利用用途
美容・ヘルスケア業界に特化した求人サイト「リジョブ」、介護・看護・リハビリ業界向け求人サイト「リジョブケア」のサービス安定化とユーザー体験の改善を図り、ビジネスの成長を支える基盤としてNew Relic Oneを活用
New Relicの選定理由と成果
- システム負荷の増大に起因する問題の早期特定と解決
- 2~3日を要していた問題の原因特定を1~2時間に短縮
- 効果的な情報共有によりユーザー体験を向上させるチームレベルの取り組みを可能に
- エンジニアの生産性とモチベーションの向上にも寄与
美容師、アイリスト、ネイリスト、エステティシャンなど――美容・ヘルスケア業界に特化した「リジョブ」は、会員登録数500,000人、掲載求人数29,000件を誇る業界トップクラスの求人メディアである。リジョブは、システム利用料を低く抑えながら成功報酬にウェイトを置くプランを開発。企業の採用コストを従来の約1/3~1/2にまで削減して業界の常識を覆した。CTOとしてシステム開発をリードする藤原繊衛氏は次のように話す。
「美容・ヘルスケア業界向け求人サイト『リジョブ』、介護・看護・リハビリ業界向けの『リジョブケア』の運営が求人メディア事業の二本柱であり、求人掲載料と入社後の成功報酬が収益の大半を占めています。2つのサイトは、求職者様と採用側の企業様を結ぶプラットフォームであるとともに、私たちのビジネス基盤そのものです」
業界トップクラスの実績と支持率の高さは、リジョブにより多くの求職者を引き寄せる。リジョブはWeb検索で常に上位に表示されるため、より多くの求職者と接点を持ちたい採用側の企業にとってもメリットが大きい。
「求職者様と採用企業様のより多くのマッチングを成功させ、ビジネスの好循環をより大きなものにしていくために、求人サイトとしての使い勝手の良さ、サービス基盤の優れたレスポンスと安定性を常に追求しています。新機能の開発、UI/UXを含む継続的な機能改善、より良いユーザー体験を支えるシステムの信頼性向上が、私たちエンジニアUNITの重要なミッションです」と小栗豊氏は話す。
リジョブでは、クラウド上に構築したシステムを大きく見直しながらサービス品質を磨き上げてきた。2019年からAWS上で運用されている現行システムは第3世代にあたる。藤原氏は、国産クラウドからAWSに移行する一大プロジェクトの指揮を執った。
「利用できるサービスが最も充実していたことAWSを選んだ理由です。AWSのコンポーネントを有効活用してデータベースのスケーラビリティを確保するとともに、アプリケーションのモダナイゼーションを進めました。この移行を機に、エンジニアが個別に使ってきたNew Relic Oneの活用を全社レベルで本格化させています」(藤原氏)
エンジニアUNITに品質管理チームを編成
リジョブのエンジニアUNITは、Ruby on Railsを扱うバックエンドエンジニア、フロントエンドエンジニア、アプリエンジニア、インフラエンジニアなどおよそ30名で構成されている。
「エンジニアUNITは3年前の3倍の陣容になりました。新機能の開発要求の増大もさることながら、ビジネスの成長とともに増え続けるトランザクションを安定的に処理する必要に迫られたことが、チームを拡充させた大きな理由です。2021年には新たに品質管理チームを編成し、SREがNew Relic Oneを活用しながらサービス品質の向上に取り組んでいます」と藤原氏は言う。
エンジニアUNITのメンバーは、New Relic Oneを問題検知の迅速化、原因の早期特定、情報共有とチーム体制での問題解決に活用している。SREの村井巧 氏は次のように話す。
「たとえば、CPU使用率がしきい値を越えたときにはアラートが発せられ、その情報はSlackで即座に関係者に共有されます。品質管理チームは、CPUリソースが逼迫している原因を特定し、開発やインフラなど担当エンジニアと協議しながら対応します。New Relic APMはブラウザーからインフラまでプロセス全体を可視化してくれるので、原因がデータベースでもアプリケーションにあったとしても速やかに特定できます」
New Relic Oneは業界を代表するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。
