
秋山 進之介
New Relic 株式会社 エンタープライズ営業本部 部長
日系、および外資系企業において法人営業として主にソフトウェアやSaaSサービスの販売に従事して経験を積み、2018年にNew Relic 株式会社一人目の営業として入社。業界を問わず様々なエンタープライズ企業やデジタルネイティブ企業に向けてNew Relic の価値を届ける役割を担う。現在は営業チームを束ねる部長として活躍中。
―― 秋山さんはこれまではどのようなキャリアを積まれてきたのでしょうか?
これまでは日系企業や外資系企業で外勤営業として経験を積んできました。様々な商材を扱ってきましたが、主にソフトウェアやSaaSサービスの販売に携わってきました。
―― 2018年にNew Relic の営業第1号として入社されていますが、入社される上での決め手はありましたか?
転職を検討しはじめた時、これから中長期的に自らがその環境でコミットしていく上で、その会社の考え方や思想、カルチャーが最も重要だと考え、様々な会社とディスカッションを重ねました。
New Relic は知人を介して知ったのですが、上記観点から見ても全く違和感を感じなかったこと、そして新しいことに挑戦してみたい、これから会社を作っていくフェーズに携わってみたいとも考えていたので、とても良い機会を得られたと思いました。
そして、New Relic に入社した決め手は大きく「プロダクト」と「人」があったと思います。New Relic のプロダクトについて知った時、「こんなものがあるのか!」「もっと世の中に広めたい!」と思えましたし、また、日本を含むアジア地域を担当するチームや日本法人代表の小西さんと話すなかで、自分が考えていた理想的な組織のあり方などの価値観も一致したことで、中長期的にコミットしたいと思い、入社を決意しました。
―― 入社後はどんなことをされていましたか?
営業として入社しましたが、まだ当時は4名しか社員がいなかったので、最初の半年間は営業だけでなく、ユーザー会の運営や本社メンバー来日の際の段取り調整など様々な仕事をこなしていました。
―― 入社されてみて感じたことや、苦労されたことなどはありましたか?
お客様から伺うNew Relic への期待値や一緒に働く仲間とやり取りするなかで、自身の入社の決め手でもあった「プロダクト」と「人」について正しかったと感じました。
すべてが新鮮で楽しかったので特に苦労はありませんでしたが、強いて挙げるなら技術面でのキャッチアップには苦戦しました。今もプロダクトを100%理解しているとは言い難いと思っていますが、そのような不足部分を補うためにもNew Relicにはソリューションズコンサルタントなどの技術に精通したメンバーがいると思っています。彼らとチームで動くことができるおかげで、お客様にNew Relic の価値を届けやすくなり、かつ営業は営業としての大事な仕事に集中することができています。

―― 今で充分とお考えのお客様への営業活動は難しそうに感じましたが、どのようにアプローチされているのでしょうか?
私は徹底して顧客目線の話をするようにしています。ここでいう顧客というのは私が営業として対話をする企業ではなくて、その企業から見た顧客です。先ほどの「監視ツールで監視できています」という企業の方に「では、皆さんの顧客の監視はできていますか」と伺うと、皆さんお困りになります。
例えば、B2BのSaaS事業を運営している企業であれば、「この直近1時間で、どのユーザーのWEBページ表示速度が遅くなっているか、今わかりますか?」と伺った時に、答えられる方に出会ったことがありません。今や、多くの企業においてカスタマーエクスペリエンスの向上は至上命題にもなっているかと思いますが、実際の顧客の体験や挙動まで監視できている企業はほとんどないことがよくわかりました。
一方で、インフラ監視ツールを使い、サーバーのCPU使用率が何十%になったなどの指標はよく見ています。しかし、今やCPU使用率90%を超えたというのは本当に問題でしょうか。たとえ90%を超えていても、実際のお客様のWEBページ表示速度や、モバイルアプリのクラッシュなどに影響していなければ問題ないわけです。むしろ、パブリッククラウドが多く使われている現代においては、顧客体感に影響がなくCPU使用率が90%というのは、インフラリソースを効率的に使っているという話です。しかし、ほとんどの企業が顧客体感を監視できていないので、CPU使用率が高騰すると何か問題が起きているに違いないと思い込んでアクションを起こします。サーバーの再起動をしたり、サーバーを増やしたり大きくしたりといったことです。
こういった旧来の監視に基づくアクションの例や、現代における顧客目線でのモダンな監視の重要性を丁寧にお話ししていくことで、お客様が認識していない問題が明らかになっていきます。まずはお互いの目線を揃えるところからスタートですね。
―― 顧客目線でのアプローチをされると、お客様はどのような反応をされますか?
