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ディーバ(DIVA)|ソフトウェアパッケージ企業からSaaS企業への変革を加速させるオブザーバビリティ

株式会社ディーバ様

利用用途

国内トップシェアの連結会計システム「DivaSystem」のSaaS化、パッケージソフトウェア企業からSaaS企業への事業転換の推進にNew Relicを活用

New Relicの選定理由と成果

  • 連結会計アプリケーションのサービス品質に対する企業責任を果たすための基盤整備
  • 連結決算というミッションクリティカルな顧客業務を担うシステムの安定化・高信頼化
  • 数100社分のシングルテナントシステムにおける問題検知・原因特定・解決を迅速化
  • 5営業日以上を要した数100社分のログ収集・分析を数時間で実現
  • 不具合の影響度を評価し、解決の優先度を決定、月次のCI/CDプロセスで確実に対応
  • DevとOpsが一体となって「継続的にサービス品質を作り込む」意識・文化を醸成

利用製品

・New Relic Infrastructure
・New Relic Logs
・New Relic Browser
・New Relic AWS Integration
・New Relic Dashboard

 

ディーバが開発を手掛ける「DivaSystem」は、12年連続で国内シェアNo.1を獲得している連結会計・連結決算システムである。戦略的なM&Aや事業再編を通じたグループ経営強化を成長戦略の軸に据えている企業は多い。だが、子会社が増えるほど連結決算に関連する業務は増大し、決算早期化のトレンドとともに財務・経理部門の負担は高まっていく。ディーバ プロダクト開発本部 技術開発統括部長 兼 技術開発部長(当時)の鈴木亮氏は次のように話す。

「DivaSystemは、連結決算業務に必要なデータ収集、連結処理、レポーティング、決算開示までを一貫して支援する優れた機能を標準で提供します。属人化しがちなExcelによる管理から脱却して連結決算業務を標準化したい、連結決算処理に自動化を採り入れて業務を効率化したい、といったお客様ニーズを捉え累計1,200社から支持をいただいています」

ディーバでは、2020年よりDivaSystemをクラウドサービス(DivaSystem LCA Cloud群)として提供しており、100社超の企業ユーザーを獲得している。

「DivaSystemのSaaS化は、サービス利用モデルを指向するお客様のニーズに応えるものであり、本社財務・経理部門 = 海外を含む多数の子会社 = 監査法人 の三者が連携する連結決算業務をクラウド上で完結できます。さらに、会計基準や開示要件の変更に自動的に適合できること、常に最新の機能をご利用いただけること、インフラ運用が不要なことなどお客様へ様々なメリットを提供します。一方、ディーバにとっては、ソフトウェアパッケージ企業からSaaS企業への転換という大きなビジネスチャレンジでもありました」

株式会社ディーバ(DIVA)鈴木様

プロダクト開発本部 技術開発統括部長 兼 技術開発部長(当時) 鈴木 亮 氏 

ディーバは、アバントグループの一員として「経営情報の大衆化」という共通のミッションを担う。鈴木氏と技術開発統括部がリードするDivaSystemのSaaS化は、サブスクリプション型ビジネスへの転換を図るグループ戦略にまさに合致したものだ。

「クラウドへのリフトからスタートしたSaaS化ですが、現在クラウドネイティブへのシフトを本格化させています。技術開発統括部が特に注力しているのは、システムアーキテクチャの最適化とモダンな技術基盤の確立です。その一環として、2022年秋にオブザーバビリティプラットフォームNew Relicを導入しました」(鈴木氏)

連結決算業務という停滞の許されないビジネス要求

DivaSystem LCAのサービス基盤はAmazon EC2を中心に構築されており、数100社の環境をシングルテナントで運用していること、専用のクライアントアプリケーションを使用することが本システムを特徴づけている。そして、連結決算業務という停滞の許されないビジネス要求に応えなければならないことが、オブザーバビリティへの強い期待に結びついた。

「New Relicの導入は、連結会計アプリケーションのサービス品質に対する企業責任を果たすための基盤整備と言えるものです。四半期単位で行われる連結決算の繁忙期において、お客様の業務に影響するサービスの不調やレスポンスの悪化は極力回避しなければなりません。アプリケーションやサービス基盤の不具合を正確に把握し、事前に解決しておく必要があるのです」とプロダクト開発本部 プロダクト開発統括部 SRE部長(当時)の山本裕介氏は話す。

株式会社ディーバ(DIVA)山本様

プロダクト開発本部 プロダクト開発統括部 SRE部長(当時)山本 裕介 氏

ディーバでは、月次でCI/CDによるアップデートプロセスを実施している。アプリケーションの不具合は、その影響度を正しく評価し、優先度を見極めた上で改修プロセスに乗せなければならない。

「そのためには、意思決定に必要な客観的・定量的な情報が不可欠です。これまでもログ収集・分析は行っていたものの、本当に欲しい情報をタイムリーに手に入れるのは難しい状況でした。New Relicを利用することで、数100社に及ぶシングルテナント環境の正確な把握が可能になると期待しました」(山本氏)

