企業の一般的なポートフォリオには、約1,000(主にモノリシック)のアプリケーション が含まれている―このように述べたのは、AWS Migration 、Marketplace、Control Services を担当する Amazon Web Services (AWS)の Dave McCann氏です。彼は、昨年のFutureStack19でオーディエンスにこの点を伝え、カスタム開発および既成ソフトウェアの組み合わせが含まれる点についても明確に言及しました。企業の中には、ポートフォリオに11,000のアプリケーションを抱えたケースもあったと言います。
さらに驚くべきは、こうしたアプリケーションの最大80%が、じきにクラウドに移行される点でした。概算したところ、McCann氏はAWSの最も規模の大きい1万の顧客だけでも、500万~600万のアプリケーションがクラウドに移行するものと予測しました。
何百万ものアプリ、そして何百万ものモダナイズの選択肢
この過程で、こうした企業は、コードまたはアーキテクチャーの変更の有無から、パフォーマンスを改善させる機会の優先順位付けに至るまで、各アプリケーションをモダナイズするための最善のアプローチに関して何百万もの選択を下す必要があります。仮に、お客様の組織が何百、何千というアプリケーションを管理している場合でも、こうした選択は途方もない作業に思えるかもしれません。
今回の記事では、正にこうした点について書いています。New Relicが、顧客とパートナーのアプリケーションのモダナイズジャーニーを支援して得た知見をまとめました。これは、モダナイズに関するミニプレイブックだと捉えてください。モダナイズジャーニーをマッピングし、その過程で適切な選択を行うための6つのステップを解説しています。
ステップ 1:モダナイズが非常に重要である理由を理解する
当社のebook アプリケーションの継続的なモダナイズに向けたエンタープライズガイドでは、レガシーアプリケーションをAWS にリフト&シフトすることで、クラウドの優れた弾力性、回復力、デプロイメントおよび管理の容易さ、そして柔軟性を活用できる能力が制限されやすい点について言及しています。クラウドの完全なポテンシャルを発揮するには、「モダナイズに向けたマインドセット」が求められます。それはつまり、クラウドが自社ビジネスにもたらす恩恵を完全に評価するとともに、アプリケーションおよび組織を変革して「リフト&シフト」から移行し、恩恵を確実に獲得するコミットメントです。
AWSにアプリケーションを移行してモダナイズを果たすことで、技術的負債が減り、ビジネスにとっての各アプリケーションの価値およびパフォーマンスが向上し、組織内のDevOpsへの移行をサポートできます。
ステップ 2:モダナイズの選択肢を理解する
ebookで詳しく解説しているように、アプリケーションポートフォリオをクラウドに移行する際は、6つのオプションから選ぶことができます(モダナイズが関わるのは3つのみ):
- リタイア:これは、アプリケーションがビジネスに価値を提供しなくなった場合に選びます。
- リテイン: ビジネスにとっての価値が低くモダナイズに値しないため、アプリケーションとインフラストラクチャを同じままに保ちます。
- 再購入: 現行の差別化されていないアプリケーションを新しい既成品に置き換えます。
- リホスト: アプリケーションをモダンなクラウドインフラストラクチャに移行して、コストまたはパフォーマンスの改善など、適度なメリットを獲得します。詳しくは、当社のホワイトペーパー AWSによるモダナイズ:リホストのパートで紹介しています。
- リプラットフォーム: アプリケーションの一部または全体を新しいプラットフォームに移行するか、既存コンポーネントをAWS上のマネージドサービスとスワップアウトして、追加的メリットを生み出します。詳しくは、当社のホワイトペーパー AWS によるモダナイズ:リプラットフォームで紹介しています。
- リファクター: アプリケーションのコードおよび/またはアーキテクチャーの著しい修正を実施して、新しいテクノロジーを活用するか、新しいビジネスチャンスまたは要件を満たします。詳しくは、当社のホワイトペーパー AWS によるモダナイズ:リファクタリングで紹介しています。
New Relic のアプリケーションの継続的なモダン化に向けたエンタープライズガイドを参考に、クラウドマイグレーションイニシアティブを実施する上でのオプションを評価
なお、モダナイズ戦略は反復的でなくてはいけない点に留意しましょう。まずは基本的なアプローチから始め、初期のメリットを獲得します。その後、追加的メリットを提供する、さらに先進的なモダン化戦略を積極的に採用しながら、このプロセスを繰り返します。それぞれのモダナイズサイクルは測定可能であるほか、お客様の会社のデジタルトランスフォーメーションを通じて、文化、プロセス、IT面の変更をサポートできなくてはいけません。
ステップ 3:意思決定のベースとなる情報を収集する
このステップでは、各アプリケーションとその相互依存性を明確に理解することが目標となります。たとえば、ベースラインの測定値を把握することで、現行環境における各アプリケーションのパフォーマンスを理解できます。モダナイズのロードマップを作成するにあたっては、この知識がベースとなり、より多くの情報に基づく意思決定を下せるようになります。これは、アプリケーションの現在の機能ならびにモダナイズが改善できるかを把握するにあたって、当て推量、逸話、「直感」を頼りにするよりもはるかに効果的なアプローチとなります。
アプリケーションのベースラインデータの収集方法については、以下のチュートリアルを参照してください。
