Top takeaways
本記事は OSS の Envoy や otel-collector の技術を利用しますが New Relic ではそれらの技術的なサポートを受けることができません。こられの利用に関してはテクニカルサポートではなく担当のアカウントチームまでお問合せください。
Cloud Native なアプリケーションの L4/L7 Proxy として使われる機会の多い Envoy の Trace 情報を New Relic に転送する方法をご紹介致します。
今回は Envoy の opentelemetry サンプルを参考にしたリポジトリを用意しておりますので細かい設定や Envoy 自体の設定については公式ドキュメントを参考にしていただけたらと思います。
こちらが参考のリポジトリになります。
https://github.com/newrelickk/envoy-otel-example
事前設定
まず New Relic のアカウントをお持ちでない方は New Relic のアカウント作成を最初に実施していただく必要があります。
New Relic は月のデータ転送量(TDP)が100GBまででしたら1ユーザーまで基本的な全ての機能を無料でご利用いただけるようになっておりますので今回も無料の範囲でご利用頂けます。画面を操作しているとクレジットカード情報の入力を促すような挙動を何度かしますがそのまま登録せずにご利用ください。
また今回は Docker を使うため筆者は以下の環境で Docker Desktop for Mac を動作させています。
Envoy の設定
まずは Envoy の設定をおこないます。
今回 Envoy の設定は envoy-1.yaml,envoy-2.yaml,envoy-front-proxy.yaml の3つにそれぞれありますが全て同じように設定ができますので同じ設定をそのままご利用ください。
Envoy には tracing という設定を追加することで New Relic や Jaeger など外部にトレース情報をすることができます。今回は OpenTelemetry 形式で New Relic に対して転送をするのでその設定から始めます。
細かい設定は省略しますが custom.tags で service.name という tag を付与しています。これは New Relic でこの Envoy の情報を UI に表示する際に必要になっているのでこのように設定をしております。
次に転送先の cluster の設定を行います。
これで Envoy 側の設定は完了なので otel-collector 側の設定を行います。
OpenTelemetry Collector の設定
OpenTelemetry Collector (以降 otel-collector)は、テレメトリ・データの受信、処理、エクスポートの方法について、ベンダーにとらわれない実装を提供してくれます。オープンソースのバックエンド(Jaeger, Prometheus など)や New Relic のような商用サービスのバックエンドへの転送をサポートしているため、複数のエージェントやコレクタを実行、運用、保守する必要性をなくしてくれます。
今回は Envoy で生成した Tracing のデータを otel-collector へ転送して New Relic に送信します。
以下が config 全体になります。
詳細のそれぞれの設定に関しては otel-collector のドキュメントを参考にしていただくとわかりやすくなっております。今回は exporters 配下の設定に注目して endpoint と api-key の設定になります。
endpoint の設定についてですが New Relic のドキュメントに otlp endpoint の一覧が掲載されていますのでご自身のお使いの New Relic のリージョンと同じものをご利用ください。
https://docs.newrelic.com/docs/more-integrations/open-source-telemetry-integrations/opentelemetry/opentelemetry-setup/
api-key は License Key をご利用ください。
こちらから INGEST のものを選択してコピーしてご利用ください。
動かしてみる
では実際に docker compose を利用してサービスたちを立ち上げます。
docker compose up --build で正常に立ち上がったことを確認した場合、ターミナルで以下のリクエストを何度か試してみましょう。
リクエストが無事に通り少し待つと New Relic にデータが転送されますので New Relic を開いて確認してみましょう。
New Relic の左のサイドーバーにある APM&services を選択して OpenTelemetry を見てもらうと3つのサービスが登録されているかと思います。
envoy-front-proxy を選択してもらい Distributed tracing を選択してもらうと Trace が表示されておりクリック後に実際にリクエストの一覧が表示されます。その際に参考の画像は3つのサービスをまたがっていますが以下のようになっていれば成功です。
最後に
今回は Envoy のトレース情報のみを New Relic に転送する方法をご紹介しましたが実際には Web アプリケーションの前段として Envoy を置くケースが多いかと思います。その際に New Relic APM Agent や OpenTelemetry SDK などを使っていただくことでアプリケーション全体としての分散トレーシングが可能になり一つのリクエストの全貌が把握できるようになりますので是非合わせてお試しください。
本ブログに掲載されている見解は著者に所属するものであり、必ずしも New Relic 株式会社の公式見解であるわけではありません。また、本ブログには、外部サイトにアクセスするリンクが含まれる場合があります。それらリンク先の内容について、New Relic がいかなる保証も提供することはありません。