利用用途

個人向けオンライン資格取得講座「STUDYing」、法人向け社員教育クラウドサービス「AirCourse」の開発生産性とサービス品質の向上にNew Relic Oneを活用

New Relicの選定理由と成果

  • フロントエンドからバックエンドまでのアプリケーションプロセスの可視化
  • 特にフロントエンドでのエラーを追跡し原因を特定できること
  • ユーザー端末からサーバーサイドまでエンドツーエンドのオブザーバビリティ(可観測性)を実現
  • 問題検知、原因特定、解決までのリードタイムを大幅に短縮

 

学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す――KIYOラーニングが掲げるミッションは、「教育×テクノロジー」による学びの革新を通じて達成される。2010年に設立された同社は、オンライン資格講座/eラーニング事業で急成長を遂げ、2020年7月には東証マザーズ(現グロース市場)への上場を果たした。成長の原動力は、「忙しい合間を縫って効率的に学習したい」と考えるビジネスパーソンの支持である。システム統括部 部長/ゼネラルマネージャの佐藤美智明氏は次のように話す。

「KIYOラーニングのビジネスが成長し続ける背景には、『もっと学びたい』『自分の価値を高めたい』というすべての人が持つ根源的なニーズがあると考えています。私たちは、個人向けオンライン資格取得講座『STUDYing(スタディング)』、法人向け社員教育クラウドサービス『AirCourse(エアコース)』の提供を通じて、ビジネスパーソンと企業の成長を支援しています」

STUDYingでは、中小企業診断士、宅建士、フィナンシャルプランナーなど30を超える多様な講座を提供している。特に難関資格に強みを持ち、創業者である綾部貴淑氏(KIYOラーニング 代表取締役社長)が自らの経験をもとに構築したユニークな「学習メソッド」をベースに、短期間で資格取得に結びつけるコンテンツ群は受講者からの評価が高い。AirCourseでは、500以上の動画コンテンツを利用でき、その内容も、階層別研修やコンプライアンス、人事労務、MBAコースなど多岐にわたり、学習管理システム(LMS)として優れた機能を備え、大手企業への導入を着実に伸ばしている。

「私たちは、世界で最も『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習システムの実現を目指し、独自の学習用動画コンテンツを充実させ、資格やコースのラインナップ拡充と品質向上を図ってきました。忙しいビジネスパーソンが、PC、スマートフォン、タブレットから、スキマ時間を使って効率良く学習できるように、またできるだけ使いやすいように様々な工夫を組み込み、受講者の声を採り入れながら機能を進化させています。私たちの仕事は、いわば、テクノロジーで学習を変えるチャレンジです」(佐藤氏)

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テクノロジーで「学習」を変えるチャレンジ

KIYOラーニングは、2015年からの6年間で売上を27倍に拡大させ、2021年12月期では、前年同期比48%の成長を達成している。急成長を支えるサービス基盤はAWS上に構築されている。

「2017年にSTUDYingのサービス基盤をAWS上に移行しました。Amazon EC2とAmazon Auroraを中心に、AWSのマネージドサービスを組み合わせて独自のWebアプリケーションを構築しています。自製の動画配信システムでは、ビデオトランスコードにAmazon Elastic Transcoderを使用し、動画配信を高速化・安定化させるためにAmazon CloudFront(CDN)を採用しています」と佐藤氏は話す。

AWSへの移行後、バックエンドシステムは極めて安定し、佐藤氏を中心とするエンジニアチームは付加価値の高いサービスの開発・実装に注力できるようになったという。

「STUDYingでは、受講者が自由に使える『SNSサービス勉強仲間機能』を2018年から提供しており、受講者同士のコミュニケーションを通じてモチベーションを高められると好評をいただいています。また、受講履歴など膨大な学習データから、AI(機械学習)を活用する取り組みに力をいれています。例えば受講者の実力をAIがスコアリング&可視化し、最適な学習プランを自動作成する機能を2021年にリリースしました」(佐藤氏)

機能の拡充とともにシステムが成長していく過程で、佐藤氏は「システム全体を可視化したい、フロントエンドからバックエンドまでのアプリケーションプロセスを一貫して見通したい」という気持ちが高まっていったという。

