レバテック|ワンチームで“関係者全員の幸福”を追求。開発のスピードアップと品質向上を両立させ、IT人材プラットフォーム「レバテック」のさらなる成長に挑む

levtech

利用用途

IT人材プラットフォームとして急成長を続ける「レバテック」のシステムをモダン化し、「分散モノリス状態」からの脱却と「開発に集中できる環境」の実現にNew Relicを活用

New Relicの導入目的と成果

  • モニタリングをオブザーバビリティに進化させ「開発のスピード化」と「プロダクトの品質向上」を追求
  • 障害対応などのノンコア業務を削減して「開発に集中できる環境」を実現
  • エンジニアをはじめ「関係者全員の幸福を追求する」という理念を体現
  • オブザーバビリティを高度に活用するためのパートナーとしてNew Relicの総合力を高く評価

利用製品

  • New Relic APM
  • New Relic Infrastructure
  • New Relic Synthetics
  • New Relic Dashboard
  • New Relic Alerts & AI
  • Errors Inbox
  • Workloads

 

国内最大級のIT人材の採用プラットフォーム「レバテック」の成長が止まらない。契約企業が1万社、登録者は50万人をそれぞれ突破し、今やIT人材の2.5人に1人が登録するサービスとして業界をリードしている。中でも、IT人材と企業のより良い関係を結ぶエージェントサービスに対する評価は高い。フリーランス、正社員転職、新卒就活の3事業を軸に成長戦略を推進しつつ、教育・学習支援などマッチングの枠を超えたサービスの拡充にも積極的だ。レバテック株式会社 CTO室 テックリードの河村勇樹氏は次のように話す。

「レバテックでは、5年後10年後の事業成長を見据えて、IT人材プラットフォームの進化を支えるエンジニア組織とシステムの強化に取り組んでいます。チームトポロジーを採用してよりプロダクトにマッチしたチーム体制を構築するとともに、市場のニーズや環境の変化に素早く適応できるモダンなシステムへの移行を急ピッチで進めています」

2023年11月に新設されたCTO室は、経営方針に基づくシステム戦略を立案するとともに、アーキテクチャ設計や技術評価・選定などの戦略実行をも担う。ユーザー体験の向上、業務プロセスの改善、技術的負債の解消は、いま河村氏が最も重視しているテーマだ。

「レバテックのシステムは、大規模化・複雑化したモノリスがある一方で、スピード優先で開発してきた機能群が多数存在し、『分散されたモノリス』のような状況にありました。短期の視点で先進的なプロダクト機能の開発に力を注ぎながら、中長期計画の中で技術的負債の解消に取り組んでいるところです。開発リソースはいくらあっても足りない状況で、エンジニアの生産性を高めるための抜本的な対策が求められていました」(河村氏)

kawamurasan

CTO室 テックリード 河村勇樹 氏

具体策のひとつが、「ユーザー登録」や「データ分析」などIT人材マッチングビジネスのコアとなるドメインを経営視点で見極めて、ここに開発リソースを集中させる方針だ。

「もうひとつが、システム監視や障害対応といったノンコア業務を低減し、エンジニアに『開発に集中できる環境』を提供することです。これを実現するために、2024年初頭にSREの専任チームを編成し、オブザーバビリティプラットフォームNew Relicの活用を本格化させています」(河村氏)

エンジニアが「開発に集中できる環境」の実現へ

レバテックでは事業の軸ごとに開発チームを編成しており、これらを横断する組織としてSREチーム、イネーブリングチーム、マイクロサービス開発に特化したプラットフォームチームが設置されている。SREチームを率いる蒲生廣人氏は次のように話す。

「レバテックのビジネス成長に欠かせない『開発スピードの加速』と『プロダクトの品質向上』――これらを両立させるために、New Relicの活用を高度化してエンジニアが『開発に集中できる環境』の実現を目指しています。およそ80名の開発チーム全員がSite Reliability Engineering(SRE)活動を理解し、これを実践できるようにすることがSREチームのミッションです」

gamosan

開発部 SREチーム リーダー 蒲生廣人 氏

レバテックでは、プロダクトの機能強化や改修を容易にするためのリアーキテクト、共通ID基盤の整備、マスタデータの共通化とデータ分析基盤の整備といった大型プロジェクトが同時に進行中だ。

「マイクロサービス化の過程で監視対象が増大・複雑化し、監視設定や保守体制の整備が追いつかないほどエンジニアの負荷が高まった時期がありました。その結果、ひとたびインシデントが発生すると原因の特定が難しく、解決までに多大な工数を要することもありました。New Relicの活用を通じて、従来型のシステム監視をモダン監視へ、さらにオブザーバビリティの強化へと進め、こうした問題を一掃したいと考えました」(蒲生氏)

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、国内では39%のトップシェアを獲得している。デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にし、アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する。SREチームの井上峻氏は次のように話す。

「トラブルシューティングの迅速化と予防保全、エンジニアの負荷軽減と開発生産性の向上――いずれもSREチームが取り組んでいる重要なテーマですが、『New Relicさえあれば達成できる』というほど簡単ではありません。まず、私たち自身が『現状と理想的な状態のギャップ』を理解・定義し、関係者と議論を重ねながら、そのギャップを解消するためにオブザーバビリティをどのように活用すべきかを具体化していきました」

inouesan

開発部 SREチーム 井上峻 氏

New Relicソリューションコンサルタントの仕事

レバテックがNew Relicの活用を高度化するにあたり重要な役割を果たしたのが、New Relic 日本法人のソリューションコンサルタント(SC)である。同社の髙木憲弥氏は次のように話す。

