イベントからメトリクスへの変換を定義したルールに基づいて実行するevents-to-metrice serviceが公開されました。以前より要望をいただいていた機能でもあるので、この記事にてご紹介したいと思います。New Relicの扱うイベントとメトリクスについて詳細に知りたい方はぜひこちらのブログをご覧ください。
https://blog.newrelic.co.jp/story/metrics-events-logs-and-traces/
このブログにある、イベントとメトリクスの得意なところ、苦手なところを引用してみました。
イベントの得意なところ
- 個別のデータポイントが含まれる
- 様々な質問に答えられる
- 素早く計算できる
イベントの苦手なところ
- イベントデータの保有コストは高い
- イベントデータの収集と送信は帯域を圧迫する
- クエリに時間がかかる
メトリクスの得意なところ
- 保存するデータを少なくできる
- ロールアップ時間を短縮
メトリクスの苦手なところ
- 分析するデータを事前に決める必要がある
この両者の違いが今回リリースする新機能のポイントです。イベントは様々な角度で高速に分析できるため、より近い過去を詳細にもしくはアドホックに分析するのに向いています。このような利用はメトリクスでは難しいでしょう。しかし、データ量が嵩むため、このままデフォルトの保持期間を超えて長期保存しておくとNew Relicでは追加の契約が必要となります。そこで長期で保存するユースケースを考えてみましょう。おそらく遠い過去のデータは詳細にもしくはアドホックに分析することは少なく、あらかじめ決まった視点で傾向を分析することが多いとNew Relicは考えています。
そこで、イベントとして記録しておいたデータを一定のルールに基づいてメトリクスに変換して保存することで、保存に要するデータ量を削減しつつ、長期保存時のユースケースに利用できるようにしたのがevents-to-metrics service(E2M)です。
EventとEvents-to-metricsを比較しました。
考慮事項 | Events | Events-to-metrics |
どちらを選ぶ? | 枯れ草の山から針を探すように、 個別のトランザクションを調査して問題解決したい時 | あらかじめ定義したいくつかのKPIに対して、中長期的に傾向や異常を見つけたい時 |
柔軟性 | 高い: 詳細な粒度の分析が求められるような、未知の問題を含む調査を行えます | 低い: メトリクスを予め定義しておく必要があり粒度も限定的です |
ベストプラクティス |
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より多数のソースから発生するデータの長期的なデータ分析 |
データの粒度 | 数百万におよぶ高いカーディナリティ | 集約される (カーディナリティは2万以下) |
データの保持期間とコスト | データの保持期間・量に応じてコストがかかります |
|
Events-to-metricsは次の図のように動作します。
具体例を考えてみましょう。New Relic APM Agentで収集しているhttpResponseCode
と、customerSegment
という名前のカスタム属性を使ってフィルタリングおよびファセットし、APMアプリケーションの平均トランザクション時間をチャートにしたいとしましょう。APMのTransactionイベントを利用してtransaction.responseTime
というメトリックを作成すればよいので、Events-to-metricsで簡単に実行できます。
このようなEvents-to-metricsのルールを作成します。
SELECT summary(duration) FROM Transaction AS ‘transaction.reponseTime’ FACET httpResponseCode, customerSegment
その後、NRQLでこのようなクエリで問い合わせます。
FROM Metric SELECT average(transaction.responseTime) WHERE numeric(httpResponseCode) = 200 TIMESERIES
Events-to-metricsに向いているクエリは次のような種類のクエリです。
- 予め定義されて、よく使うクエリ
- データの集合に対する最低、最大、合計、件数、平均や割合の値
- 大量のデータに対する長期あるいはゆっくりと実行するクエリ
- 高々20程度の既知の属性に対して問い合わせを行うクエリ
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