
田中 孝佳
New Relic 株式会社 テクニカルサポート部 部長
ソフトウェアエンジニア、インフラエンジニアなど自社開発や自社運用の現場で経験を積んだのち外資系ソフトウェアベンダーでのテクニカルサポートを経て現職。New Relicユーザーだった経験あり。コミュニティでの登壇活動も多く、Microsoft MVPを13年連続受賞中、現在の受賞分野はDeveloper Technologies(.NET)。得意分野はC#をはじめとするソフトウェア開発、Kubernetes関連技術およびパブリッククラウド。
―― 田中さんはコミュニティでの講演も多く、キャリアについては周知の事実のような感じもありますが、改めてこれまでのキャリアについてお聞かせいただけますか?
社会人としてのキャリアは、ソフトウェアプログラマー、いわゆる開発エンジニアから始まりました。しかし、一般的なソフトウェア製品開発とは異なり、主に新製品の調査を目的とした研究開発や、社内エンジニア向けの教育やツール開発など、世に広く公開されないものの開発に携わっていました。
その後、ソーシャルゲーム会社へ移り、現在でいうSRE(Site Reliability Engineering)のような立場でIaC(Infrastructure as Code)による自動化を推進したり、ユーザーとしてNew Relicを活用したりと、開発から運用、SREまで幅広く経験を積みました。現在は、それらの経験を活かしてサポートエンジニアとして業務に取り組んでいます。
―― 現在のテクニカルサポートエンジニアには、どのようなきっかけで転身されたのですか?
今ではこの仕事に楽しさとやりがいを感じていますが、当初から「テクニカルサポートがやりたい」という強い意志で転身したわけではありません。もともと私は、Windows環境でのC#や.NETを得意としており、最も好きな言語でした。そんな中、得意分野を活かせる機会として「Linux上で.NET環境をサポートできるエンジニアを探している」という話を耳にしたのが、この道に進むきっかけです。
―― 開発、運用、そしてSREなど幅広い業務をご経験された経験を踏まえて、テクニカルサポートの面白みはどのように感じていますか?
テクニカルサポートの面白みは、大きく分けて3つあると感じています。
一つ目は、担当製品と関連技術において、業界トップレベルのプロフェッショナルを目指せる点です。
ここ10年でシステム管理の常識を塗り替えてきたオブザーバビリティという最先端技術に携わり、その専門家になれることは、エンジニアとして何物にも代えがたい喜びと誇りにつながります。
二つ目は、お客様の課題をダイレクトに解決できる手応えです。
開発エンジニア時代は、自分が作ったアプリケーションを通して社会に貢献していましたが、成果への貢献がやや間接的だと感じることもありました。一方、テクニカルサポートは、自分が磨いた技術と知識を直接発揮し、目の前で困っているお客様を助けることができます。ものづくりとは違う形で、確かなやりがいを感じられますね。
三つ目は、自律的に仕事を進められる点です。
一般的なエンジニアリング業務は、チームで一つの仕事を完遂しますが、テクニカルサポートは案件ごとにお客様と一対一で向き合うのが基本です。一つひとつの業務を主体的に完了させていくこのスタイルは、リモートワークにも非常に適しています。もちろん個人の志向にもよりますが、私にはこの働き方が合っていると感じています。

―― マネージャーの立場として、どのようなチームを目指していますか?
私自身、マネージャーになる前は長らく現場の担当エンジニアでしたので、テクニカルサポートにとって「働きやすい環境」がどのようなものかを実体験として理解しています。その経験を活かし、働きやすさを構成する要素を一つひとつ形にしてメンバーに提供することが、現場出身のマネージャーとしての私の役割です。
外資系企業では、マネージャーが海外在住であったり、テクニカルサポートの業務経験がなかったりして、日本の現場の声が届きにくいケースも少なくありません。その点、常に現場と共にあることは私たちの大きな強みだと考えています。定期的にチームで集まり、今後の方向性について顔を合わせて話し合うことで、課題を共有し、具体的な改善点を見出す場も大切にしています。
―― New Relicのテクニカルサポートの特長として感じられていることはありますか?
技術的な魅力については伊藤のインタビューに譲るとして、私が特に強調したいのは「日本法人内における連携のスムーズさ」です。
テクニカルサポートに寄せられるお問い合わせは多岐にわたります。中には、製品の仕様から一歩踏み込んだ、お客様固有の設計や環境に関連するご相談もあります。一般的にはサポート範囲外となるようなケースでも、私たちはお客様担当のソリューションコンサルタント(SC)やテクニカルアカウントマネージャー(TAM)と密に連携し、解決策を探ります。職種の垣根を越え、会社全体でお客様に向き合えるこの体制は、New Relicならではの強みです。

―― どんな方にテクニカルサポートというお仕事をお勧めされますか?
この仕事は、まず「学習意欲が高い方」に向いています。
テクニカルサポートとしてお客様から信頼を得るには、製品や関連技術に対する深い知識が不可欠です。テクノロジーはまさに日進月歩ですから、日々の進化を楽しみながら吸収していける探究心が求められます。その素養があれば、開発や運用といったバックグラウンドを持つエンジニアの方々も、大いに活躍できるはずです。
加えて、New Relicは自己裁量の大きいリモートワーク環境が整っているため、「自律的に働き、ワークライフバランスを大切にしたい方」にも最適な職場だと思います。
―― さいごに、New Relicを職場としてお考えの方にひと言お願いします。
キャリアの話でも触れましたが、私自身、もとからテクニカルサポートに興味があったわけではありません。正直なところ、これまでの経験から「自分には向いていない仕事だ」とさえ思っていました。しかし、縁あってこの世界に飛び込んでみると、驚くほど自分に合う仕事だと気づかされたのです。
もしかしたら、このインタビューを読んでいる方の中にも、かつての私と同じように感じている方がいるかもしれません。少しでも興味が湧きましたら、まずは一度、カジュアルにお話ししませんか。ご連絡をお待ちしています。
(インタビュー:2025年7月付)