ビジネスとシステムの関係や、なぜ今の時代にオブザーバビリティが必要なのかを丁寧にお話しするとネガティブな反応はありません。
今はビジネスとシステムは切り離せない関係になっています。例えば調査会社*によると、全世界のGDPの6割強がモバイル、eコマース、クラウドなどのデジタルサービスで構成されると言われています。このデジタル化が進んだ世の中において、例えばモバイルアプリのクラッシュやWEBページの表示遅延といったシステムの挙動が、予約や決済での顧客離脱といったビジネス結果に大きな影響を与えるようになっているわけです。ビジネスなくしてシステムはない、システムなくしてビジネスはないという論点で、システムの挙動とビジネスへの影響をつなげて観測していくアプローチが必要と言うことをお客様に啓蒙しています。
(* IDC FutureScape: Worldwide Digital Transformation 2021 Predictions)
―― お客様の活用状況から、営業として新しい気付きはありましたか?
そうですね。ビジネス部門での活用で興味深い例があります。例えば、eコマースサイトを運営されている会社のビジネス部門の方ですと、コンバージョンレート(CVR)を気にされていますよね。WEBのトップページからアクセスして、ログインして、商品をカートに入れて、決済という流れの中で、どこでどれくらい離脱しているのか、という分析です。New Relicでフロントエンドからバックエンドまで全部繋げて観測すると、お客様の挙動とシステムの稼動が全部繋がって見られるわけです。つまり先ほどの全体のコンバージョンレートはもちろん、eコマースサイトのページの表示速度などのパフォーマンスとコンバージョンレートも繋げて分析することができます。
あるお客様では、決済時の表示速度が速い時と遅い時で離脱率に違いがあるかという仮説検証にNew Relicを活用いただいていました。結果的にシステムパフォーマンスの劣化によって売上の機会損失が出ているということが具体的な数字で把握できました。その上で、どこにパフォーマンス上のボトルネックがあるのか、原因は何なのか、というのも合わせてNew Relicでわかりますので、ビジネスとしての判断でインフラリソースを増強されたり、パフォーマンスチューニングを急いだりということをされていますね。
他にも、有名な予約サイトを運営されている企業においては、パフォーマンスと地域性を掛け合わせるとどうなるのかという仮説検証をされていました。その時は、東京と大阪でそれぞれ速い時と遅い時で比較していました。予約時にシステムレスポンスが5秒以上だった時、片方の地域では予約のコンバージョンにほとんど影響がなかったにも関わらず、もう一方の地域では20%ぐらいコンバージョンが落ちていることがわかりました。
こういったお客様の活用されている実例から、ビジネスとシステムを掛け合わせるとNew Relicで本当にいろんな仮説検証ができるんだなと実感しました。私個人としての意見ですが、New Relicのオブザーバビリティ・プラットフォームはお客様の体感からシステムの稼動、そしてビジネスを繋げて見ることができて、BizDevOpsを実現するコミュニケーションハブになる唯一のソリューションだなと感じており、New Relicの営業活動によってお客様のビジネスの変革と貢献にまで寄与できるんだという気づきがありました。

―― New Relicの魅力やお客様への貢献が具体的にイメージできました。その他にも営業としての面白みや、やりやすさを感じる点はありますか?
大きく3つあるかなと思います。
1つ目は、日々システム開発や運用の現場で仕事をされているエンジニアの方々にアプローチできることですね。私は前職や前々職においてはCEO、COO、CIOといった取締役や役員の方々に営業を行ってきました。もちろん今もそういった役職の方にも営業するのですが、それに加えて実際に利用される方々にもきっちり訴求できて、ポジティブな評価をいただけることに面白みを感じています。
2つ目は、New Relicには本当に多くのユースケースがあるという点です。先ほどの事例でもあったように、地域性とパフォーマンスをかけ合わせたときに新しい知見と対策が生まれます。もちろんシンプルな統合システム監視みたいな使い方もあるわけですが、お客様の業種特性やロール、潜在的な課題に対していろんな訴求の切り口があるということに、とても面白みとやりがいを感じています。
最後に、New Relicはこの領域において、グローバルでも日本でもトップシェアのリーディングカンパニーというところですね。私自身は、今までのキャリアでも業界のリーディングカンパニーを選んできました。やはり機能やサービスの面で2番手や3番手だと、営業する上で政治や根回しなどの本質的じゃないところで勝負しないといけないことが多くなります。New Relicではそういった本質的ではないことに時間を費やさず純粋に営業力で勝負できますので、私自身は競合案件での負けというのは経験したことがありません。
―― 最後に、応募を考えている皆様にひと言お願いします
New Relicの日本法人はまだまだ若い会社ですし、プロダクト自身も日々どんどん進化を続けています。ですので、今日のインタビューにおける私のアプローチの仕方は未来永劫の正解だとは思っていませんし、今後私自身も試行錯誤を続けていくものと思っています。
そういった観点で、決まったテリトリーで決まったオペレーションで営業活動するのではなく、自分自身や仲間と共に創意工夫をして新しいアプローチを創り上げていくことに面白みを感じる方とご一緒したいと思っています。会社としても環境の変化に応じたいろいろな営業アプローチへのチャレンジを推奨している環境ですので、そういったことを楽しめる方にはきっとやりがいを感じていただけるものと思います。本日はありがとうございました。
(インタビュー:2022年10月付)