生産者である農家・漁師から、消費者が直接食材を購入できるオンラインサービス
「ポケットマルシェ(ポケマル)」が大きな共感とともに急成長を続けている。2021年5月時点の登録生産者数は5,100名、登録消費者は約31万人に及ぶ。直販を始めたい・増やしたい生産者、鮮度の高い産直品を購入したい消費者――両者から大きな支持を得ている理由は、単に「売れるから」「便利だから」だけではない。ディレクターの宮本巧氏は次のように話す。
「生産者とそのファンでコミュニティが形成されるなど、人と人のつながりが深いことがポケマルの大きな特徴です。消費者が生産者へ『こうやって食べました』『ごちそうさま!』を直接伝えられる機能など、アプリには生産者と消費者のコミュニケーションを促進する機能を工夫しています。個と個をつなぐ、生産者と消費者の個人レベルの関係性を構築する、という私たちのビジョンに共感いただいた多くの方々にポケマルは支えられています」
FoodTech企業としてのポケットマルシェ設立のきっかけは東日本大震災だった。ポケマルのルーツとも言える定期購読誌「東北食べる通信」は、東北で農業や漁業に携わる人々が主役として登場し、彼らが収穫した食べものをセットで届けるユニークなビジネスモデルで成功を収めた。共感を得たのは、生産者と消費者の「共助」という新しい関係性である。
「既存の食品流通の枠組みから抜け出せない生産者を応援したい、味は変わらないのに規格に合わないために流通に乗せられない食べ物を救いたい、という思いがありました。ポケットに入るマルシェ(市場)として成長を持続させながら、こうした社会的課題の解決にも貢献することをビジネスの両輪として推進しています」(宮本氏)