はじめに
今年に入ってから、New Relic にはシステム監視のコスト比較に関するご要望が多く寄せられています。そこで New Relic では、ご興味を持っていただける皆様に「New Relic One の価格構造」を理解いただける情報と、実際に他のツールベンダーのコスト構造と比較してどのようなコスト差が出るのかを試算分析した結果をお伝えします 。
New Relic の価格構造を理解する
2020年7月、New Relic はアプリケーションやインフラストラクチャ、ウェブ、モバイル、ネットワークなど技術スタック全体を観測可能にするプラットフォーム、New Relic Oneを発表しました。New Relic One は個別の機能ごとに価格を設定するのではなく、極めてシンプルな価格体系を採用しました。
この価格体系を採用してから現在 1年半が経過し、New Relic のほとんどのお客様が新たな価格設定モデルに移行していただくことができました。それは、New Relic One の価格設定が日本のお客様のデジタルビジネスに適合しているからと言えるようになりました。
2020年に行ったNew Relic One の価格再設計は、ホスト単位での課金構造が顧客のビジネス成長や利益を食い潰し、オブザーバビリティの実現を破綻させているのではないかという分析から始まりました。それは例えば以下のようなお客様のフィードバックを元にしています。
- 監視範囲と収集するテレメトリデータの量を大きくすると、それだけコストがかかるため実質の監視対象を制限してしまいオブザーバビリティではなくなる。
- 月末や突発的スパイクに伴って莫大な請求が来る。ビジネスの成功が監視コストに消費されてしまう。
- 把握してないデータや機能に課金されている。
- 新たな試行錯誤を行う度に課金されることで、システム的なチャレンジに萎縮がかかる
New Relic も元々は APM, Infrastructure, Browser….. など機能ごと十数個の複雑な価格項目から構成されていました。しかしこうした価格の不透明さは、上述のような問題を引き起こしてしまうため、「予算として予測可能」「突発的な請求がない」「オブザーバビリティの実現を阻害しない」など顧客価値を最大限に考えた結果、課金体系を以下の2項目へ絞り込むこととなりました。New Relic One は現在この2つの課金構造だけを持っています。
- New Relic One に収集するデータ量 : $0.30/GB から
New Relic One に取り込むすべてのメトリクス、イベント、ログ、トレースに関して1GBあたり0.25ドルの課金を行います。 - ユーザー数 : $99/user から
アプリケーションサーバー、クラウドとオンプレミスのインフラ、Webとモバイル、ネットワークなど、システム全体の分析に必要なすべての機能を1ライセンスで提供 。
データ取り込みに関する価格設定は業界内でも最低価格に近いことに加え、データ取り込み量が事前購入しているコミット分を超えた場合でも、自動請求がかかることはなくペナルティもありません。突発的なスパイクや大規模な短期的キャンペーンでのトランザクション増加を不安に思う必要がないのです。
また New Relicでは、すべての新規のお客様が自動的に永久無料プランも提供されています。これはいわゆる「利用可能期間が設定されたフリートライアル」とは異なり、毎月100GB(10ホスト分相当)のデータ取り込み量、フルユーザー1名(あらゆる機能が利用可能)の範囲であれば永遠に無料で使い続けられるというライセンスです。規定量を継続的に超過しない限り請求が発生することがないので、New Relic One の検証を開始する場合もほとんどコストはかからないことを意味しています。有償で購入を決めた場合でも、この無料枠は継続されるので、2フルユーザーで利用する場合、1ユーザーは無料ということになります。
New Relic と他のベンダーのコストを比較する
ではこの価格体系は他のベンダーと比較してどの程度メリットがあるのでしょうか?監視ツール市場のそのほかの選択肢との比較のために、以下の表を用意しました。ログ管理を例に、ほかのベンダーによる1GBあたりの価格設定を示しています。計算の前提条件はこちらの情報を元にしています。
New Relic | AWS CloudWatch2 | Datadog3 | |
---|---|---|---|
データ取り込み | New Relic$75.00 | AWS CloudWatch2$150.00 | Datadog3$30.00 |
30日間のデータ保持 | New Relic$0.00 | AWS CloudWatch2$9.00 | Datadog3$337.50 |
クエリおよびダッシュボード | New Relic$0.00 | AWS CloudWatch2$1.50 | Datadog3$0.00 |
合計 | New Relic$75.00 | AWS CloudWatch2$160.50 | Datadog3$367.50 |
合計コスト/GB | New Relic$0.25 | AWS CloudWatch2$0.54 | Datadog3$1.23 |