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、国内では39%のトップシェアを獲得している。デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にし、アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する。鈴木氏は次のように話す。

「ディーバ自身がサービス品質に対する責任を担うSaaS環境では、開発チームとSRE部が一体となって『継続的にサービス品質を作り込む』という意識・文化を創り上げる必要があります。その変革に向けた基盤にもなるのが、オブザーバビリティプラットフォームNew Relicによる観測と可視化です」

数100社のシングルテナント環境にNew Relicを適用

ディーバのSRE部は、AWSのマネージドサービスを活用したDivaSystem LCAのインフラ設計から、構築、運用、監視、保守までをトータルに担っている。プロダクト開発本部 プロダクト開発統括部 SRE部 SRE課 SREグループ長(当時)のA.O氏は次のように話す。

「数100社に及ぶシングルテナント環境のインフラ監視、外形監視、ログ収集・分析からNew Relicの活用を開始しました。DivaSystem LCAのアプリケーションは、お客様ごとにシステム設定やオプションが少しずつ異なるのですが、あるお客様で性能問題が発生したとき、New Relicに集約したイベントログやエラーログから速やかに原因を特定し、同じ仕様のお客様環境に対して一斉に不具合対応を行えるようになりました」

DivaSystemではおよそ300種の標準レポートが提供されているが、システムに高い負荷を与えるケースもある。A.O氏はNew Relicでログを分析し、どのようなクエリが性能問題を引き起こしているのかを把握し、リスクと優先度を評価しながらアプリケーションとインフラの最適化計画に組み込んでいった。

「Amazon CloudWatchとAWS CloudTrailによる従来の環境では、全ユーザーのログ収集から分析まで5営業日以上を要するため、日常的な運用に加えてここまでの分析を行うことは実際のところ困難でした。New Relicの導入により、わずか数時間のうちに、次の四半期、次の年度に発生するかもしれない不具合を特定できる体制が整いました。劇的な変化と言っていいでしょう」(A.O氏)

新バージョンのリリース直後にメモリリークやエラーが検知されたとき、即座に開発チームにエスカレーションされる手順も整えられた。

株式会社ディーバ(DIVA)A.O様

プロダクト開発本部 プロダクト開発統括部 SRE部 SRE課 SREグループ長(当時) A.O 氏 

鈴木氏は「お客様ごとに少しずつ仕様の異なるDivaSystem LCA環境すべてを、安定的に運用するのは至難の業」と話しつつ、次のように続けた。

「システムに不調が発生したなら、まず原因を特定して影響するバージョンやオプション、お客様範囲を把握し、適切な対処法を絞り込んでいかなければなりません。そのお客様固有の問題なのか、多くのお客様に共通する問題なのかの判断は非常に重要です。New Relicを利用することで、リスクとコストを定量的に評価しながらより合理的な対応が可能になりました」

また、上場企業には決算期末後の45日以内に決算短信を作成し開示する義務がある。一般に「45日ルール」と呼ばれるものだ。

「ログを解析することで、お客様が何月に連結決算業務を行っているかを把握できますので、カナリアリリースの対象とするお客様の選定に利用しています。New Relicの技術サポートチームから、引き続き細やかな活用支援を受けることで、お客様がDivaSystem LCAを使用して、どれだけの時間をかけて連結決算業務を完了させたかを把握できるようになるだろうと期待しています」(A.O氏)

New Relicを活用したDevSecOpsの実践を目指す

SaaS版のDivaSystem LCAのユーザー数は着実に伸長し、Web API化、Webアプリケーション化を軸としたモダナイゼーションも急ピッチで進んでいる。

「バックエンドの開発言語をC#に統一し、財務・経理部門の方により使いやすいアプリケーションとして高い完成度を追求していく方針です。もちろん、根強いニーズのあるExcelアドオンも使えるようにします。開発チームでは、リリース判定などへのNew Relicの活用を開始していますが、さらに活用を進めてDevOpsを実践し開発を加速させていく考えです」と鈴木氏は話す。

山本氏は「New Relicの観測データという共通指標を用いて、開発チームとSREチームが論理的かつ円滑にコミュニケーションできるようになったことは大きな成果です。SaaS事業者としてどうあるべきかという共通認識も生まれ、プロダクトの品質を高めていくための協力体制はいっそう強化されました。DevOpsの先には、DevSecOpsへの取り組みが待っています」と続けた。

New Relic Vulnerability Managementなら、DevOpsのプロセスに脆弱性管理というセキュリティ機能を即座に組み込むことができる。鈴木氏は「New Relicはオブザーバビリティの重要性を私たちに気づかせてくれた」と評価しつつ次のように結んだ。

「アバントグループのミッションは『経営情報の大衆化』であり、お客様の『最善の経営』をご支援することです。私たちは、New Relicの活用レベルを高めながらお客様の使用体験を観測し、New Relicでしか得られない有益な情報を共有しつつ、DivaSystem LCAのサービスを磨き上げてお客様の最善の経営に貢献したいと思っています。New Relicの技術チームにはこれからも適切なアドバイスとサポートを期待しています」