「2022年1月にNew Relic Oneを導入しました。直接のきっかけは、ユーザー端末でのJavaScriptエラー発生時に、エラー内容や発生場所、原因の追跡が困難だったことです。こうしたブラックボックスの解消が、オブザーバビリティ(可観測性)ツールへの大きな期待でした」(佐藤氏)

フロントエンドでのエラーを詳細に追跡

New Relic Oneは業界を代表するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。

「フロントエンドでのエラーの追跡、機能リリース後の不具合検知、ユーザー体験に影響のある問題の予兆検知――この3つが可能で、それぞれの原因特定と問題解決を迅速化できることが、オブザーバビリティ(可観測性)ツールの選定時に重視したポイントです。New Relic Oneは機能面では申し分なく、コストやサポート体制を含めた評価で他を大きく上回りました」と佐藤氏は話す。

フロントエンドでのエラー追跡にはNew Relic OneのBrowser、リリース後の不具合にはAPMのDeployment Marker、予兆検知にはAIOPsにそれぞれ期待したという。

「New Relic Oneを活用することで、ユーザー体験に直接的に影響するフロントエンドでのエラーをいち早く検知し、その原因がデバイスなのか、受講者の操作によるものなのか、通信あるいはバックエンドのサーバーやアプリケーションコードなのかを、即座に特定できる体制を整えられると考えました」(佐藤氏)

New Relic OneのAPMは、Webアプリケーションのレスポンスタイム、スループット、エラー率、トランザクションなどを可視化するとともに、ユーザー体験に影響するコードやコード間の依存関係をリアルタイムで特定できる。

「APMはスタックトレースを詳細に見ることができますので、迅速な問題解決に大きな威力を発揮します。実際に、原因の特定から解決までに数時間を要していた事象を、数分レベルに短縮することができました。また、フロントからバックエンドまでの通信をひとつのプロセスとして見通せるため、ユーザー体験に影響するような問題の予兆検知にも威力を発揮します」(佐藤氏)

合格者の急増が受講者のLTVを高める

KIYOラーニングの開発チームはおよそ20名。全員がフルスタックエンジニアだ。New Relic Oneの導入からまだ数か月だが、佐藤氏は確かな手応えを感じているという。

「STUDYingとAirCourseそれぞれのリードエンジニアを中心に、New Relic Oneの活用を進めています。見えなかったものが見えるようになったことは大きな変化ですが、私たちの開発・運用・保守のフローをより高効率にしていくことこそが重要です。アプリケーション開発の品質とスピードを高めるために、New Relic Oneをステージング環境にも適用しました。リリース直後に不具合が発生したときにはDeployment Markerで速やかに原因を特定し解決します」

デバイスやシステムでいま何が起こっているのか、必要なアクションは何か――それが直感的にわかるNew Relic Oneのダッシュボードの開発も進む。開発チーム内だけでなく運用チームとも効果的に情報を共有することで、DevOpsへの取り組みも加速する。

「STUDYingでは、資格試験の合格者がどんどん増えており、それが新しい受講者を呼び、リピーターを増大させてライフタイムバリュー(LTV)の向上に結びつきます。ビジネス目標の達成に向けて、New Relic Oneの活用をいっそう高度化させていく考えです。New Relic Oneが収集するメトリクスと、ビジネス部門が用いる指標を統合的に評価できるダッシュボードを設計し、戦略的な情報活用を推進していきます」と佐藤氏は力を込める。

KIYOラーニングでは、中期経営計画において、2020~23年度までの3年間で事業規模を3倍にするという挑戦的な目標を掲げている。佐藤氏は次のように結んだ。

「価値の高いコンテンツと優れたシステム使用体験の追求は、私たちのビジネスを成長させるための両輪です。その推進基盤としてNew Relic Oneを活用していきます。New Relic One採用の決め手のひとつに、充実した技術サポートへの信頼感がありました。オンボーディングは順調に進んでいますが、より高度な機能の活用、戦略的かつ組織的な活用を推進するために、適切なアドバイスが必要なシーンも増えてくるでしょう。New Relicには、高品質な技術サポートと高度な製品機能を容易に使いこなせるような進化を期待しています」

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