アイレット株式会社 大園 隼人 氏の写真

“フルスタックオブザーバビリティ”を武器に、マネージドサービスを次世代へと革新する運用スペシャリスト
領域にとらわれないエンジニアがたどり着いた、好いとこ取りをかなえる新概念

大園 隼人(おおぞの・はやと)氏
アイレット株式会社
クラウドインテグレーション事業部
MSPセクション グループリーダー

ネットワーク保守サービス企業で運用・保守の実務からリーダー職を経験したのち、2019年にアイレット入社。MSPチームで24時間365日のシステム運用・監視に携わり、翌年よりチームリーダーとして運用設計から実務全般のマネジメントを担当。現在は同業務に加えて、インフラ監視のオブザーバビリティ強化、次世代のマネージドサービスに向けたNew Relicの社内活用推進も手掛けている。プライベートで最近楽しんでいるのは、ゲームと映画(特にMarvelなどヒーローもの)。

■アプリ領域まで監視するため、New Relicの導入を決定
― いつごろ、どのようなきっかけでオブザーバビリティと出会われたのでしょうか。

時期としては、2020年頃だったと思います。きっかけは、社内で使用していたシステム監視ツールをNew Relicへ移行することになり、MSPセクションのリーダーとしてNew Relicの活用を推進する役割を任されたことです。

当社のMSP事業は従来、インフラ領域だけを対象にビジネスを展開していましたが、時代とともにシステム全体のアーキテクチャが複雑になり、インフラ観点のモニタリングだけでは、システムに発生する不具合への対応が難しくなってきました。従来のマネージドサービスの定義も時代とともに姿を変えており、アプリの領域を含むシステム全体の観測の期待が高まりつつあります。そこでサービスの品質向上をめざして、新しいマネージドサービスの設計に着手。インフラに留まらず、アプリやユーザー体験の領域まで幅広く見ていくことになり、導入が決定したNew Relicの詳細を知る過程で、オブザーバビリティという概念と出会い、理解と共感を深めていきました。

■直感的でカスタマイズ性が高いツールに傾倒。社内普及には不安も
― New Relicには、どのような印象を持たれたのでしょうか。

監視ツール自体には、前職から数多くの製品に触れてきましたが、監視対象はインフラだけ。アプリまで領域を広げることは私自身、初めてのことでしたので、多少は手こずることを覚悟していたのですが、設定や操作で迷うことは、ほとんどありませんでした。実際に触れてみると、New Relicはとても扱いやすく、カスタマイズ性の高さから当社のマネージドサービスで利用する自動化ツールなどとの親和性も高く感じました。アプリ領域のインサイトを得ることも簡単で、初めて取り組む機能についても、マニュアルを参考にひとつずつ理解することができました。

ただ、MSPに携わる当社のインフラエンジニアは、インフラ領域の出身が多いため、アプリ領域はチャレンジと言えます。どのようにNew Relicの活用を促し、オブザーバビリティへ対応させればいいのか、という難しさを感じました。というのも、私はサービスデザインを進める中でAPMなどのインフラ以外の機能に関しても、サービス価値提供のイメージができていました。一方で従来のインフラ監視ではアプリ領域は専門外でわからないもの、この状況でどう価値提供のイメージを伝えていくか、当時を振り返ると、そんなことで頭を悩ませていたことが印象に残っています。

■「New Relic導入推進チーム」を誕生させて積極的な活用をサポート
― その想いを踏まえて、どのような取り組みを進められたのでしょうか。

インフラエンジニアに向けて、New Relicに関する情報発信をスタートさせました。MSPセクション内に「New Relic導入推進チーム」を新設して、知識習得や活用方法など、さまざまなテーマを設けて必要な情報をドキュメントにまとめて配布したほか、チーム内で企画して実際にやってみたことや、New Relicのアップデート情報などを月1回のペースで発信。こうしてNew Relicの活用をサポートする体制を整え、従来のマネージドサービスをオブザーバビリティへ進化させることに取り組みました。

当初は「以前のツールの方がいい」といった声も耳にしましたが、しばらくすると状況が変わってきました。そして1年後、「どのくらい使いこなせているか?」と社内アンケートを実施してみると、多くのエンジニアから「ほぼドキュメントを見ずに使えている」「標準のインフラ監視の範囲でNew Relicを活用している」といった前向きなコメントが集まりました。

さらに、「APMをもっと活用していきたい」「障害対応に役立てたい」などといった回答や関心のあるプロダクトとしてAPMの機能が7割近くを占めている結果から、New Relicの浸透やオブザーバビリティへの変革に向けた意識の変化が実感でき、チームのメンバー全員と「やってよかった!」と喜びを分かち合いました。

今後はチームの活動で得た知識や New Relic の活用方法などのインプットした情報を、社内に閉じた情報発信だけではなく、外に向けての情報発信を行い、進化したマネージドサービスでオブザーバビリティを牽引していきたいと考えています。