- クラウド導入ガイド:アプリケーションベースラインの作成
- クラウドネイティブ環境の最適化:目標とベースラインの設定
ステップ 4:モダナイズの選択肢におけるトレードオフを検討する
一般的に、シンプルな選択肢(リホストなど)であればあるほど、より高度なアプローチ(リファクタリングなど)と比べてリスクも潜在的な利点も少なくなります。ただし、一つひとつのアプリケーションとビジネスシナリオには、リスクと恩恵の組み合わせが伴います。このため、アプローチを決めてモダン化する前に、各アプリケーションに伴うリスクを特定および評価することが極めて重要になります。たとえば、データベースなどのアプリケーションコンポーネントをモダナイズしながら、アプリケーションの残りの部分はそのままにしておくことが有用なケースもあります。
基本的には、それぞれのモダナイズアプローチに伴う時間、コスト、複雑性と、達成できる改善点や成果の潜在的価値(アジリティ、スケーラビリティ、信頼性、パフォーマンス、顧客体験の向上、コスト削減、管理努力の削減などを含む)を比較検討する必要があります。
ステップ 5: 実証済みのベストプラクティスに倣う
AWS Well-Architected Framework(WAF)に含まれる実証済みのベストプラクティスの導入は、アプリケーションのモダナイズイニシアティブのリスク最小化およびメリット最大化に大きな役目を果たします。WAFは、運用の卓越性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化を5つの柱としており、企業が自社のアプリケーション向けにセキュリティ、高性能、高回復力、および効率性を備えたクラウドインフラストラクチャを構築できるようサポートするために開発されたものです。当社のモダナイズシリーズの各ホワイトペーパーでも、特定のモダン化オプションに対するWAFの各柱の応用方法を示し、New Relicを使用してモダン化イニシアティブの影響を監視および測定する方法について解説しています。
New Relicを使用してWAFの5つの柱をインストルメンテーションする方法については、当社のebook 正しいクラウド利用:AWS Well-Architected FrameworkをNew Relicでインストルメンテーションで紹介しています。
ステップ 6:強固なDevOps文化でチームを成功に導く
DevOpsチームの存在、そしてこのチームをサポートして権限を与える文化は、あらゆるモダナイズのイニシアティブの成功を左右する要件となります。DevOpsは、スピードからアジリティ、そして回復力からスケーラビリティに至るまで、チームがモダンなアプリケーション開発を成功させるために必要なあらゆる主要な特徴を提供します。
しかし、DevOpsチームは現代のアプリケーション環境で高まる複雑性の一歩先を歩み続けるにあたって、しばしば困難に直面します。チームは、何百または何千にも及ぶ可動部に対処しなくてはならない場合が多く、その理解およびトラブルシューティングに努めている間も可動部は少しずつ増大および変化していくからです。
幸い、DevOpsチームの構築および維持に関しては実証済みのベストプラクティスを参照できるため、怒涛の変化に対処するためのマインドセット、戦略的ビジョン、そして協力的な文化をチームに提供できます。
当社のホワイトペーパー DevOpsの次なるフェーズに向けて準備するでは、モダンDevOpsの現状、複雑性がDevOpsチームに大きな困難をもたらす理由、そして組織が複雑性を切り抜け、モダンな開発手法で成功するために必要なアジリティを手にする方法について紹介しています。
モダン化への準備を始めましょう!
アプリケーションのモダン化には、必ず重要かつ潜在的リスクをはらんだ意思決定を伴うことになります。実証済みのベストプラクティスに基づくデータドリブンなアプローチにオブザーバビリティを利用することで、リスクを削減し、モダナイズイニシアティブの成果を最適化する上で大きな効果を発揮します。こうした理由から、New RelicはAWSと提携し、お客様の組織がクラウドジャーニーに向けてより多くの情報に基づく意思決定を下せるよう、当社のコミットメントを維持しています。
Companies embracing an AWS cloud strategy start with moving their applications to the cloud. But that’s just the beginning. Once applications are on AWS, companies continue to modernize and optimize their applications. Why? To realize the full cost, agility, and competitive advantage they are expecting.
Although modernization can seem daunting, New Relic can provide the framework and structure needed to guide you through the process. Download Ready, Set, Modernize! and learn how to:
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Start your modernization journey with confidence.