利用用途

注力事業であるHR-Techプロダクト「engage/エンゲージ」の開発内製化、システムの安定稼働、サービス品質向上のためにNew Relicを活用

New Relicの導入目的と成果

  • 社内エンジニア組織の編成とアプリケーション開発内製化のための基盤整備
  • 本格的な成長期を支えるアプリケーション、サービス基盤、モニタリングのモダン化
  • 確実な不具合検知とアラーティングにより、トラブルシューティングの時間・工数を半分以下に
  • 観測データをエンジニア組織で共有し、問題解決やパフォーマンス改善を高効率化
  • パフォーマンス観測会を通じて、中長期視点でのサービス品質改善、潜在的な問題点の特定と解決を推進

利用製品

  • New Relic APM
  • New Relic Logs
  • New Relic Synthetics
  • New Relic Infrastructure
  • New Relic Dashboard
  • New Relic Browser
  • Alerts&AI
  • Workloads
  • Erros Inbox
  • Codestream

 

エン・ジャパンが提供する「engage/エンゲージ」の急成長が止まらない。2024年2月時点でおよそ60万社と、実に国内の7社に1社が158万件を超える求人を掲載し、求職者会員数は337万人を突破するなど、さらにその勢いを増している。企業向け採用支援ツール「engage」、求職者向け求人サイト「エンゲージ」から構成されるこのHR-Techプロダクトが、圧倒的とも言える支持を獲得している理由はどこにあるのか。同社 VPoEとしてエン・ジャパンのエンジニア組織を率いる小澤正幸氏は次のように話す。*以下、本稿ではプロダクト/サービスの表記を「エンゲージ」に統一

「エンゲージは、コスト0円で簡単に採用ホームページを開設し、求人掲載、応募者管理、採用までを一貫して行える求人サービスです。お客様は、エン・ジャパンが培ってきたノウハウが凝縮された豊富な基本機能を無料でお使いいただけます。アドバンスドな採用支援を有料で提供していますが、まず使い始めるにあたっては応募や採用に関わる成功報酬もありません。こうしたメリットが求人・採用に悩みを抱える多くの企業様に評価され、利用企業数国内No.1の採用支援ツールとなりました」

作成された求人は求人サイト「エンゲージ」だけでなく、「Indeed」や「Googleしごと検索」といった外部の求人検索エンジンにも自動掲載され採用効果を高められることも人気の理由だ。

「エン・ジャパンではエンゲージを投資事業の中核のひとつに位置づけており、2023年に立てた中期経営計画で、5年で10倍の成長を目指しています。そして、エンゲージを常時100万件の求人と100万人の求職者が集まるプラットフォームへと進化させるために、開発の内製化と社内エンジニア100名体制の確立を急いでいます」(小澤氏)

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VPoE 小澤 正幸 氏

エン・ジャパンは長年にわたり開発パートナーとの協力関係を築いてきた。それでも内製化にこだわる理由を、小澤氏は次のように話す。

「受発注の関係があると、受注側はどうしても『頼まれたことをやる』『頼まれていないことは、やった方が良いと思ってもできない』格好になりがちです。一方で頼む側にもエンジニアリングの観点がなければ、そもそも『頼むことができない』こともある。どうすればプロダクトやシステムがもっと良くなるのか、ユーザー満足度をもっと高められるのかを主体的に考え、『頼まれていないことも』改善の挑戦や実験的な試行錯誤を繰り返すことができるエンジニア組織をつくりたい、社内の技術基盤を強固にしていきたいと考えました」と力を込める。

HR-Techプロダクトとして日々進化するエンゲージは、マイクロサービスアーキテクチャを採用したモダンなコンテナアプリケーションに生まれ変わりつつある。本格的な成長期に突入したエンゲージのサービスを支えるために、より高い信頼性とスケーラビリティを備えたサービス基盤への見直しも同時に進む。