■お客様への価値提供で、オブザーバビリティの手応えを掴む
― オブザーバビリティに関して印象に残っていることをお聞かせください。

こうした活動の成果を反映し、当社が従来から提供している「運用保守サービス」では、標準のインフラ監視に加え、オプションで New Relic APM の導入を行うことによってアプリのボトルネック調査までできるサービスへ利用拡大予定です。新たに、New Relic の導入を支援するサービスも構築して、提供を始めました。この導入支援サービスでは、 お客様が利用する New Relic の監視設定からサービスレベルの策定支援、ニーズにあった機能導入など、幅広い領域の支援を行います。

このように、当社が展開するMSPサービスをオブザーバビリティの領域まで拡張したことをアピールしたところ、あるお客様から問い合わせが届きました。そのお客様は複数のパブリッククラウドを利用してビジネスを展開されており、サービスに障害が発生すると、原因特定に膨大な時間がかかってしまうことやNew Relicを用いたオブザーバビリティ実践には社内のリソースが不足していることが課題になっていました。そこで当社は、サービスレベル導入や監視設計の支援、監視設定のIaC化などお客様のチームの一員のような形で併走しながらオブザーバビリティ実践のサポートを提案し、「New Relic導入支援サービス」の採用が決定。利用されている複数のパブリッククラウドにNew Relicを導入して体制の整備をサポートした結果、サービス障害の発生から原因特定までのリードタイムが大きく改善しました。さらに、安定したサービスレベルの維持の実現、継続的にサービスや顧客体験を改善できる土台も整いました。お客様はこの成果にとても満足され、当初は1年間の予定だったサービス契約を、現在も継続中。この状況に私は、とても大きな手応えを感じています。

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■New Relic をフルスタックに活用して次世代マネージドサービスへ革新
― オブザーバビリティに対する今後の展望を教えていただけますか。

当社ではMSPの標準サービスにAPMも加え、インフラ、アプリ、ユーザー環境をトータルに捉えてオブザーバビリティの強化を図っていきます。そこで大きな役割を果たしてくれるのが、New Relicです。さまざまな機能が用意されているNew Relicをフルスタックに活用して、次世代マネージドサービスへの革新を推進していきます。システム障害が起きた際には、発生箇所を把握するだけでなく、原因特定までスピーディに実施。さらに障害の解消はもちろん、障害が起こらない安定した稼働の維持・改善にも貢献していきたいと考えています。

また、今後も引き続き、社会のシステム環境はクラウドをはじめとして移り変わりが激しく、次々に新しい概念や仕組み、製品が登場してくると思います。そうした最新トレンドにもいち早く対応して、私たちの対応力をNew Relicとともに進化させ、常にお客様の満足に貢献していくことをめざしていきます。

■幅広い領域を理解し、高付加価値が提供できる運用スペシャリストへ
― ご自身のキャリアとしては、どのような展望をお持ちでしょうか。

エンジニアとしてめざしているのは、お客様のシステムの安定稼働に貢献する運用のスペシャリストです。そのためには、オブザーバビリティが示してくれたように、インフラだけに限らず、ネットワーク、ミドルウェア、DB、アプリなど、お客様のシステムが関わる幅広い領域について理解できる知識が必要です。さらに、次々誕生する最新トレンドのキャッチアップも重要になってきます。そこで、システム関連サイトで取り上げられる最新ニュースや著名なエンジニアのブログをはじめ、New Relicが投稿する特集記事にも必ず目を通して知識習得に努め、付加価値の高い運用の提供に取り組む所存です。

オブザーバビリティも、将来的には例えばAIによって、障害の原因特定から解消、さらには安定稼働の維持に向けた完全な自動化に対応していく世界が来るのではないでしょうか。こうした未来像をイメージすると非常に楽しみであり、機械学習についてはすぐにでも学びたいと思っています。また今回、New RelicのTrailblazerに選出されたことで、いち早くオブザーバビリティの最新の知識や情報が習得できるチャンスがあると期待しています。その機会を有効に活かして理解を深め、インプットして次世代マネージドサービスを発信しながらオブザーバビリティの普及を牽引していきたいと考えています。

■システム観測やNew Relicの導入支援でオブザーバビリティ対応をサポート
― 最後に、読んでいただいた方へのメッセージをお願いします。

当社には、主なオブザーバビリティサービスとして「運用保守サービス」と「New Relic 導入支援サービス」があります。運用保守サービスは、AWS や Google Cloud のサーバー1台から契約可能で、今後はアプリレイヤーのインサイトを持ち合わせていないお客様などを対象に、APM対応も標準サービスとして導入予定です。APMのインサイトによって障害が発生した際にアプリのボトルネック調査が行え、今後はインフラからアプリまでを観測してシステムの安定稼働に貢献します。New Relic導入支援サービスは、New Relic の導入を予定しているが社内のリソースが不足しているため、導入まで至っていないお客様や、すでに導入しているがオブザーバビリティの導入が不透明であるお客様などを対象に、New Relicの監視設計、IaCを用いた監視設定やコンサルティングの提供など幅広い支援を行っています。こうしたサービスに関心をお持ちでしたら、ぜひご相談いただければと思います。

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