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オブザーバビリティ(可観測性)に関して、2021年はどのような一年になるでしょうか?New RelicのシニアテクニカルコンサルタントであるTricia Kerrが、New Relic社内外の専門家から意見を集めました。「Predictions for Observability's Evolution in 2021」の抄訳です。


2020年、オブザーバビリティについて様々な議論がありました。どのように定義すべきか。監視からオブザーバビリティへ移行するときの原則や注意点はどのようなものか。オブザーバビリティにゴールは存在するのか(もしくは民主主義のように常に良いものにしようと努力するものなのか)。偽物のオブザーバビリティを見分ける方法はあるか。受動的な行動からデータ駆動な行動へと移行するにはどうしたらいいか。

来年も、オブザーバビリティは進化し続けるでしょう。パンデミック後のDX(デジタル・トランスフォーメーション)にとってもオブザーバビリティは欠かせないものであり、オブザーバビリティに関するリテラシーが必要とされ、人間中心のソリューションがオブザーバビリティの鍵になることが予想されます。New Relicが誇る専門家たち、さらに社外の専門家に、2021年に何が起こるかを予想をしてもらいました。その中からいくつかご紹介します。

オブザーバビリティはオムニチャネルをサポートする

COVIDの影響で、消費者からのシームレスなオムニチャネル(複数の販売チャネルを活用する「マルチチャネル」販売の進化形で、リアルとネットの境界を融解する試み)体験への期待が高まりました。消費者は、予約し、商品を選択し、試用し、購入し、発送から受け取りまで、オンラインとオフラインを自由に組み合わせたいと考えるようになりました。そのためには、フロントエンドとバックエンドのプロセス(店舗内業務、オンライン業務、在庫管理からサプライチェインまで)がシームレスに連携する必要があります。そのようなオムニチャネル体験を成功裏に実行するためには、オブザーバビリティがリアルタイムかつ意識せずに実現され、ビジネスの状況がすべて可視化されることが重要になります。

Greg Ouillon, EMEA Field Chief Technology Officer, New Relic

クラウドに依存しない開発フレームワークが台頭する(振り子の揺れ戻しが起こる)

クラウドに依存しない開発フレームワークが台頭は、IT業界がいかにスパイラルな進化を遂げているかを表しています。クラウドがIaaS(Infrastructure as a Service)コンポーネントを実現し、さらにミドルウェアのサービスに広げていったのがここ数年の歴史です。クラウドプロバイダーは一貫性と可読性を高めるために、サービスをある程度のグループにまとめて、利用者に対して全面的に利用を拡大させるような戦略を取っています。その一方で利用者側としては基盤の移植性を求め、クラウドプロバイダーから囲い込まれないように気を付けています。このため、単一のクラウドプロバイダーに完全に依存しないPivotalAnthosRancherなどに関心が高まっています。これらの特定のクラウドに依存しない開発フレームワークによって、利用企業は自由にコードを開発し、任意のクラウド上にデプロイできるようになります。

Kubernetesは特定クラウドに依存しない低レイヤーのフレームワークであり、コンテナを自由にな環境で実行することができます。また、コードを移植する必要があるときは、特定クラウドのPaaSと比べてはるかに少ない手間で移植できます。移植性と垂直統合には常にトレードオフがあり、そのバランスを取るのはオブザーバビリティプラットフォームの役割ではありません。移植性の自由を提供するのがオブザーバビリティプラットフォームの役割です。すべてのクラウドをサポートし、それらを効率よく管理できるようになる必要があります。

オブザーバビリティプラットフォームの利点は、チーム、プロセス、デジタルサービス間での不変条件を作り上げることです。そうすることで、デジタルシステムのアーキテクチャが素早く進化したとしても、横断的な安定性を保つことができます。