「開発を内製化するということは、アプリケーションとサービスの品質を自分たちで守っていかなければならないことを意味します。システムの状況を定量的かつ統合的に把握することは欠かせません。私たちはオブザーバビリティプラットフォームNew Relicを採用し、様々な観測データを共有しながらエンジニア組織全員でこの課題に取り組んでいます」(小澤氏)

内製化を進め開発チーム主体でNew Relicを活用

小澤氏は、ジャストシステム、ライブドア、LINEなどでソフトウェアエンジニアとして様々なサービス開発に携わった後、2021年11月にエン・ジャパンに参画した。VPoEとしての小澤氏のミッションは、内製化に向けた社内エンジニア組織の編成と、HR-Techプロダクト「エンゲージ」の更なる進化である。

「求人掲載から採用までを0円で実現するエンゲージは、まさに業界の常識を一変させたサービスです。開発内製化の大きな狙いは、この戦略的かつ野心的なプロダクトの開発において、スピード感をもって様々な試行錯誤を繰り返し、まだ誰も作ったことのないサービスへといち早く進化させることにあります。やりたいこと、やらなければならないことは山積しています」と小澤氏は話す。

開発1チーム リーダーの吉田健人氏は、小澤氏が編成した社内エンジニア組織の最初期のメンバーの一人だ。ECサイトのバックエンドアプリケーション開発の経験を活かしてエン・ジャパンに入社したのは2022年3月である。

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開発1チーム リーダー 吉田 健人 氏

「入社して最初のミッションがNew Relicの導入でした。前職では開発エンジニア自身がシステム監視からトラブルシューティングまでを担う体制でしたので、ログを分析しながら不具合個所を探り出すことには自信がありました。ところがNew Relicでは、アプリケーションエラーやパフォーマンスボトルネックを即座に検知・可視化して、その原因をコードレベルまで掘り下げて特定できるのです。最新のオブザーバビリティプラットフォームの能力には心底驚かされました」(吉田氏)

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、国内では39%のトップシェアを獲得している。デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にし、アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する。

吉田氏は自らNew Relicを使いながら、「整えチーム」の一員としてエンゲージへのNew Relicの導入・実装を担うとともに、開発エンジニアをサポートしながらモダンなモニタリング環境の活用を進めていった。その後、吉田氏が「本業」のアプリケーション開発に注力するようになり、「SRE(Center of Practice)」としてその役割を引き継いだのがプラットフォームチーム リーダーの高山太希氏である。

「New Relicの活用は特定のチームだけではなく、“全員で同じツールを使う”方針をとりました。開発/インフラ/ビジネスサイドの全員が共通のコンテキストで話せるようにすることで、認知負荷を下げると同時に、オブザーバビリティで収集したデータの透明性を高めています。またインフラチームのプラットフォームチーム化を進めるとともに、複数の開発チーム内にSREを定着させるためのサポートを担っています。Enabling SREとプラットフォームエンジニアリングの二段構えで、エンジニア組織全体のサービス品質や顧客体験に対する感度を引き上げ、プロダクトオーナーシップを高めていく効果を狙いました」と高山氏は話す。

New Relicは、小澤氏が示したログの集約、メトリクス監視、アラーティングへの適用という要件をクリアしただけでなく、「可視化とトラブルシューティングの迅速化」「予防保守的な不具合・ボトルネックの解消」「開発チームの生産性向上」という効果をもたらした。

「エンゲージ」のモダナイゼーションにおける共通指標

吉田氏・高山氏らの尽力により、New Relicの活用を軸に、ダッシュボードやSlackを介して同じ情報を共有し、エンジニア間での認識を合わせて課題解決に取り組む流れは定着化した。可視化とトラブルシューティングの迅速化は、New Relicがもたらした明らかな効果のひとつだ。

「インフラ障害が発生したとき、それが特定のアプリケーションの高負荷に起因していた、というケースがこれまで何度もありました。New Relic APMの観測データを共有することで、開発エンジニアとインフラエンジニアが協力して問題と向き合い、解決を迅速化できるようになったことは非常に大きな成果です。優れた可視化の機能を活用して、これまで見えなかった不具合の潰し込みも着実に進んでいます」と吉田氏は評価する。

