はじめに
今年に入ってから、システム監視のコスト比較に関するご要望が多く寄せられています。前回の分析では、New Relic One の価格体系がログ管理やインフラ監視という単位でみた場合にどれほどコスト差が生まれるのかを試算しました。
今回はシステムのフロントエンドからバックエンドまで全てのシステムを実現しようとした場合、エンジニアチームの規模や技術スタックの形態によってどのようなコスト差があるのかを3パターンで試算してみました。実際に調べてみたところ、私たちの分析では New Relic は Datadog が提供するツールより5倍以上の金額に見合った価値を提供できていることがわかりました。それでは早速具体的にみていきましょう。
全ての試算は以下の出典を前提条件としています。
1 上記価格は全て米ドルです。さらなる詳細およびその計算の前提条件についてはリンク先のスプレッドシートをご覧ください。価格は、プロモーション価格を含めて変更されることがあります。これらの表の比較値の計算は、このシナリオでのコスト削減で購入できると考えられる追加のNew Relicユーザーとデータに基づきます。
2 https://www.datadoghq.com/pricingで公開されている価格に基づきます(2021年12月8日時点)。
小規模のエンジニアチームでのコスト比較
25人のエンジニアを擁する仮想の小規模チームで月次コストの比較を示します。この例ではフルスタックでシステムを監視することを想定して、以下の対象をコスト試算に加えています。
- APM の対象になるホスト数
- インフラ監視の対象になるホスト数
- ログの取り込み量と保存
- 外形監視実行回数
- ネットワークホストとフロー
- サーバーレス
New Relic | Datadog2 | ||
---|---|---|---|
APMとインフラ 20のAPMホスト、50のインフラホスト、10のプロファイル済ホスト、50のプロファイル済コンテナホスト、50Mのインデックス済スパン、75Kのカスタムメトリック、750Kのコンテナ時間 |
New Relic-- | Datadog26,303ドル | |
ログ 2,500GBのログ取り込み、1.56Bのインデックス済ログイベント(保持期間30日) |
New Relic-- | Datadog24,150ドル | |
DEM 7,500のシンセティックAPIテストの実行、1,500のシンセティックブラウザテストの実行、および35KのRUMセッション |
New Relic-- | Datadog238ドル | |
NPM 25のネットワークホストと65Mのネットワークフロー |
New Relic-- | Datadog2125ドル | |
サーバーレス 50Mのサーバーレス機能 |
New Relic-- | Datadog2250ドル | |
データ取り込み (APM、インフラ、ログ、DEM、NPM、およびサーバーレス) |
New Relic1,076ドル | Datadog2-- | |
ユーザー 5の基本ユーザー、15のコアユーザー、および5のフルプラットフォームユーザー |
New Relic1,131ドル | Datadog2-- | |
合計 | New Relic2,207ドル | Datadog210,866ドル | |
New Relicで5倍以上の金額に見合った価値(VFM)を実現 |
端的にいえば、上述のようなシステム全域に渡って観測を可能にした場合、価格差でいくと5倍以上の開きが生まれることがわかります。Datadog の主なコスト構造は、細かく課金される項目が分散していますが、大きくはホスト数とログに依存しています。Datadog のコスト構造は監視対象にするホスト数と、細かなサービス実行回数に対する課金が加えられているとわかりますね。
一方でNew Relic One の課金項目は「データ取り込み量」と「ユーザー数」だけになっています。ここで少し New Relic One におけるユーザーの表記について解説します。New Relic One ではユーザーのタイプによって利用できる機能が異なっています。この試算では 25 人のエンジニアチームの中で3タイプでの利用を想定しました。New Relic One のユーザータイプ別についてはこちらでも確認できます。
- New Relic One の全機能を利用できるユーザー「フルプラットフォームユーザー ($99 から)」を5人
- 保守開発などエラーやデバッグ対応向けの「コアユーザー ($49から)」を15人
- それ以外の5名はダッシュボードやアラートを設計できる「ベーシックユーザー (無料かつ無制限)」として5人
エンジニアチーム全員が全てのデータにアクセスできることが理想的ですが、組織のロールによっては、例えばサービス全体の信頼性を把握する必要がある横断型の SRE であればフルプラットフォームユーザーが適切ですし、保守開発に関わるだけの開発者であれば、エラーやそこに紐づくログだけを確認するためコアユーザーを利用することを想定しています。このユーザータイプのうちどれをどのように採用するのかは組織の考え方によって異なります。例えば「開発者が運用まで関わるべき」と考えているフルサイクルエンジニアを擁する組織では、開発者も運用チームもフルプラットフォームユーザーを採用しますし、保守開発の運用モデルが確立しておりデバッグやエラーだけ対応するチームがある場合にはコアユーザーをフルユーザーに追加する形で採用することもあります。New Relic はその組織のエンジニア戦略に基づいてコスト構造を決定できることがわかります。
こうした比率で60人規模、150人規模の組織に解釈を拡大して試算しても、依然として New Relic One がコスト面では1/3以下に収まる試算をすることができます。
中規模エンジニアリングチームでのコスト比較
技術革新の推進は、多くのビジネスの成長と拡大における優先課題です。以下に、65人のエンジニアを擁する仮想の中規模チームのフルスタックオブザーバビリティ(Full-Stack Observability)コストの比較を示します。この例では、スタックは125のAPMホスト、200のインフラホスト、および10K GBのログ取り込みで構成されます。
