるサービスを特定したら、それらのサービス内のキートなるアプリケーショントランザクションを特定できるようになります。これらのトランザクションは、最も重要なサービスの中でも、最も重要な処理になります。New Relic APMでこれらを key transactions に指定するとモニター時の可視性が向上し、問題を早期に発見できるようになります。
  • 遅いアプリケーショントランザクションとデータベースコールの解消 調整や最適化のため、顧客に大きな影響を与えているような遅いアプリケーショントランザクションやブロックされたデータベースコールをトラブルシューティングしましょう。New Relic APM のtransactions や databases でこれらのボトルネックをそれぞれ精査し、全体的な応答性やデジタルエクスペリエンスを確認しましょう。
  • バックエンドのアプリケーションアラートの設定 アプリケーションサーバーがダウンすると、全体的なデジタルエクスペリエンスも低下します。そのため、アプリケーションの最も重要な部分に対してアラートをセットアップし、問題の兆候を把握できるようにしましょう。

基盤となるインフラを強化しましょう

技術スタックの基礎をなすのは、オンプレミス、クラウド、あるいはそれらをハイブリッドした構成のインフラです。この層での問題は、デジタルカスタマーエクスペリエンスを含め、この階層より上のあらゆる要素に影響を及ぼします。以下の対策は、お使いのインフラの動作を完全に把握するのに役立ちます。

  • システムリソースの稼働状態と消費の追跡 基盤となるインフラがダウンすると、全体的なデジタルエクスペリエンスも低下します。このため、New Relic Infrastructure アラートを設定すれば、コンピュータ、ネットワーク、ストレージといった主要なリソースが枯渇していないか、あるいはオーバプロビジョニングされていないか、更には重要なプロセスが落ちていないか、確認することができます。
  • 設定変更の追跡 インフラの変更はサービス停止の主な原因の一つです。New Relic Infrastructure の相関可能な稼働状態メトリックを使用すると、コンテナやインフラが不適切な設定によってダウンしたのかどうか、外部のデータセンターやハイブリッド環境、またはクラウドプロバイダーなど環境を問わず、確認することができます。
  • キャパシティとスケールの管理 負荷テストを行うことで 、サービス品質を低下させずにトラフィックの急増に対処するのに必要なインフラリソースの有無を確認し、将来的なキャパシティの計画を立てることができます。
  • サードパーティ製サービスのパフォーマンスを把握 データ保管、ロードバランシング、キャッシング、メッセージング、キューイングその他のサードパーティ製サービスを利用している場合、バックエンドはそれらのサービスに依存することになります。ベンダー側の問題は、サービス品質の低下やクラッシュを引き起こす可能性があります。たとえば、AWS サービスやエンドポイントは New Relic Infrastructure Integrations を使用してモニターできます。
  • Docker コンテナのパフォーマンスを追跡 コンテナサービスを利用すると、システム上で問題が発生する可能性のある技術レイヤーが増えることになります。システムの安定性を確保するため、New Relic でDocker の稼働状態メトリックを確認しましょう。
  • モニタリングをIT 自動化ワークフローに組み込み お使いの構成管理ツールに、モニタリングをインフラ自動化処理の一部として組み込み、リソースが自動的に計測されるようにしましょう。New Relic Infrastructure ではたとえば、AnsibleChefPuppet 向けに事前設定済みの統合機能を提供しています。
  • セキュリティアップデートやパッケージのレビュー ゼロデイ脆弱性や古いパッケージはセキュリティ上の脆弱性となる可能性があり、パッチの適用に際しては広範なインベントリの監査が必要になる場合があります。New Relic Infrastructure のインベントリ検索機能を使用すると、インフラ全体を数秒間で素早く検索し、このようなセキュリティ上の問題に対処できるようになります。

セクション2:チーム間プロセスの構築

最新の技術スタックは複雑であるため、管理やモニターの対象とすべき領域が非常に多様化しています。デジタルエクスペリエンスのモニタリングを大規模かつ効果的に行うには、最も重要な項目を実利的な情報を基に明確化し、その情報を適切なチームに伝え、日常的なプロセスに組み込む必要があります。これらの作業をすべて見て行きましょう。

 

より実用的な対策を行うためのインテリジェントアラート機能

 

アラートは、技術スタック全体にわたる重要なイベントに対して、アクション喚起的な通知を行うのに不可欠なステップです。包括的かつインテリジェントなアラートポリシーを構築することで、チームはより優れたデジタルエクスペリエンスを提供できるようになり、夜も安心して熟睡できるようになります。

 

  • 精度の改善 アラートの内容が無益である場合、担当者はアラートに疲弊し、「オオカミ少年」からの通知を無視するようになってしまいます。これは、本当に重要なアラートを見逃し、手遅れになってしまう原因となっています。ダイナミックベースラインアラート機能は、季節による変動、周期性、無益なデータパターンを考慮しながらキーとなるメトリックの正常範囲を定義するのに役立ちます。深刻度の閾値を使用すれば、重要度の高い通知を優先し、アラートに対する感度の低下を防げます。複数のアラートを定義したインシデントにまとめて関連付けできます。また、対応者がアラートの潜在的なリスクや適切な対応方法を理解できるようにするため、ランブック手順書を提供するようにしてください。

 

 