New Relic | AWS CloudWatch2New Relic:最大2倍の価値を実現 | Datadog3New Relic:最大5倍の価値を実現 |
1すべての金額は米ドル表記です。計算に関する詳細や想定に関しては、リンク先のスプレッドシートをご参照ください。
2 2021年9月7日時点のhttps://aws.amazon.com/cloudwatch/pricing/における「有料ティア」と「米国東部(オハイオ)」を想定した公表済みプライスポイントに基づく。
3 2021年9月7日時点のhttps://www.datadoghq.com/pricing/?product=log-management#log-managementにおける公表済みプライスポイントに基づく。30日間のリテンションコストの計算には、インジェストしたログデータ1GBあたり約450,000ログイベントが含まれていると想定。
ログ管理のコストだけで考えれば New Relic One と Datadog では5倍以上のコスト差が発生することがわかります。一見取り込み量の価格 (Datadog の場合 $0.10/GB) だけで考えればリーズナブルに見えても、保存コスト(Datadog の場合 $0.25/million logs/month)が膨大になったり、データへのクエリをかけるだけで課金されたりと変動要素が大きく働く構造があるとわかります。これらの変動がビジネスやシステムの拡大に伴ってコストの不透明性を高め、オブザーバビリティの実現を阻害します。
また、以下の表は、インフラストラクチャモニタリングに関してDatadogと比較した場合にそれがどのように異なるのかをまとめてみました。エンジニア100名及びホスト10,000台の想定です。
New Relic | Datadog2 | |
---|---|---|
ホスティング料金 | New Relic該当なし | Datadog2$230,000 |
データ取り込みコスト3 | New Relic$32,500 | Datadog2該当なし |
ユーザーコスト | New Relic$34,900 | Datadog2該当なし |
合計 | New Relic$67,400 | Datadog2$230,000 |
New Relic | Datadog2New Relic:最大3倍の価値を実現 |
1 すべての金額は米ドル表記です。計算に関する詳細や想定に関しては、リンク先のスプレッドシートをご参照ください。
2 2021年9月7日時点のhttps://www.datadoghq.com/pricing/?product=infrastructure#infrastructureにおける公表済みプライスポイントに基づく。
3 計算では、1ホストあたり月額13GBを想定。
こちらでも3倍以上のコスト差が発生することがわかります。一見ホスト単位での課金は制御しやすいと想像されがちですが、ユーザーやトランザクションの継続的な成長を達成するビジネスでは加速度的にコストが加算されていきます。システムの巨大化とビジネス成長はイコールの関係ではないにもかかわらず、システムコストだけが増加するのです。またこれらのモデルは新しい機能に新しいSKUを追加し、新たな契約締結を目指して顧客にアップセリングを試みる価格モデルを前提としています。
エンジニアの成功がNew Relicの成功につながる
当社にとって、価格モデルの変革は大きな挑戦でした。どれだけシステムが巨大であってもオブザーバビリティが実現できること。人員の拡大、エンジニア組織の成長と共に New Relic も成長できること。エンジニアがより多くのデータから価値を発見し、より多く使用することで New Relic はお客様から報酬を受けることができること。New Relic One の価格体系は、オブザーバビリティを真にエンジニアが活用することを目指した構造を目指しています。
コストに関するさらなる詳細や、比較検討を進めたい場合はお問い合わせください。New Relic One がお客様にフィットしたコスト構造について支援できればと考えています。
Souce: https://newrelic.com/blog/nerdlog/consumption-pricing-offers-more-value
最近、New Relic にはシステム監視のコスト比較に関するご要望が多く寄せられています。 そこで New Relic では、ご興味を持っていただける皆様に「New Relic の価格構造」を理解いただける情報と、実際に他のツールベンダーのコスト構造と比較してどのようなコスト差が出るのかを試算分析しました。
New Relic では、個別の機能ごとではなく、収集するデータ量とユーザ数の2項目のシンプルな課金体系で、バックエンドからフロントエンドまで全てを監視できる価格構造を採用しています。これにより、システム全体のオブザーバビリティが実現します。
このホワイトペーパーでは、データ量について焦点を当て、以下についてまとめています。
- New Relic の価格構造とそのメリット
- Datadog、AWS Cloudwatch とログやインフラ監視の観点でコスト比較した結果