AI、特にAgentic AIシステム(自律型AIシステム)の急速な導入により、アプリケーションパフォーマンス管理に新たな複雑さが生じています。大規模言語モデル(LLM)監視が普及する一方で、Agentic AIのインタラクション(相互作用)の基盤となる標準規格であるモデルコンテキストプロトコル(MCP)において、重大な可視性のギャップが顕在化しています。MCPはリリース以来、Agentic AIのゴールドスタンダードとして急速に台頭し、インテリジェントエージェントが多様なツールやサービスと動的に連携できるようにしました。MCPはAIの統合を簡素化しますが、課題も伴います。
本日、当社は業界をリードするアプリケーションパフォーマンス監視(APM)とシームレスに統合された、包括的なAIモニタリングソリューション内でのMCPの画期的なサポートを発表します。
Agentic AIとMCPによるオブザーバビリティの課題
AIエージェントがさまざまなツールやサービスと動的に連携するAgentic AIアプリケーションは、その連携を容易にするためにMCPサーバーに依存している場合が多いです。しかしながら、これらのMCPサーバーはこれまで「ブラックボックス」として運用されており、AIレイヤーのパフォーマンスと動作に関する重要な洞察が不明瞭でした。この可視性の欠如は、エージェント開発者とMCPサービスプロバイダーの両方にとって大きな課題となります。
- エージェント開発者の場合:AIエージェントが特定のプロンプトに対して選択するツール、ツールの呼び出し順序、各ステップの所要時間を把握することは、多くの場合、手間のかかる手作業が必要でした。そのため、AIの意思決定と実行フロー内でのパフォーマンスのボトルネックやエラーの原因を特定することは非常に困難でした。
- MCPサービスプロバイダーの場合:MCPサービスの利用状況に関するインサイトの獲得、インフラストラクチャ内でのパフォーマンスのボトルネックの特定、ツールの有効性の把握は大きな課題でした。そのため、複雑なカスタムインストゥルメンテーションが必要になることが多く、運用上のオーバーヘッドが大幅に増加していました。
その結果、AIアプリケーションのパフォーマンスは断片的にしか把握できず、異なる監視ツール間を行き来するために「画面を切り替える」必要が生じ、開発者と運用チームの時間が大幅に浪費されていました。
ギャップの解消:New RelicのMCPインテグレーション
新しいMCPサポートは、MCPリクエストのライフサイクル全体にわたる詳細かつ実用的なインサイトを提供することで、これらの課題に直接対処します。このインテグレーションにより、開発者とサービスプロバイダーは以下のことが可能になります。
- MCPトレースの即時可視化:
- MCPリクエストの呼び出しライフサイクル全体を自動的に計装して監視します
- AIエージェントによって呼び出される特定のツール、その呼び出しシーケンス、実行時間を、わかりやすいウォーターフォール図で視覚化します
- AIエージェントがさまざまなサービスと対話する際の意思決定プロセスを把握します
- プロアクティブなMCP最適化の実現:
- 特定のプロンプトに対するエージェントツールの選択パターンを分析し、ツールの選択と有効性を評価します
- MCPインタラクションに関連するツールの使用パターン、レイテンシ、エラー率などの主要パフォーマンス指標(KPI)を追跡します
- MCPサービス内でパフォーマンスの低いツールや非効率的なエージェント戦略を特定し、最適化します
- インテリジェントなAIモニタリングコンテキストの提供:
- 重要なことは、MCPのパフォーマンスデータを、より広範なアプリケーションエコシステムと直接相関させることです。つまり、AIインタラクションと、バックエンドサービス、データベース、マイクロサービス、メッセージキューのパフォーマンスをシームレスに相関させます
- この総合的なビューにより、データサイロが排除され、エンドツーエンドの真のオブザーバビリティが実現されるため、チームはAIレイヤー、MCPサービス、従来のバックエンドコンポーネントのいずれであっても、問題の根本原因を迅速に特定できます
次のステップ
MCPサポートを含むNew Relic AIモニタリングは、Pythonエージェントバージョン10.13.0で利用できるようになりました。今後のリリースでは、追加の言語のサポートが予定されています。
追加情報については、newrelic.com/platform/ai-monitoringをご覧ください。
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