カプコン、New Relic導入により、数十のゲームタイトル群を支える共通基盤の安定稼働を実現
システムの包括的なパフォーマンス可視化により、課題への対応・改善の迅速化と効率化を実現 開発から本番運用まで、New Relicで「TiDB」の監視・可視化を一元化
デジタルビジネスにオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームを提供するNew Relic株式会社(本社:東京都中央区、以下「New Relic」)は、株式会社カプコン(本社:大阪市中央区、以下「カプコン」)が、ゲームタイトルを支える「カプコン共通基盤」に、オブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を導入し、システムのパフォーマンス可視化と運用の効率化を実現したことを発表します。

導入の背景と経緯
カプコンは、1983年の創業以来、ゲームエンターテインメント分野において数多くのヒット商品を創出するリーディングカンパニーです。代表作として、「バイオハザード」、「モンスターハンター」、「ストリートファイター」、「ロックマン」、「デビル メイ クライ」などのシリーズタイトルを保有しています。オリジナルタイトルを家庭用ゲーム機や映画、舞台、アニメ、キャラクターグッズなど、さまざまなメディアやジャンルに多面展開する「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略を推進し、成長・発展を続けています。
カプコンでは、各ゲームタイトルが共通して使う機能を1つにまとめたバックエンドシステム「カプコン共通基盤」(以下、共通基盤)を開発し、2020年夏から運用しています。共通基盤は、「アカウント管理」「(ゲーム利用者の)プロフィール管理」「同意規約管理」「ゲーム内通貨・DLC管理」「ID会員情報管理」の5つのシステムで構成され、複数のプラットフォームに展開されているゲームタイトルに対して、クロスプラットフォーム対応の共通機能やデータを管理・提供しています。複数のゲームタイトルが利用しており、不具合が発生した場合の影響範囲が広いことから、24時間365日の安定稼働は不可欠です。
共通基盤を安定して動作させるうえでは、インフラの状態をとらえるだけではなく、APM(Application Performance Monitoring)を活用することで、アプリケーションやミドルウェア、データベースなどの状態も併せて可視化し、異常を速やかに検知できるようにする必要があります。カプコンは、その実現に有効なアプローチとして、システム全体の状況を包括的に可視化できるオブザーバビリティプラットフォームの導入を決定しました。共通基盤は、共通基盤のエンジニアが利用する『開発・負荷試験』用の環境と、ゲームタイトル側に提供する『開発から本番運用』のための環境に分かれていますが、このうち共通基盤のエンジニア向け環境では、オブザーバビリティが負荷試験環境のみに導入されており、性能評価や課題の洗い出しに活用されています。一方で、ゲームタイトル向けのシステムは、幅広く利用されているため、課題によっては影響範囲が広がる可能性があります。そのため、開発から本番運用までの各フェーズでオブザーバビリティを活用し、迅速な異常検知と対応可能な体制が構築されています。
New Relicの導入と効果
カプコンは、共通基盤のプロジェクトが始動した2020年4月からNew Relicの検証をスタートし、同年7月に正式採用しました。複数あるツールの中でも、New Relicはユーザー数に基づく明確な料金体系のため、コストの見積もりが立てやすいことが評価されました。また、メトリクスとトレース、ログ、イベントといった多様なデータを収集、可視化する機能が、単一のプラットフォームにすべて統合されており、各機能を導入するのが容易である点に加えて、New Relic日本法人による手厚いサポート体制も、導入の決め手の1つとなりました。
New Relic導入後、以下のような効果が現れています。
システムの包括的な可視化によって対応や改善の迅速化・効率化が実現
New RelicのAPMやログ、アラート機能を活用することで、開発から本番運用までの各フェーズにおいて、システム全体のパフォーマンスの包括的な可視化を実現しました。特に、New Relic APMの「External Services」は、共通基盤と連携する外部サービスのパフォーマンスを明確に把握できる有用な機能であり、課題の早期特定と対応を迅速に行えるようになりました。また、アラート機能は、社内で使用しているチャットツールと連携しており、関係者が状況を即座に把握できる体制を整えています。これらの取り組みにより、障害対応時間の平均1時間の短縮に貢献しています。(カプコンの社内運用実績に基づく推測値)。
開発から本番運用まで、「TiDB」の監視・可視化の一元化をNew Relicで実現
2024年9月にカプコンは、共通基盤における「アカウント管理」と「プロフィール管理」のデータベースを「TiDB」に切り替えました。TiDBは、PingCAP社が提供している分散型のNewSQLデータベースで、「MySQL」との互換性を有するほか、性能拡張・縮小が自動化でき、メンテナンス作業もシステムを止めることなく行える特長を備えています。カプコンは、TiDBのライト版「TiDB Cloud Starter」を開発・QAなどの小規模なワークロード用に、エンタープライズ版「TiDB Cloud Dedicated」を負荷試験・ステージング・本番用に使い分けています。TiDB Cloud DedicatedはNew Relicとの連携機能があり、リソース使用状況やクエリ情報を簡単に可視化できます。一方、TiDB Cloud Starterはフルマネージドで利用者に運用の意識をさせないコンセプトになっており、最小限の監視機能のみが利用可能で、New Relicとの連携機能は実装されておらず、ダッシュボード上での可視化が困難となっていました。この課題に対し、カプコンではNew Relic APM内に蓄積されるデータベースクエリのメトリクスを活用することで、TiDB Cloud StarterについてもNew Relicによる監視・可視化が実現されています。これにより、開発から本番運用まで一貫したオブザーバビリティが確立され、課題の早期特定と迅速な対応が可能となっています。