高山氏は、「かつては、インシデント対応に丸一日駆けずり回らなければならないようなこともありましたが、今は関係者への情報共有から対応フローまでが滞りなく流れるようになったので、解決時間も工数も半分から数分の1以下になっている感覚です」と続けた。

さらに、吉田氏と高山氏の主催で「パフォーマンス定点観測会」が定期的に実施され、中期的な視点でサービス品質を改善する取り組みも始まっている。開発チームとプラットフォームチームが共同で取り組めていることについて、高山氏は笑顔を交えながら次のように話す。

「パフォーマンス定点観測会では、所属も立場も経験も違うエンジニアを集めて、ひとつのNew Relicダッシュボードを見ながらシステムの潜在的な問題点やボトルネックを探っていきます。少しゲーム感覚を採り入れて、各自の着眼点や洞察を示しながら対応策を議論しつつ、次回までに問題を解決するところまでがセットです。密度の濃いディスカッションを通じて、ベテランエンジニアの経験や知識を若手に伝えていくことも定点観測会の大事な狙いとしました」

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プラットフォームチーム リーダー 高山 太希 氏

パフォーマンスの高いコード、技術負債にならないコードを書こう

エンゲージの開発チームは、スクラムをベースにしたアジャイル開発によりマイクロサービスごとに異なるサイクルで機能アップデートを行っている。New Relicは、アプリケーション開発のスピードと品質の両立と、チームの開発生産性向上にも寄与している。

「新機能のリリース前後でシステムの挙動やパフォーマンスに変化がないか、New Relic APMとデプロイメントマーカーを使うことで容易に確認できます。これにより開発エンジニアは、適切にサービスを提供できている確証が得られるとともに、何か問題があれば即座に対処できるようになりました。また、New Relicの活用を通じてインフラへの理解を深める過程で、『よりパフォーマンスの高いコードを書こう』『技術負債にならない良いコードを書こう』という意識も高まってきました。開発チームの生産性は着実に向上している実感があります」(吉田氏)

小澤氏が編成したエンジニア組織「エンジニアリンググループ」は、アプリケーション開発チームとプラットフォームチームで構成される。両チームが協力してアプリケーションとサービス基盤のモダナイゼーションを進めていく上でも、New Relicは重要な役割を果たしている。エンジニア組織の拡充やシステム投資にかかる意思決定に関わるデータを提示できるため、経営・ビジネスサイドもNew Relicの有用性を評価しつつあるという。

「ビジネス規模を10倍に成長させるためには、アプリケーションとサービス基盤が10倍のトラフィックを支えるスケーラビリティと信頼性を備えなければなりません。スモールスタートから始めたエンゲージには依然として改善すべき箇所が残されています。New Relicによるアプリケーションプロセスやインフラ全体の可視化と様々な観測データは、これらを着実に改善し、エンゲージというプロダクトを理想の姿に近づけていくために重要な指標を示してくれます」と小澤氏は話す。

2024年4月までに、エンゲージを支える社内エンジニア組織はおよそ50名の体制となる。目標とする100名体制に向けて拡充は続く。全員が「自分たちのプロダクトを磨き上げ、その価値を高め、持続的なビジネス成長を支えていく」という意識を持ってタスクに向き合っている。これこそが、エンゲージとエン・ジャパンの成長の原動力に他ならない。小澤氏は次のように結んだ。

「かつては、本番環境で稼働しているアプリケーションに対して、ログやメトリクスからその状態を把握するには高度な専門知識が必要でした。New Relicのようなオブザーバビリティプラットフォームの登場によって、こうした状況は一変しました。私自身は、システムやアプリケーションに対する視野が大きく拡張された、視力が劇的に上がった感覚を味わっています。エン・ジャパンには、エンジニア全員がモダンなテクノロジーを活用して活躍できる環境が整えられています。意欲と向上心の高いエンジニアと、より多くの『縁』を結べることを楽しみにしています」