「長いトランザクションの中からパフォーマンスボトルネックを特定し、ログを追跡しながら原因を解明するには、経験豊富なエンジニアでも2~3日を要することは珍しくありません。New Relic APMを活用することでこれを1~2時間に短縮できています。また、対処方法としてコードを改修するのか、インフラを増強するのか、即座に対応すべきか、中期的に改善すればいいか、といった判断も適切に行えます」と小栗氏は話す。
週2回のリリースを支えるNew Relic One
求人サイト「リジョブ」では、求職者個人向け、採用側の企業向けそれぞれ専用画面が提供される。顧客ニーズに応える新機能のリリース、既存機能のアップデート、UI/UXの改善などは、週2回のペースで実施されている。
「週2回という高頻度でのリリースに、New Relic Oneは欠かせないツールとなっています。テスト段階でもNew Relic Oneを活用し、コード不具合に起因するパフォーマンスボトルネックが発生しないことを慎重に確認します。リリース後に何らかの問題が確認できた場合には、速やかに原因を特定して対応するチーム体制も整えました」(藤原氏)
「今後さらにシステム規模が大きくなっていく中で、特定のエンジニアに頼るのではなく、チームとして今起こっている問題に即座に対応できなければならないと思っています。New Relic Oneのメトリクスは、そのための基盤となる情報です。何らかの問題が発生したときに、『改善の優先度をどれだけ上げるか』『開発時の留意点がどこにあるか』といった、チーム全体での認識合わせや合意形成がしやすくなったことは非常に大きな進化です」と小栗氏も話す。
リジョブでは、新機能のリリースごとに本番環境でレスポンスタイムを計測し、基準値を上回らないことを確認してきた。小栗氏らは、この取り組みを新しい段階に進めようとしている。
「アプリケーションの品質を定量的に評価するために、各求人サイトのサービスレベル目標(SLO)とサービスレベル指標(SLI)の制定を進めています。New Relic Oneが収集した時系列のメトリクスデータを一覧表示することで、誰でもひと目で目標の達成状況を把握できるようにしたいと考えています」と小栗氏は力を込める。
エンジニアの生産性とモチベーションの向上にも寄与
New Relic Oneの活用が進むことで、エンジニアUNITはOne Teamとしての結束を高めている。今後はビジネス部門とのコミュニケーションへの活用も期待される。エンジニアUNITでサービスデスクの役割を担い、技術面での様々な問合せに対応している塙克樹氏は次のように話す。
「エンジニアUNITとビジネス部門の信頼関係を深めることを意識しながら、日々の業務に取り組んでいます。新機能リリース後のユーザー体験をNew Relic Oneで可視化し、これを共通指標としながらビジネス部門とエンジニアUNITで改善の方法を検討できるようにしたいと思っています。ビジネスの視点から使いやすいシンプルなダッシュボードを開発していく考えです」
New Relic Oneのダッシュボードは、自身のメトリクスに加えて外部からのデータを取り込んで柔軟にカスタマイズできる。PV数や契約数などのビジネスKPIとシステムパフォーマンスの関係性を評価するような使い方も可能だ。
「可観測性を高めるNew Relic Oneは、リジョブのサービス品質だけでなく、エンジニアの生産性とモチベーションの向上にも寄与しています。見えないものが見えるようになった、2~3日を要していた問題解決が数時間に短縮できたのですから、コストを超えた価値があると言っていいでしょう。私たちにとってもはや不可欠なツールであり、新しい機能も積極的に利用していきたいと考えています」(藤原氏)
「私自身はNew Relic One使い始めて1年ほどですが、より高度な機能を使いこなすことで、もっと大規模で複雑な環境でも問題解決が可能になると感じています。SREとしての経験と知見を高められるとともに、エンジニアUNIT全体での問題解決力の強化につながっていることが、この仕事の大きなやりがいになっています」と村井氏も話す。
リジョブでは、エンジニアUNITをさらに強化する方針を打ち出している。藤原氏は期待するエンジニア像を次のように話した。
「リジョブという会社には、全員が『誰かのために自分が役立ちたい』というマインドを持ちながら仕事に取り組む文化があります。自分の経験を誰かのために活かしたい、新しい技術にもチャレンジしたい、というエンジニアの方と一緒に、リジョブの新しいサービスを作り上げていきたいと思っています。New Relicには、これからも私たちのビジネスの成長とエンジニアUNITの成長を支えてもらえることを期待します」