New Relic | Datadog2 | ||
---|---|---|---|
APMとインフラ 125のAPMホスト、200のインフラホスト、40のプロファイル済ホスト、100のプロファイル済コンテナホスト、500Mのインデックス済スパン、250Kのカスタムメトリック、1.5Mのコンテナ時間 |
New Relic-- | Datadog221,965ドル | |
ログ 10K GBのログ取り込み、3Bのインデックス済ログイベント(保持期間30日) |
New Relic-- | Datadog28,500ドル | |
DEM 125KのシンセティックAPIテストの実行、5Kのシンセティックブラウザテストの実行、および125KのRUMセッション |
New Relic-- | Datadog2123ドル | |
NPM 75のネットワークホストと250Mのネットワークフロー |
New Relic-- | Datadog2685ドル | |
サーバーレス 150Mのサーバーレス機能 |
New Relic-- | Datadog2750ドル | |
データ取り込み (APM、インフラ、ログ、DEM、NPM、およびサーバーレス) |
New Relic4,777ドル | Datadog2-- | |
ユーザー 13の基本ユーザー、39のコアユーザー、および13のフルプラットフォームユーザー |
New Relic6,448ドル | Datadog2-- | |
合計 | New Relic11,225ドル | Datadog232,022ドル | |
New Relicで3倍以上の金額に見合った価値(VFM)を実現 |
大規模エンジニアリングチームでのコスト比較
ビジネスが継続的に拡大するにつれて、デジタルトランスフォーメーションはますます重要になります。以下に、150人のエンジニアを擁する仮想の大規模チームのフルスタックオブザーバビリティ(Full-Stack Observability)コストの比較を示します。この例では、スタックは225のAPMホスト、350のインフラホスト、および20K GBのログ取り込みで構成されます。
New Relic | Datadog2 | ||
---|---|---|---|
APMとインフラ 225のAPMホスト、350のインフラホスト、65のプロファイル済ホスト、150のプロファイル済コンテナホスト、2Bのインデックス済スパン、750Kのカスタムメトリック、2.5Mのコンテナ時間 |
New Relic-- | Datadog255,870ドル | |
ログ 20K GBのログ取り込み、4.5Bのインデックス済ログイベント(保持期間30日) |
New Relic-- | Datadog213,250ドル | |
DEM 275KのシンセティックAPIテストの実行、15Kのシンセティックブラウザテストの実行、および300KのRUMセッション |
New Relic-- | Datadog2329ドル | |
NPM 125のネットワークホストと750Mのネットワークフロー |
New Relic-- | Datadog2-- | |
サーバーレス 275Mのサーバーレス機能 |
New Relic-- | Datadog21,316ドル | |
データ取り込み (APM、インフラ、ログ、DEM、NPM、およびサーバーレス) |
New Relic9,052ドル | Datadog2-- | |
ユーザー 30の基本ユーザー、90のコアユーザー、および30のフルプラットフォームユーザー |
New Relic14,880ドル | Datadog2-- | |
合計 | New Relic23,932ドル | Datadog272,139ドル | |
New Relicで3倍以上の金額に見合った価値(VFM)を実現 |
組織に合わせた価格設定で価値を高める
コストが安いことが必ずしもいいことではありませんし、お客様のビジネスモデルに応じた適切な価格設計も多様に存在します。しかし少ない人数でスケールするサービスを生み出すチームや、ベロシティが高く試行錯誤などが高頻度で実行される組織においては、システムやデータの量に応じて価格が上下する構造は、利益のない状態でも追加コストが要求されるため、イノベーションに対してプラスには働かないでしょう。
今後のビジネス拡大や同じ条件であれば、よりシステム監視に関するコスト効率を高められる手段があるかもしれません。ぜひ一度価格比較をご検討のお客様はこちらまでお問い合わせください。
Source: https://newrelic.com/blog/nerdlog/cost-comparison-new-relic-vs-datadog-vs-dynatrace
最近、New Relic にはシステム監視のコスト比較に関するご要望が多く寄せられています。 そこで New Relic では、ご興味を持っていただける皆様に「New Relic One の価格構造」を理解いただける情報と、実際に他のツールベンダーのコスト構造と比較してどのようなコスト差が出るのかを試算分析しました。
New Relic では、個別の機能ごとではなく、収集するデータ量とユーザ数の2項目のシンプルな課金体系で、バックエンドからフロントエンドまで全てを監視できる価格構造を採用しています。これにより、システム全体のオブザーバビリティが実現します。
このホワイトペーパーでは、ユーザー数の観点から、全てのシステムの監視を行う場合にエンジニアチームの規模や技術スタックの形態によってどのようなコスト差があるのかを3パターンで試算し、以下についてまとめています。
- New Relic Oneの価格構造とそのメリット
- 小規模、中規模、大規模チームにおいて、Datadogとの月額コスト比較
ログ管理、インフラ監視の観点から他社監視ツールとコスト比較をした結果は、こちらをご覧ください。