TiDBをはじめとする新技術導入時の性能評価と円滑なリプレースをNew Relicで支援
カプコンでは、新技術の採用時における性能評価(負荷試験など)にもNew Relicが活用されています。TiDBの導入に際しても、試験段階からNew Relicを活用することで、課題の早期発見やアプリケーションの性能確認・評価が実施できました。また、APMベースの監視設定は従来のデータベースにも適用可能であり、事前に設定しておくことで、TiDBへのリプレース当日の作業負荷を軽減し、スムーズな切り替えが行われました。
ダッシュボードの統一化と情報共有で、運用効率の向上とコストを最適化
従来はログの収集と分析の仕組みに複数のツールが活用されていましたが、今回の導入によってNew Relic Logsへとリプレースしてダッシュボードを統一化することで、運用・コストの最適化が実現されました。また、ダッシュボードを通じた情報共有により、関係者が共通基盤の状況を的確に把握できるようになり、相互の意思疎通が円滑に進むことで、データに基づいた意思決定が加速し、運用効率が高いレベルで維持されています。さらにNew Relicの活用として「監視設定のTerraform化」を導入しており、設定ミスの回避や各環境への展開の効率化が実現されています。
カプコンでは今後、共通基盤を活用するゲームタイトルのさらなる拡充を推進するとともに、メトリクスの拡充や監視体制の強化、ゲームタイトルごとの共通基盤の利用状況の可視化、そして運用の自動化に向けた取り組みなどが計画されています。その一環として、New RelicのAI機能の活用も検討されており、ログ分析を通じて対応不要な事象を自動的に除外することで、エンジニアの運用負荷の軽減につなげていきたいとの考えです。さらに、New Relicを活用したクラウドコストの一元化された可視化も視野に、2025年6月にNew Relicが発表したクラウドコスト管理ソリューション「Cloud Cost Intelligence」の導入も検討されています。
株式会社カプコン CS制作統括 CSシステム開発部 福井 勝貴氏 コメント
「私たちは、共通基盤の開発・運用を通じて、タイトル開発者がクリエイティブなものづくりに専念できることを目指しています。New Relicの活用によって、共通基盤というバックエンドシステムの安定性を高めるという目的は、相応のレベルまで果たせたと見ています。今後はクラウドコストを一元的に可視化し、共通基盤の開発・運用のさらなる効率化・最適化を図っていきたいと考えています」
■ 「カプコン」New Relicご採用事例の詳細は以下をご参照ください。
https://newrelic.com/jp/customers/capcom-cs
■ その他のお客様によるNew Relic採用事例は以下からご覧いただけます。
https://newrelic.com/jp/customers
■ New Relicのファクトシートやロゴ等は、以下からご確認いただけます。
https://newrelic.com/jp/about/media-assets
■New Relicについて
2008年に創業したNew Relic は、業界におけるリーダーとして、デジタルビジネスのあらゆる重要指標を観測可能にする「オブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム」を提供しています。デジタルビジネスを構成するアプリケーションやインフラストラクチャだけでなく、ユーザー側の顧客体験状況までをも観測可能にするため、企業はデジタルサービスの障害検知、顧客体験の低下検知、潜在的な問題やボトルネックを早期特定し解決するDevOps チームを生み出します。これにより、企業は取り組むべきデジタル変革を、計測可能な戦略へと変化させることができます。New Relicの全世界顧客数は16,000以上、Fortune 100企業の過半数で採用されており、日本でも数百社を超えるお客様のデジタル変革を支援しています。New Relicが支持されている理由は、newrelic.com/jpをご覧ください。
※New Relic は、New Relic, Inc.の登録商標です。
※本文書内の製品名および会社名は全て、それらの登録名義人の商標である場合があります。
【このプレスリリースに関するお問合せ先】
New Relic株式会社 マーケティング部 広報担当:佐藤
Email: japan_pr@newrelic.com
共同ピーアール株式会社(New Relic株式会社 広報代行)
E-mail: newrelic-pr@kyodo-pr.co.jp
担当/TEL:児玉(070-4303-7256)、干場(070-4303-7261)、田村(070-4303-7254)、本田(070-4303-7350)
New Relicについて
アプリケーションパフォーマンス監視(APM)が発案されて以来、New Relicは最先端のプラットフォームとしてオブザーバビリティの最前線に立っており、デジタル体験の中断を解消します。adidas Runtastic、米国赤十字社、Domino’s、GoTo Group、Ryanair、Topgolf、William Hillといった世界中の企業がNew Relicを利用して、より優れたデジタル体験を創造し、収益を最適化し、イノベーションをリードしています。 www.newrelic.com.