利用用途

全世界同時配信・運営されるスマートフォン向けゲームで、世界中のユーザーに快適なプレイ体験を提供するためのシステムの安定稼働とサービス品質の向上にNew Relicを活用

New Relicの選定理由と成果

  • インフラからアプリまでシステム全体の品質を観測するフルスタックオブザーバビリティの実現
  • 地球の裏側まで、すべてのユーザーのプレイ体験・サービス品質を可視化
  • プロダクト開発チーム全員で品質向上に取り組むための指標を提示

利用機能

  • New Relic APM
  • New Relic Mobile
  • New Relic Logs
  • New Relic Dashboards
  • New Relic Alerts 
  • New Relic Workloads

 

 

2022年7月、ワンダープラネット株式会社が、新作スマートフォン向けゲーム『アリスフィクション』を全世界同時配信・同時運営を実現し、配信開始からわずか2か月で100万ダウンロードの突破を実現した。この「ヤミツキ光速パズルRPG」の人気の理由は、ハイスピードパズルバトルならではの派手なアクションと、パネルを壊す時の爽快感にある。同社 執行役員VPoEでありEDMO(Engineering and Design Management Office)室長を兼務する開哲一氏は次のように話す。

「ワンダープラネットでは、オリジナルゲームの企画から開発、パブリッシング、グローバル配信までを一貫して自社で行っています。全世界同時配信・同時運用を実現した『アリスフィクション』は、私たちがこれまで培ってきた技術とノウハウの集大成であり、世界中のユーザーに新しいプレイ体験を提供するために、テクノロジーとクリエイティブの両面で挑戦的な要素を数多く採り入れています」

ワンダープラネット 開様

執行役員VPoE EDMO(Engineering and Design Management Office) 室長 開 哲一 氏

ワンダープラネットでは、『楽しいね!を、世界中の日常へ。』を企業ミッションとして掲げ、技術チームだけではなくプランナーやデザイナー、経営陣まで全社が一丸となってプロダクトを磨き上げている。CTOを務める吉谷幹人氏は「『世界中』と『日常へ』というワードに注目してほしい」と話しつつ、次のように続ける。

「私たちは、移動中や就寝前などの時間でも楽しめる『日常に溶け込んでいくようなゲーム』を、スマートフォンというプラットフォームを通じて『世界中のユーザー』の皆様に届けていくことを目指しています。このミッションを達成するためには、他を寄せ付けない圧倒的な技術的競争力が必要です。私たちは、『ワンダープラネットの技術ビジョン』を策定し、最高の気持ち良さと快適さを持つUX、感動をもたらすビジュアルアート、世界同時配信と最高品質のグローバル対応、高速改善と長期安定運営を実現する運用、という4つの技術領域すべてを極めることを目標に掲げました」

吉谷氏はCTOとして技術ビジョンの策定、技術戦略の推進をリードするとともに、開氏が主宰する全社横断の技術組織「EDMO」で活動している。

「EDMOは、プロジェクトごとに閉じていた技術を全社レベルに昇華させ、技術戦略に基づいた新しい技術の獲得を主導し、全社で活用できる共通基盤の提供・技術課題の解決を担っています。その一環として2022年5月にNew Relicを導入しました。技術ビジョンの実現に向けた取り組みを加速させるために、オブザーバビリティ(可観測性)が欠かせないと考えたのです」(開氏)

世界中のユーザーに快適なプレイ体験を提供

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。

開氏は「スマートフォンで実際にプレイするユーザーの体験を把握できないことに、ジレンマを感じていた」と話しつつ次のように続ける。

「世界中のユーザーに快適なプレイ体験を提供し続けることが、私たちの目の前のテーマです。New Relicを採用した狙いは、バックエンドからスマートフォンアプリまでシステム全体のリアルタイムな観測を通じて、サービス品質の低下にいち早く気づき、迅速に対処できるようにすること。さらに、観測されたデータをもとに、開発チームが共通指標を持って中長期的にサービス品質を改善できるようにすることです」

ゲームアプリでは「ユーザーのプレイ体験」が極めて重要だ。美しいビジュアル表現、派手なアクション、練り上げられたストーリーも、快適なプレイ体験があってこそ成立する。バックエンドシステムは、膨大な量の同時アクセスを遅延なく処理し続けなければならない。

「Amazon CloudWatchを中心とする従来のインフラ監視が主眼となるモニタリング環境では、主にバックエンドのインフラ視点でリソースや稼働状況を監視してきました。私たちが注力したいユーザー環境に対しては、アプリの障害こそ把握できたものの原因の特定に時間がかかるケースもあり、パフォーマンス問題も全ての機能、全ての環境での全体像を把握することはできませんでした。この状況が、New Relic導入により一変しました。アリスフィクションのインフラ、バックエンドアプリ、スマートフォンアプリのメトリクスの収集が可能になり、さらにユーザーの『プレイ体験』を定量的に把握できる手応えを得ています」(開氏)

エンジニアが責任範囲を超えて問題解決に取り組む

New Relicの活用は、まだ開発中だった『アリスフィクション』から始まった。本タイトルを支えるシステムは、PHP/PhalconによるバックエンドアプリケーションをAmazon ECS/AWS Fargate上で稼働させ、スマートフォンアプリのコンテンツアセットをAmazon CloudFront(CDN)を介して全世界のユーザーへ配信する。ユーザーが使うiOS/Androidスマートフォンでは、ゲームエンジンとしてUnityが稼働する。