— Greg Ouillon, EMEA Field Chief Technology Officer, New Relic

オブザーバビリティがパンデミック後のDXを促進する

2020年は、パンデミックの影響ですべての企業がデジタルビジネスへの移行を余儀なくされ、多くの企業がオブザーバビリティを重視するようになりました。ソフトウェアスタック全体の可視化は、複雑なIT環境や開発環境、継続的なクラウド移行にとって、今や必須のものとなっています。2021年には、従来型のAPM(アプリケーションパフォーマンス管理)の利用割合は減少し、オブザーバビリティが台頭し、パンデミック後のデジタルイノベーションを促進することになるでしょう。しかし、将来的なビジネスとITのニーズに応えるためには、オブザーバビリティはまだまだやるべきことがあります。現代の企業はオープンかつコネクテッドで、プログラマブルな特徴を持つオブザーバビリティ・プラットフォームにますます注目が高まるでしょう。

— Bill Staples, Chief Product Officer, New Relic

オブザーバビリティのリテラシーとコンサルティングが重要に

DevOps、ビジネスオペレーション、アナリストコミュニティの実践者にとっての「オブザーバビリティ・リテラシー」が、非常に価値の高いスキルセットになるでしょう。オブザーバビリティは、今日では希少性の高いスキルであるため、高等教育や学術プログラムのコア・カリキュラムになり始めるでしょう。オブザーバビリティに関連した教育と認定を受け入れる人々は、組織の内外を問わず、キャリア開発の大きな機会を得られる立場にあることに気づくでしょう。

多くの組織に存在するギャップを埋めるために、コンサルティング会社がオブザーバビリティの実践を支援するようになることが予想されます。オブザーバビリティに関する強力な専門知識を持つブティック・コンサルティング・ファームは、業界をリードするツールを活用して、組織がビジネスに関連したオブザーバビリティを達成できるよう支援することになります。この進化により、2021年は、膨大な数の組織がCOVIDの時代から脱却し、デジタルトランスフォーメーションを受け入れることで、エキサイティングな年になることが約束されています。

— Ben Goodman, SVP Asia, New Relic

クラウドネイティブなオブザーバビリティがAPMを駆逐する

APMに対する従来のアプローチはクラウド・ネイティブのオブザーバビリティに取って代わられて、その重要性とマインドシェアは低下していくでしょう。特に、OpenTelemetryを活用したエージェントレスのアプローチが、従来のエージェント型APMに取って代わられることになるでしょう。従来のエージェントは、新しいオブザーバビリティが対応しにくいレガシー環境で引き続き使われるようになります。

— Jason Bloomberg, IT Industry Analyst and President, Intellyx

人間中心のソリューションが注目される

我々の業界の発展に伴い、相互に依存する複雑なコンピュータシステム、積み重ねられたレイヤー、そしてそれを拡大させ続けるイノベーションに焦点が当てられてきました。2021年には、オブザーバビリティ・ソリューションが定着し始め、システムの下にある不変の層、すなわち人間に焦点が当てられるようになります。人間が見て、繋がり、協力して、他の人間に惜しみなくサービスを提供できるようにすることが、この分野での成功を意味します。そのためには、機能よりもユースケースの方が重要であり、人々の労力を減らすことに重点が置かれるようになるでしょう。

Joel Worrall, Senior Director, Open Source, New Relic

オブザーバビリティとその先へ

この他にも、多くの予測がされています。いくつかご紹介しましょう。

  • より複雑になっている開発者の状況の中で、JavaScript、Python、Java、.NETといった従来の言語を超えて、何がトレンドになっているのかを注視するのは重要です
  • データにとらわれない AIOps テクノロジーが今後も成長を続け、組織がアラートのノイズをさらに減らし、より迅速な問題解決を可能にするため役に立つようになります
  • COVID-19後のデジタル化された世界では、新しいDevOpsの実践はどのようなものになるでしょうか?共有されたデータがどのように部門間の架け橋になるのか、ツールの統合がチームのコスト削減とトレーニングの簡素化に役立ちます。また、経験豊富なチームはDevOpsを推進して、どのように競争力を確保しているかがわかります。
  • デジタルトランスフォーメーションが今後も加速し、それに伴ってオープンソースの採用が進むでしょう。また、AWS Lambdaに代表されるサーバーレス環境は、クラウドネイティブのアーリーアダプターやニッチなユースケースに限定されることなく、成長を続けるでしょう。

これらの予測がまとまったレポート「The 21 Best Tech Predictions for 2021」をぜひご一読ください。