「New Relic 日本法人では、お客様の環境にSRE活動をしっかりと定着化させ、開発生産性とプロダクト品質の向上に貢献することを非常に大事にしています。私たちは、レバテック様のシステムを可視化し、ボトルネックやコード上の不具合を特定して、根本的な問題解決を進めていくための実践的なアドバイスを行ってきました。New Relicというプロダクトの機能性を最大まで引き出し、お客様のビジネス価値に結びつけるための適切な情報とサポートを提供し続けることが、SCとしての私たちの活動の基盤となっています」

髙木氏らは、SREチームとのディスカッションを経て、レバテックの開発チームとSREチーム合同による実際の本番環境における観測データの分析・活用方法の勉強会を実施し、開発チーム全体の活用レベル向上を推進している。

勉強会

レバテック オフィス会議室にて、開発チーム・SREチーム合同のNew Relic勉強会の様子(写真右・右側がNew Relic ソリューションコンサルタントの髙木氏)

「New Relic社との初期のディスカッションでは、開発がビジネスの成長スピードに追いついていない現状をズバリ指摘され、そうした状況から抜け出すための具体策を示されました。対話を続けていく過程で、課題解決の優先度やオブザーバビリティの適用法などを整理できたことは、非常に大きな収穫だったと思います」とSREチームの金澤伸行氏は話す。

kanazawasan

開発部 SREチーム 金澤伸行 氏

移行コストを上回るNew Relicのビジネス価値

レバテックでは、New Relicを導入する以前より他社製のオブザーバビリティツールを使用してきたが、「思うように定着化が進まずジレンマを感じていた」と蒲生氏は振り返りつつ次のように話した。

「オブザーバビリティツールの機能を引き出し、SREチームのミッションを遂行していく上では、適切な情報とサポートが必須であることを痛感しました。オンボーディングはもちろん、スキルトランスファーを前提にしたNew Relic 日本法人のサポートには感謝しかありません。また、New Relicはユーザーコミュニティ(NRUG)の活動が活発で、ここから発信される情報も非常に有益でした」

移行コストをかけてまでNew Relicを導入するのか、という議論は当然あった。それでも採用を決断した理由はどこにあったのか。河村氏は次のように話す。

「SCによる手厚いサポート、学習のための充実したコンテンツなど、有形無形のNew Relic資産を評価しました。経営の視点では、New Relicのライセンス体系がレバテックの成長戦略に有利に働くだろうという期待が大きかったですね。利用できる機能や監視対象の数ではなく、ユーザー数で基本コストが決まるので、オブザーバビリティを活用した新しいチャレンジを制約なく進められることが、最終的な決め手になったと思います」

蒲生氏も、「New Relicのことを深く知るにつれ、『エンジニアのためのツールを作ろう』というNew Relicの設計思想のようなものを感じることができました。このことは、エンジニアの開発生産性を高めたい、プロダクトの品質を向上させたい、という私たちの思いとまさに合致するものでした」と続けた。

エンジニアの意識と行動を変えるNew Relic活用法

New Relicの本格的な活用が始まって3か月、開発チームによるSRE活動への取り組みは緒についたばかりだが、これまで困難だったスロークエリの特定と解決などですでに効果があらわれているという。

「システムで何らかの問題が発生した際に、開発チームのメンバーが『顧客とサービスにどのような影響が及ぶのか』を確認しながら、優先順位を決めて対処できるようになりました。また、顧客体験をより明瞭に把握するためにどのメトリクスを取得すべきか、それをどう分析すべきかを、エンジニア自身が考えて実践できるようにもなりつつあります」と蒲生氏は話す。

エンジニアの意識と行動が、システム視点から顧客・サービス視点に変わりつつあることは重要な変化と言えるだろう。河村氏は次のように話す。

「ユーザー登録に至る前に離脱されたケースの分析に『New Relicのカスタムイベントが使えないか』というように、ビジネスサイドからの要求でなく、開発チームから提案できるようになったことも良い変化です。システム起点、エンジニア主導の改善提案は、さらなるビジネス成長を目指すレバテックにとってより重要な要素となるはずです」

レバテックでは、ビジネス成長を加速させるためにエンジニア組織の強化に取り組んでいる。河村氏は「エンジニアが思いのままに活躍できる環境が整ったことで、レバジーズグループが掲げる『関係者全員の幸福を追求する』という理念にさらに近づいた」と話し次のように結んだ。

「New Relicとオブザーバビリティの導入効果を、経営層にしっかりと示していきたいと考えています。たとえば、ビジネス上重要なトランザクションとSLI/SLOとを紐づけるダッシュボードを整備し、障害を予防したことによるビジネス効果を、顧客数の増加、損失の抑制といったプラスとマイナス両面から可視化するようなアイディアがあります。また、New Relic IAST(Interactive Application Security Testing)のようなセキュリティ機能は、個人情報を扱うレバテックにとって非常に有益であり、経営層にもアピールできる要素です。New Relicには引き続き、会社は違うけれどひとつのチームとして、私たちの目標や課題に一緒に立ち向かってもらえることを期待しています」