  • よりターゲットを絞ったアラートの作成 NRQL アラート機能を使用すると、アラートポリシーをコードで定義し、より重要なメトリックにターゲットを絞ったアラート条件を作成できます。たとえば、優先度の高い特定のレスポンスコード、カスタムエラーコード、特定アプリケーションの例外、システムのメタデータ、クラウドインフラ用のタグなどに対してアラートを作成できます。

 

 

 

 

 

 

自社の技術、ユーザー、ビジネスをより具体的に可視化しましょう

 

提供できるデジタルカスタマーエクスペリエンスの特性は、さまざまな技術スタック、ユーザー、ビジネスによって決まります。多くの場合、お客様のビジネスに固有の、パフォーマンスモニタリングに含めるべきカスタムメトリックが存在します。

デジタルエクスペリエンスを監視するためのカスタム値を追加 New Relic Insights の custom eventscustom metricscustom attributes を使用し、モニタリングの次元を増やしましょう。以下に、モニター対象に含めるべきデータタイプの一部を掲載しています。

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技術的要因によるビジネス全体への影響を可視化しましょう

エンジニアリングチームが提供するデジタルエクスペリエンスの質は重要です。ウェブサイトやアプリの動作次第で、それらに対するユーザーの関わり方は変わり、それらがビジネス全体をドライブしています。エンジニアリングチームを連携させて、デジタルエクスペリエンスのパフォーマンスを向上させ、共有化されたリアルタイムのダッシュボードとレポートを使用して、幅広いビジネスへの取り組みの実績を実証しましょう。New Relic Insightsを使用すれば、このような可視化を実現し、スタック全体および独自の観点からすべてのパフォーマンスデータをまとめることができます。また、その相互関係を表示することもできます。

New Relic Insights dashboard
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Digital Business Impact dashboard

ビジネスを顧客中心の視点から考えましょう

 

組織構造や技術スタックのレイヤーは、デジタルカスタマーエクスペリエンスの構築方法や運用方法に大きな影響を及ぼします。しかしながら、これらすべては顧客にとっては関係のないことです。顧客は舞台裏で起こっていることを気にする必要はないのです。すべてをシームレスに確実に連携させることが、優れたデジタルカスタマーエクスペリエンスを提供するうえでは最も重要なのです。

 

  • 技術ではなく、顧客回りのパフォーマンスも注視 userIdカスタム属性を使用すると、New Relic Insights で技術スタックだけではなく、デジタルカスタマー関連のパフォーマンスデータを中心に考察できるようになります。この顧客中心のビューによって、エンジニアリングチームの体制ではなく、最良のデジタルエクスペリエンスを届けることに会話を集中させることができます。

 

 

  • ライブパフォーマンスダッシュボードを使用して、VIP 顧客や価値の高い顧客をランク付けし、顧客の特徴やそのデジタルエクスペリエンスの品質を把握 最も重要な顧客とは、最も多くのお金を払い、最も製品を利用している顧客です。しかし、場合によっては独自の設定、カスタムコード、あるいはより複雑な使用方法が原因で全体的に最悪のエクスペリエンスを感じている可能性があります。デジタルエクスペリエンスがどのように機能しているのかを示す顧客中心のビューを活用することで、さまざまな機能を最も重要な顧客に役立てる方法を検討することができます。
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次のステップ

上記で説明したベストプラクティスを実践することをお勧めします。まずは、顧客が体験しているフロントエンドのパフォーマンス改善から着手してみましょう。その後、バックエンドを改善してからインフラに着手してください。このプロセスの中でアラートをセットアップし、カスタムイベントを追跡して、貴組織特有のニーズに対応したカスタムダッシュボードを構築してください。最後に、チーム全体にこれらのダッシュボードを共有してください。これによって、デジタルカスタマーエクスペリエンスが最終的な収益に及ぼす影響について議論を促進することができます。

New Relic のデジタルインテリジェンスプラットフォームを最大限に活用するためのリソースがさらに必要な場合は、当社がいつでもお手伝いいたします。New Relic University や技術ドキュメントを使ってより知識を深め、技術情報を参照することができます。更なる支援が必要な場合は、有償のエクスパートサービス チームをご利用ください。該当チームが、特定の顧客のエクスペリエンスとニーズに関する実行可能なインテリジェンスを収集できるよう、お客様の要件に合わせてNew Relicを拡張するお手伝いをいたします。

最後に、優れたデジタルカスタマーエクスペリエンスを構築するには、単なる技術以上のものが要求されるということを覚えておいてください。ウェブサイトやモバイルアプリが企業にとって戦略的な差別化要因となるにつれて、それらを構築・維持するチームの役割や責任も変わってきています。

皆様は、世界規模でデジタルカスタマーエクスペリエンスを構築することの重要性や、その複雑性に最適な総合的アプローチであるDevOpsの登場に伴う変化を認識していらっしゃるかと思います。データ駆動型の DevOps は、通常それに伴うアジャイル開発のプラクティスと共に用いられています。これによって組織内の複数の部門が協力し合い、顧客を満足させ、ビジネス目標を満たせるようなより高品質、安全、かつ信頼性の高いソフトウェアの作成、デプロイをより迅速に実施できるようにします。これが、優れたデジタルカスタマーエクスペリエンスを提供するためのすべてです。