「アリスフィクションの開発段階、中でもリリース前の負荷テストでNew Relic APM(Application Performance Monitoring)が威力を発揮しました。APIのボトルネックの特定から、コードの改修、パフォーマンスの改善までがスピード化され、工期の大幅な圧縮につながりました。また、運用段階ではプロダクト開発チームとSREチームがパフォーマンス分析に活用し、New Relic APMのメトリクスをサービス品質の改善に向けた共通指標として活用しています」と吉谷氏は話す。

New Relic APM     では、Webアプリケーションのレスポンスタイム、スループット、エラー率、トランザクションなどを可視化するとともに、ユーザー体験に影響するコードやコード間の依存関係をリアルタイムで特定できる。

「複雑なゲームロジックが組み込まれたシステムで、パフォーマンスに影響するコード上の不具合を特定するのは、経験豊富なエンジニアでも難しくなっています。優れたオブザーバビリティ(可観測性)を発揮し、『分散トレーシング』を使えば複雑なサービス間連携まで可視化できるNew Relic APMは、今後システムを継続的に安定運用していく上で非常に心強いツールです」とEDMO所属 SREチーム データエンジニアの小西良昭氏は話す。

また、New Relic Logsによるログ収集・分析には期待以上の効果があったという。インフラ、バックエンド、クライアントエンジニアが、それぞれの責任範囲を超えて問題解決・サービス品質改善に取り組めるようになったのだ。

「New Relic Logsは、バックエンド/スマホアプリのエラーログを自動的に収集してくれます。何らかの問題が発生したときには、ダッシュボード上の簡単な操作でログを追跡し、ユーザーIDまで絞り込んでエラーの発生箇所を可視化してくれるので、原因を特定するまでの時間も劇的に短縮されました。クライアントエンジニアが、バックエンドの不具合を特定するようなケースも少なくありません。想像もしなかった良い変化が現場で起こっています」(吉谷氏)

New Relic Errors Inboxに集約されたエラー情報が、Slackで関係者に共有される仕組みも整えられた。

「解決を急がなければならない問題がインフラで発生した場合、最初にエラーを検知したクライアントエンジニアが即座に切り分けまでを行い、直後にインフラエンジニアに解決を引き渡すような動きが可能になりました。問題発生時の初動が早くなり、解決までに10~30分程度かかっていた作業が1分程度に短縮されました」(小西氏)

 

「地球の裏側のユーザー体験」をリアルタイムに観測

吉谷氏には、New Relic導入における明確な目標があった。それは「地球の裏側のユーザー体験まで、リアルタイムで観測可能にする」というものだ。スマートフォン向けゲームを「世界中の日常へ」提供するために、New Relicが果たす役割は大きい。

ワンダープラネット 吉谷様

CTO EDMO(Engineering and Design Management Office)所属 吉谷 幹人 氏

「現在、New Relic Mobileによるユーザー体験の可視化に取り組んでいます。世界中で使われているスマートフォンは5,000機種以上あり、スペックもOSのバージョンも様々で、実際かなり古い機種でプレイされているユーザーの方もいらっしゃいました。テスト環境で快適にプレイできていたとしても、現地の通信環境によっては同等のレスポンスが得られないこともあります。こうした条件下でプロダクトを磨いていくためには、ユーザー体験の定量化・可視化が不可欠です。まず、ユーザー端末上でのアプリのパフォーマンスをしっかりと計測したいと考えました」と吉谷氏は話す。

アリスフィクションでは、リッチな表現やアクションを、低スペックのスマートフォンでも安定的に動作するよう配慮されている。New Relic Mobileは、スマートフォンアプリ上のエージェントとして稼働し、フロントエンドのパフォーマンス、通信状況、デバイスの稼働状況などの観測を通じて、ユーザー体験の改善ポイントを見つけ出すことが可能だ。

「New Relic Mobileは、端末情報、OS情報、ラストワンマイルを含めた通信時間、アプリエラーなどのメトリクスを即座に取得でき、しかも想像以上に詳細な分析が可能なことに驚かされました。さらに私たちは、ゲームエンジンであるUnityのラッパーを独自に開発し、データのロード時間、ハードウェアリソース、追加のエラー情報といった情報を得られるよう工夫しています」(吉谷氏)

今後、よりゲームに特化した指標である、フレームレートやスマートフォン本体の発熱量、グラフィック負荷などを計測できれば、ゲームアプリの開発段階で有益な指標として活用できるという。

「『地球の裏側のユーザー体験まで、リアルタイムで観測可能にする』という目標の達成は間近です。New Relicの導入・活用は、技術ビジョン実現のための大きな第一歩になったと確信しています」と吉谷氏は笑顔を見せる。

企業ミッションの実現に向け「オブザーバビリティ」をさらに活用

「問題解決のリードタイム短縮は代表的なNew Relic導入の成果ですが、ユーザー体験を可視化し、これを指標にしてチーム全員でプロダクトの品質を作り込み、チーム一丸となってプレイ体験を磨き上げていく体制を整えられたことに、より大きな意義があると考えています。     私たちのシステムが与えるユーザー体験としっかりと向き合うための共通基盤・共通言語が手に入りました」と開氏は話す。

「アリスフィクション」は世界中のユーザーから支持を獲得し、着実にダウンロード数・アクセス数を増やしている。吉谷氏は次のように結んだ。

「ワンダープラネットの企業ミッションの実現を加速させるために技術ビジョンを策定し、技術戦略推進の具体策としてNew Relicによるオブザーバビリティ(可観測性)の基盤を整備しました。この環境を利用して、技術チームの取り組みに対する評価指標を制定し、目指す姿に着実に近づいていることを定量的に示すことで、エンジニア一人ひとりがビジネスへの貢献度を実感できるようにしたいと考えています。New Relic社には、引き続き柔軟な技術サポートを期待しています」